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著者: 日浅陽一1) 愛媛大学大学院 消化器・内分泌・代謝内科学(第三内科)

著者: 徳本良雄2) 愛媛大学大学院 消化器・内分泌・代謝内科学(第三内科)/愛媛大学医学部附属病院 肝疾患診療相談センター

監修: 持田智 埼玉医科大学 消化器内科・肝臓内科

著者校正/監修レビュー済:2025/05/29
参考ガイドライン:
  1. 田中篤:薬物性肝障害スコアリングシステム―RECAM-J 2023―. 肝臓. 65:482-490,2024.
  1. 伊藤隆徳、竹内康人、水野和幸、他:免疫チェックポイント阻害剤による肝障害の診断指針. 肝臓. 65:268-276,2024.
  1. 厚生労働省:重篤副作用疾患別対応マニュアル 薬物性肝障害 令和元年9月改定
  1. 欧州肝臓学会:EASL Clinical Practice Guidelines: Drug-induced liver injury. Journal of Hepatology. 70:1222-1261,2019.
  1. 国際医学団体協議会:Drug-Induced Liver Injury (DILI). Current status and future directions for drug development and the post-market setting. A consensus by a CIOMS Working Group. Geneva: Council for International Organizations of Medical Sciences (CIOMS), 2020.
患者向け説明資料

改訂のポイント:
  1. 海外で発表された新しい薬物性肝障害のスコアリング(RECAM)を基盤に、わが国の現状に沿った新しいスコアリングシステム(RECAM-J 2023)が提唱されたため、同スコアリングの項目に合わせて内容を整理した。
  1. RECAM-J 2023を用いて薬物性肝障害の可能性を評価する。あくまで被疑薬が肝胆道系酵素上昇の原因となる可能性を評価するためのスコアリングシステムであり、診断基準ではないことを理解しておく。
  1. 免疫チェックポイント阻害剤(ICI)による肝障害や免疫抑制療法中のB型肝炎ウイルスの再活性化など、これまでと異なる発症機序の薬物性肝障害が増加しているため記述を追加した。
  1. ICIによる肝障害では、副腎皮質ステロイドの奏効率が異なるため、R値による病型分類をまず行う。また、CTCAE v5.0による有害事象の重症度を判定する。多くの場合はICI中止に加えて、副腎皮質ステロイドの導入を要する。
  1. 症例として他臓器の免疫関連有害事象治療中に発症した、ICIによるステロイド薬治療抵抗性の肝障害例を追記した。詳細は本文を参照されたい。

概要・推奨   

  1. 薬物服用後に食思不振、倦怠感、発熱、黄疸などの急性肝障害の症状が起こり、他の疾患が除外された場合に疑われる疾患である。
  1. 薬物誘発性の脂肪肝や腫瘍など薬物による肝病変を総称して薬物性肝障害とよぶことが多い。
  1. 免疫抑制療法・化学療法中のB型肝炎ウイルス再活性化、HHV-6などの再活性化による薬剤性過敏症症候群(DIHS)、免疫チェックポイント阻害剤(ICI)による肝障害など、特定の表現型を呈する特殊型の薬物性肝障害があることを知っておく。
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病態・疫学・診察 

疾患情報(疫学・病態)  
  1. 薬物性肝障害は薬物副反応の肝臓における表現型である。
  1. 薬物によって起こるすべての肝疾患(肝腫瘍、脂肪肝など)を総称して薬物性肝障害とする考え方が世界的にも広がっている。
  1. 発生機序から予測可能なものと特異体質によるものに分類され、ほとんどは特異体質に基づく予測のできない薬物性肝障害である。
  1. 後者はさらにアレルギー性と、個体の特異体質に基づき産生された肝毒性の高い代謝物が肝障害を生じると考えられる代謝性とに大別される。
  1. 一部の薬物は特定の表現型を呈することを知っておく必要がある(<図表>)。
  1. 狭義には薬物による肝細胞障害、もしくは肝内胆汁うっ滞を呈する急性の肝障害を指し、本稿では急性肝障害を呈する薬物性肝障害を中心に述べる。
  1. 起因薬としては解熱・鎮痛・抗炎症薬、抗菌薬、抗腫瘍薬、健康食品、消化器用薬、精神科・神経科用薬、漢方薬、循環器薬の順に多く、特に健康食品の頻度の増加が近年著しい[1][2]
  1. 胆汁うっ滞型を呈する起因薬の減少により、肝細胞障害型の頻度が増加しており、約60%を占めている[2]
 
特殊型の薬物性肝障害と代表的な薬物

参考文献:
  1. 厚生労働省:重篤副作用疾患別対応マニュアル 薬物性肝障害 令和元年9月改定(https://www.pmda.go.jp/files/000234239.pdf)
  1. 欧州肝臓学会:EASL Clinical Practice Guidelines: Drug-induced liver injury. Journal of Hepatology. 70:1222-1261,2019.

出典

著者提供
問診・診察のポイント  
  1. 薬物性肝障害を疑ったら、患者の薬物服用を、健康食品も含めて詳細に聴取する必要がある。特に服薬期間の情報は重要である。

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薬剤監修について:
オーダー内の薬剤用量は日本医科大学付属病院 薬剤部 部長 伊勢雄也 以下、渡邉裕次、井ノ口岳洋、梅田将光および日本医科大学多摩永山病院 副薬剤部長 林太祐による疑義照会のプロセスを実施、疑義照会の対象については著者の方による再確認を実施しております。
※薬剤中分類、用法、同効薬、診療報酬は、エルゼビアが独自に作成した薬剤情報であり、 著者により作成された情報ではありません。
尚、用法は添付文書より、同効薬は、薬剤師監修のもとで作成しております。
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(詳細はこちらを参照)
著者のCOI(Conflicts of Interest)開示:
日浅陽一 : 講演料(ギリアド・サイエンシズ(株),あすか製薬(株),アストラゼネカ(株),大正製薬(株),大塚製薬(株))[2024年]
徳本良雄 : 特に申告事項無し[2025年]
監修:持田智 : 講演料(エーザイ(株),中外製薬(株),あすか製薬(株),東レ(株),ギリアド・サイエンシズ(株),アッヴィ合同会社)[2025年]

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