今日の臨床サポート

手の腫瘤、ガングリオン

著者: 山崎宏 社会医療法人財団 慈泉会 相澤病院 整形外科センター

監修: 竹下克志 自治医科大学整形外科

著者校正/監修レビュー済:2022/03/16
患者向け説明資料
薬剤監修について:
オーダー内の薬剤用量は日本医科大学付属病院 薬剤部 部長 伊勢雄也 以下、林太祐、渡邉裕次、井ノ口岳洋、梅田将光による疑義照会のプロセスを実施、疑義照会の対象については著者の方による再確認を実施しております。
※薬剤中分類、用法、同効薬、診療報酬は、エルゼビアが独自に作成した薬剤情報であり、 著者により作成された情報ではありません。
尚、用法は添付文書より、同効薬は、薬剤師監修のもとで作成しております。
※同効薬・小児・妊娠および授乳中の注意事項等は、海外の情報も掲載しており、日本の医療事情に適応しない場合があります。
※薬剤情報の(適外/適内/⽤量内/⽤量外/㊜)等の表記は、エルゼビアジャパン編集部によって記載日時にレセプトチェックソフトなどで確認し作成しております。ただし、これらの記載は、実際の保険適応の査定において保険適応及び保険適応外と判断されることを保証するものではありません。また、検査薬、輸液、血液製剤、全身麻酔薬、抗癌剤等の薬剤は保険適応の記載の一部を割愛させていただいています。
(詳細はこちらを参照)
著者のCOI(Conflicts of Interest)開示:
山崎宏 : 特に申告事項無し[2022年]
監修:竹下克志 : 講演料(第一三共,イーライリリー,ファイザー,エーザイ,塩野義)[2022年]

改訂のポイント:
  1. 定期レビューを行い、加筆修正を行った。

病態・疫学・診察

疾患情報(疫学・病態)  
病態:
  1. 骨間靭帯・関節包・腱鞘から発生する嚢腫様腫瘤である。
  1. 内部には無色透明のゼリー状の液体を含んでいる。
  1. 病因は不明であるが、関節包や靭帯の反復する伸張や軽微な損傷に反応して、滑膜細胞または間葉系細胞から発生するといわれている。線維芽細胞からはヒアルロン酸が産生され、その結果ゼリー状のムチンが貯留するといわれている[1]
  1. 発生機序として、ガングリオン茎部に関節腔からガングリオン内部へ交通があり、一方向弁が存在するため関節液が内部に流入することが原因とされている[2][3]
 
頻度:
  1. 手の腫瘤としては、最も頻度が高い(65%)[4][5]
  1. 20〜40歳台に発症することが多い[6]
  1. 女性に多い(73%)[6]
 
症状:
  1. 患者の主訴は「整容が気になる:38%」「悪性腫瘍が心配:28%」「痛み: 26%」「しびれ・機能障害:8%」[7] であり、機能障害よりも整容の改善面や悪性疾患への心配のため受診することが多い。
  1. ガングリオンによって末梢神経が絞扼されると、しびれや運動障害などの神経症状をひき起こす。肘では肘部管症候群[8]や後骨間神経麻痺[9]、手部のGuyon管(尺骨神経管)では尺骨神経麻痺[10]を生じる。<図表> <図表>
 
好発部位:
  1. 手関節の背側中央に発生するものがほとんどで(約70%)(<図表><図表>)、次いで手関節の掌橈側(約20%)(<図表> )である。その他には指屈筋腱腱鞘、Guyon 管(尺骨神経管)部や手掌内に散見される(<図表> <図表>)。
  1. 指屈筋腱腱鞘近位部のガングリオン(Sesamoid ganglion)は基節骨掌側(A 1 輪状靱帯)に発生し、米粒大、小豆大で圧痛を伴うことが多い。
  1. DIP 関節の背側にできるガングリオンは粘液嚢腫(Mucous cyst)と呼ばれ、しばしばDIP関節の変形性関節症変化を伴う。DIP 関節橈側又は尺側に偏位することが多い。爪母を圧迫し爪の変形を引き起こすことがある。ガングリオンが破裂して化膿性関節炎を生じることがある。<図表>
  1. 手根骨背側の小さなガングリオンはオカルトガングリオン(occult ganglion)と呼ばれ、持続する手関節痛の原因となることがある。
  1. ガングリオンは手の他にも足背、足底、膝[11] 、肩、脊椎、に発生し神経症状をきたすことがある。
 
手関節背側のガングリオン

a:手関節背側に腫瘤を認める。
b:MRI:T2 強調画像、矢状断。高信号を示す多房性の嚢胞を認める。
 
(参考文献 藤哲:最新整形外科学体系 15-B 、手関節・手指II 15-B. 三浪明男,越智隆弘編. 中山書店,2007;201-205)

出典

img1:  藤哲先生ご提供
 
 
 
手関節部掌側のガングリオン

a、b:橈骨動脈に接していることが多い。
 
(参考文献 藤哲:最新整形外科学体系 15-B 、手関節・手指II 15-B. 三浪明男,越智隆弘編. 中山書店,2007;201-205)

出典

img1:  藤哲先生ご提供
 
 
 
尺骨神経深枝麻痺を呈した手掌内ガングリオン

a:母指球皮線に沿った皮切。
b,c:腫瘤は尺骨神経深枝を圧迫していた。
d:摘出したガングリオン。
 
(参考文献 藤哲, 成田 俊介:手・指ガングリオン, 整形外科の小手術, OS NOW , 1995; 19, 141-147,)

出典

img1:  藤哲先生ご提供
 
 
 
Guyon管に発生し尺骨神経麻痺を呈した例

a:尺骨神経深枝(運動支配神経)を圧迫していた。
b:同図。
c:摘出したガングリオン。
 
(参考文献 a,c: 藤 哲:最新整形外科学体系 15-B 手関節・手指II 15-B: 三浪明男、越智隆弘編.中山書店, 2007; 201-205)

出典

img1:  藤哲先生ご提供
 
 
 
基節骨掌側のガングリオン

a:近位指皮線部のzig-zag 皮切にて展開し、橈側・尺側の神経血管束を損傷しないように注意する。
b:腫瘤に屈筋腱A1靱帯性腱鞘の一部を含めて摘出する。

出典

img1:  藤哲先生ご提供
 
 
 
粘液嚢腫

a:外観および手術所見
b:腫瘤の茎部をDIP 関節包を含めて摘出する。骨棘が存在する場合は切除する。
c:摘出標本。
 
(参考文献 a,c:藤 哲, 成田 俊介:手・指ガングリオン, 整形外科の小手術, OS NOW , 1995; 19, 141-147)

出典

img1:  藤哲先生ご提供
 
 
 
問診・診察のポイント  
問診:
  1. 腫瘤の消失・増大を繰り返しているか[12]
  1. 発症時期。

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文献 

L Andrén, O Eiken
Arthrographic studies of wrist ganglions.
J Bone Joint Surg Am. 1971 Mar;53(2):299-302.
Abstract/Text
PMID 5546702
A L Osterman, J Raphael
Arthroscopic resection of dorsal ganglion of the wrist.
Hand Clin. 1995 Feb;11(1):7-12.
Abstract/Text In summary, arthroscopic resection is a reasonable approach for operative treatment of the dorsal ganglion. Arthroscopy is safe and addresses the key anatomic pathology. Recurrences to date have been equal to or less than with the open technique. Arthroscopic resection minimizes the surgical scar. Arthroscopy also permits evaluation of any intra-articular pathologic condition of either midcarpal or radiocarpal joints. In our series, 42% of patients had intra-articular pathologic conditions. In this study, these findings were recorded but not treated. Symptom resolution, therefore, correlated with ganglion resection and not with intra-articular pathologic conditions. We look forward to publishing our data in full at the completion of our study.

PMID 7751333
R Luchetti, A Badia, M Alfarano, J Orbay, I Indriago, B Mustapha
Arthroscopic resection of dorsal wrist ganglia and treatment of recurrences.
J Hand Surg Br. 2000 Feb;25(1):38-40. doi: 10.1054/jhsb.1999.0290.
Abstract/Text From 1995 to 1998, 30 patients with dorsal wrist ganglia and four with recurrent dorsal ganglia underwent arthroscopic resection. At a mean follow-up of 16 months, no complications were seen, but minimal pain persisted in three patients. Two recurrences were seen after arthroscopic resection of primary ganglia.

PMID 10763721

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