今日の臨床サポート 今日の臨床サポート

著者: 川﨑展 産業医科大学病院 人工関節センター

監修: 酒井昭典 産業医科大学 整形外科学教室

著者校正/監修レビュー済:2024/03/06
参考ガイドライン:
  1. 日本整形外科学会:変形性膝関節症診療ガイドライン2023
  1. 日本理学療法士協会:変形性膝関節症 理学療法診療ガイドライン
  1. 慢性疼痛診療ガイドライン作成ワーキンググループ:慢性疼痛診療ガイドライン2021
  1. 慢性疼痛治療ガイドライン作成ワーキンググループ:慢性疼痛治療ガイドライン2018
  1. 日本整形外科学会:変形性膝関節症の管理に関するOARSI勧告 OARSIによるエビデンスに基づくエキスパートコンセンサスガイドライン(日本整形外科学会変形性膝関節症診療ガイドライン策定委員会による適合化終了版) 第2版
  1. Osteoarthritis Research Society International :OARSI guidelines for the non-surgical management of knee, hip, and polyarticular osteoarthritis
患者向け説明資料

改訂のポイント:
  1. 『変形性膝関節症診療ガイドライン2023』の発刊に伴い改訂を行なった。
  1. 新ガイドラインを参考に、「概要・推奨」の推奨度を追記した。
  1. 各所に新ガイドラインにおける見解を追記した。該当する各文には「変形性膝関節症 診療ガイドライン2023では」とはじめている。
  1. 女性、高年齢および肥満がリスク因子であることを調査する論文について追記した(Silverwood V, et al. Osteoarthritis Caltilage. 2015 Apr;23 (4): 507-515)。
  1. 単純X線写真は骨病変以外の病態を直接観察できないことを示す論文について追記した(Guermazi A, et al. BMJ. 2012 Aug 29; 345: e5339)。

概要・推奨   

  1. 変形性膝関節症は、関節軟骨に退行性変化および変性が起こり、関節軟骨の破壊、骨棘の形成などの骨増殖性変化を伴い、関節の痛み、こわばり、可動域制限および関節の形態学的変化を起こす進行性の疾患である。
  1. 変形性膝関節症は、性別では女性に多く、肥満、糖尿病などのメタボリック症候群や認知障害の存在がリスク因子となりえるため、基礎疾患の予防および治療が重要である(推奨度1)
  1. 座位からの立ち上がり、歩行時、階段昇降時に疼痛が誘発される。進行し、関節腫脹が強い場合には、夜間痛などの安静時痛も見られるため、診察時に問診および観察する。
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病態・疫学・診察 

疾患情報(疫学・病態)  
疫学:
  1. 内閣府の発表によれば、2023年現在、2022年と比べ総人口が53万人減少したにも関わらず、65歳以上の高齢者人口は6.7万人増加し、3625万人を超え、総人口に占める割合は29%となった[1]
  1. 変形性膝関節症は、長期間の膝関節への負荷により起こる疾患であり、高齢者の運動器の疼痛や機能障害の原因となり、日常生活動作(ADL)を障害し、生活の質(QOL)を低下させ、要介護および要支援の原因となりえる。
  1. 2019年国民生活基礎調査[2]によれば、関節疾患は要支援の原因疾患の第1位(18.9%)であり、その主要疾患である変形性膝関節症は、健康寿命を短縮し、社会的に労働力の低下および医療経済の損失といった事態をもたらしている。
  1. 2005年より3040人の地域住民を対象として大規模住民コホートを行っている研究Research on Osteroarthritis / Osteoporosis Against Disability(ROAD)によれば、立位膝X線像でKellgren-Lawrence (K-L)分類[3]でgrade 2以上を変形性膝関節症ありと判断した場合、その有病率は54.6 %(男性42 %, 女性61.5 %)であった[4]。このデータから推測される我が国のX線上の変形性膝関節症の患者数は2530万人(男性860万人、女性1670万人)となる。
  1. また、K-L分類で0もしくは1であった1098人を追跡(平均追跡期間3.3年)し、K-L分類Grade 2以上に進行したとされるものを新規発生と定義すると、変形性膝関節症の累積年間発生率は2.9 %とされ、これから推測される変形性膝関節症の年間発症者数は190万人(男性50万人、女性140万人)と想定される[5]
  1. また、同調査では、メタボリック症候群の原因で、高血圧の存在は、将来の変形性膝関節症の発症リスクを2.48倍、耐糖能異常の存在は1.92倍に、さらに軽度認知障害の存在は4.19倍に上昇させることが報告されている[6]
  1. 1997年から2007年にわたって行われた三重県宮川村の65歳以上住民598人を対象とした宮川研究では、X線上の明確な変形性膝関節症の有病率は30 %であり、症候性変形性膝関節症の有病率は21.2 %(男性 10.7 %、女性 26.7 %)であった。
  1. 女性、高年齢および肥満が、X線上の変形性膝関節症に関与し、リスク因子であることを報告している[7]。解析方法により危険度は異なるが、大規模レビューによれば、odds比で過体重1.98(95% CI 1.57-2.20) 肥満 2.66(95% CI 2.15-3.28)、女性 1.68(5% CI 1.37-2.07)、膝外傷 2.83 (95% CI 1.91-4.19)と報告されている[8]
  1. さらに、新潟県松代町で40~65歳の住民1844人を対象とした松代膝健診では、1979年以来3〜7年間隔で縦断調査を行い、変形性膝関節症の自然経過を観察し、発症と進行に影響する機械的因子を調べている。その結果、日本人に多い内側型変形性膝関節症において、歩行立脚時に膝が外側に膨らみ内反し、遊脚期には内反が消失し元に戻る、いわゆる膝thrust(スラスト)の出現と、体脂肪率、大腿四頭筋力等が変形性膝関節症の発症と進行に関与することを報告している[9]
  1. 以上、疫学研究では、日本は人口の約20~30 %において、潜在的に変形性膝関節症が存在し、性別では女性に多く、肥満、糖尿病などのメタボリック症候群や認知障害の存在がリスク因子となり、機能的には、膝スラストの出現および大腿四頭筋力の低下が、その進行に関与するといえる。
 
病態:
  1. 変形性膝関節症は、関節を構成する軟骨に退行変性が起こり、破壊、関節周囲への骨棘形成などの増殖性変化をきたし、関節の痛み、水腫、こわばり、可動域制限などの症状を呈し、形態変化、主に内反変形を起こす進行性の疾患である<図表> <図表>
  1. 元々の内因的なアライメントに加え、身体の加齢による生理的な変化に、個々の活動性、体重過多、過重負荷などの外的要因が加わり、初期の変化として軟骨の変性、滑膜炎、半月板変性および骨髄内炎症性変化が生じ、そこに不安定性が加わり、軟骨損傷の悪循環が生じ、変形性膝関節症が発症するものと考えられる。特に一次性の変形性膝関節症において、アジア人は、蹲踞の姿勢や正座が生活様式に取り入れられるため、その発症に関与しているとの報告がある[10]。また、二次性の変形性膝関節症の原因としては、前十字靱帯損傷などの外傷の既往が重要で、不安定性からその発症に起因する[11]
  1. 病理学的には、病期の進行に伴い、軟骨細胞外基質構成成分のプロテオグリカン、コラーゲンおよびヒアルロン酸などが破壊および遊離し、二次的に滑膜炎を起こし、関節周囲の骨増殖性変化を生じ、関節破壊に至ると考えられている。
 
症状:
  1. 疼痛;
  1. 安静時痛よりも運動時痛を主訴とする。座位からの立ち上がり、歩行時、階段昇降時に疼痛が誘発される。進行し、関節腫脹が強い場合には、夜間痛などの安静時痛も見られる。圧痛は、内側型変形性膝関節症の場合、内側大腿脛骨関節裂隙から大腿骨内側顆部にかけて認められる。圧痛部位は、Pain drawingにおけるエリア4に認め、外側型変形性膝関節症の場合は、エリア8に認める<図表>
  1. 腫脹;
  1. 変形性膝関節症が進行すると、関節液の貯留および滑膜の増殖を認める。水腫により関節内圧が上昇し、疼痛が増悪する。水腫の性状は、粘稠度が高く、黄色透明の性状を示し、時にdebrisと呼ばれる軟骨片の浮遊が見られる<図表>
  1. 可動域制限;
  1. 病期の初期には認めることは少ないが、進行するに伴い、可動域制限が出現する。病期が進行すると完全伸展が不能となる屈曲拘縮が出現する。時に、変性断裂した半月板や、増殖した滑膜ひだ、軟骨片の遊離体が関節に挟まると嵌頓症状を呈することがある。
  1. 変形;
  1. 我が国では内反変形(O脚変形)を呈することが多い<図表>。内反変形は荷重軸の内側移動を起こし、さらに内側の大腿脛骨関節面に力学的負荷が集中し、変形が進行するという悪循環をもたらす。外反変形は少ないが、<図表>に示すような右内反変形と左外反変形が混在する、いわゆるWindswept変形を認めることがあり、その場合、股関節の病態(この場合、左変形性股関節症による内転拘縮)から生じる膝関節の二次性の変形のため、その病態を観察することが重要である。
  1. 筋力低下および不安定性;
  1. 疼痛による廃用症候群が加わり、大腿四頭筋力(特に内側広筋)の低下が起こる。筋力が落ちると、内外反の動揺性も出現し、歩行サイクルの立脚期に内外反変形が増大する膝スラストが出現する。
 
問診・診察のポイント  
問診:
  1. 誘因および発症時期の確認を行う。

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薬剤監修について:
オーダー内の薬剤用量は日本医科大学付属病院 薬剤部 部長 伊勢雄也 以下、渡邉裕次、井ノ口岳洋、梅田将光および日本医科大学多摩永山病院 副薬剤部長 林太祐による疑義照会のプロセスを実施、疑義照会の対象については著者の方による再確認を実施しております。
※薬剤中分類、用法、同効薬、診療報酬は、エルゼビアが独自に作成した薬剤情報であり、 著者により作成された情報ではありません。
尚、用法は添付文書より、同効薬は、薬剤師監修のもとで作成しております。
※同効薬・小児・妊娠および授乳中の注意事項等は、海外の情報も掲載しており、日本の医療事情に適応しない場合があります。
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著者のCOI(Conflicts of Interest)開示:
川﨑展 : 特に申告事項無し[2024年]
監修:酒井昭典 : 講演料(旭化成ファーマ(株),日本臓器製薬(株),帝人ヘルスケア(株))[2024年]

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変形性膝関節症

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