今日の臨床サポート 今日の臨床サポート

著者: 関 義信 新潟大学医歯学総合病院

監修: 宮﨑泰司 長崎大学病院血液内科

著者校正/監修レビュー済:2024/10/02
参考ガイドライン:
  1. 日本血栓止血学会:DIC診断基準2017年度版
  1. 日本集中治療医学会日本救急医学会:日本版敗血症診療ガイドライン2020
  1. 日本血液学会:日本血液学会造血器腫瘍診療ガイドライン2023年版
患者向け説明資料

改訂のポイント:
  1. 『造血器腫瘍診療ガイドライン 2023年版』の改訂と著者交代に伴い、表現や表記などを全体的な改訂を行った。

概要・推奨   

  1. 種性血管内凝固(DIC)は、造血器腫瘍、固形がん、敗血症を基礎疾患として発症する確率が高いが、その他あらゆる生体ストレスで発症する可能性がある。常にその存在を疑うことが重要である(推奨度1)
  1. また、DICを早期診断するための特異的な所見、単独での臨床検査は少ないため、臨床症状および検査成績をスコア化して診断している(推奨度1)
  1. 敗血症DICでは臓器障害が、造血器・固形がんの一部・血管異常・外傷DICでは出血症状が顕著になる場合が多いが、個々の症例に注意が必要である(推奨度2)
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病態・疫学・診察 

疾患情報  
  1. 播種性血管内凝固(DIC)の診断は、基礎疾患の病状を確認し、診断基準に挙げられている凝固線溶系の異常を表す各種検査項目を測定することにより可能となる(スコアリングシステム)。単独の検査項目では診断しない。
  1. わが国で広く用いられているDICの診断基準は、旧厚生省DIC研究班の診断基準(1988年改訂)と、日本救急医学会が主導して作成した急性期DIC診断基準である。一方、海外では国際血栓止血学会/科学的標準化委員会のovert-DIC診断基準が頻用されている。
  1. 日本血栓止血学会は診断感度と特異度を高める目的で新たな診断基準を2017年に発表した。基礎疾患ごとに診断基準を設けたことや、予後マーカーとしてのAT、TAT・可溶性フィブリン(SF)・プロトロンビンフラグメント(PF)1+2などの分子マーカーを評価項目に取り入れた点が特徴的である。急性期DIC診断基準に倣い、血小板の継時的な推移も評価項目に加えている。今後、TAT、SF、PF1+2の検査項目が一般化することでこの診断基準の使用頻度が増すことが期待される。
  1. DIC診断基準の比較:表<図表>
  1. 救急領域のDIC診断には急性期DIC診断基準を、それ以外の領域のDIC診断には旧厚生省DIC研究班の診断基準(1988年改訂)、あるいは日本血栓止血学会DIC診断基準2017年版を使用することを推奨する。
  1. わが国におけるDIC患者数は、1992年度の旧厚生省研究班の疫学調査では73,000人/年である。死亡率は56.0%とされていたが、2009年度の日本血栓止血学会の疫学調査では40.0%であった。
  1. 基礎疾患の種類によってDICの病態は大きく異なる。DICの病態が凝固優位か線溶優位かによって、治療方針も異なってくる。
  1. DICの2大症状は、出血症状と臓器症状であるが、臓器症状と思われる臨床症状が出現すると、予後はきわめて不良である。
問診・診察のポイント  
  1. 血小板低下時は、DICの存在を常に念頭に置いて診療する。

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薬剤監修について:
オーダー内の薬剤用量は日本医科大学付属病院 薬剤部 部長 伊勢雄也 以下、渡邉裕次、井ノ口岳洋、梅田将光および日本医科大学多摩永山病院 副薬剤部長 林太祐による疑義照会のプロセスを実施、疑義照会の対象については著者の方による再確認を実施しております。
※薬剤中分類、用法、同効薬、診療報酬は、エルゼビアが独自に作成した薬剤情報であり、 著者により作成された情報ではありません。
尚、用法は添付文書より、同効薬は、薬剤師監修のもとで作成しております。
※同効薬・小児・妊娠および授乳中の注意事項等は、海外の情報も掲載しており、日本の医療事情に適応しない場合があります。
※薬剤情報の(適外/適内/⽤量内/⽤量外/㊜)等の表記は、エルゼビアジャパン編集部によって記載日時にレセプトチェックソフトなどで確認し作成しております。ただし、これらの記載は、実際の保険適応の査定において保険適応及び保険適応外と判断されることを保証するものではありません。また、検査薬、輸液、血液製剤、全身麻酔薬、抗癌剤等の薬剤は保険適応の記載の一部を割愛させていただいています。
(詳細はこちらを参照)
著者のCOI(Conflicts of Interest)開示:
関 義信 : 未申告[2024年]
監修:宮﨑泰司 : 未申告[2024年]

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播種性血管内凝固(DIC)(血液内科)

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