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糖尿病治療薬(薬理)

著者: 中原 保裕 (有)ファーマシューティカルケア研究所

著者校正/監修レビュー済:2020/03/12
参考ガイドライン:
  1. 日本糖尿病学会:糖尿病診療ガイドライン2019

概要・推奨   

  1. 糖尿病の治療薬は、インスリンと経口血糖コントロール薬の2種類に分かれ、経口血糖コントロール薬としては、スルホニル尿素薬(SU薬)、ビグアナイド、αグルコシダーゼ阻害薬、速効型インスリン分泌促進薬、チアゾリジン薬、DPP-4阻害薬、GLP-1受容体作動薬、SGLT2阻害薬、糖尿病治療薬配合薬が用いられている。
薬剤監修について:
オーダー内の薬剤用量は日本医科大学付属病院 薬剤部 部長 伊勢雄也 以下、林太祐、渡邉裕次、井ノ口岳洋、梅田将光による疑義照会のプロセスを実施、疑義照会の対象については著者の方による再確認を実施しております。
※薬剤中分類、用法、同効薬、診療報酬は、エルゼビアが独自に作成した薬剤情報であり、
著者により作成された情報ではありません。
尚、用法は添付文書より、同効薬は、薬剤師監修のもとで作成しております。
※薬剤情報の(適外/適内/⽤量内/⽤量外/㊜)等の表記は、エルゼビアジャパン編集部によって記載日時にレセプトチェックソフトなどで確認し作成しております。ただし、これらの記載は、実際の保険適用の査定において保険適用及び保険適用外と判断されることを保証するものではありません。また、検査薬、輸液、血液製剤、全身麻酔薬、抗癌剤等の薬剤は保険適用の記載の一部を割愛させていただいています。
(詳細はこちらを参照)
著者のCOI(Conflicts of Interest)開示:
中原 保裕 : 特に申告事項無し[2021年]

改訂のポイント:
  1. 定期レビューを行い、内容の整理、およびインスリンとGLP-1受容体作動薬の合剤(ゾルトファイ)の追記を行った。

各論

糖尿病治療薬のまとめ  
  1. 糖尿病の治療薬は、インスリンと経口血糖コントロール薬の2種類に分かれ、経口血糖コントロール薬としては、スルホニル尿素薬(SU薬)、ビグアナイド、αグルコシダーゼ阻害薬、速効型インスリン分泌促進薬、チアゾリジン薬、DPP-4阻害薬、GLP-1受容体作動薬、SGLT2阻害薬、糖尿病治療薬配合薬が用いられている。
  1. 通常、運動療法、食事療法にて数カ月間経過をみて、改善傾向がない場合には薬物療法の適応になる。
 
糖尿病の薬の作用

  1. 血糖値改善作用
  1. インスリン補充→インスリン製剤
  1. 体内インスリン分泌増強→SU薬、DPP-4阻害薬、GLP-1アナログ製剤
  1. インスリン反応性の改善→インスリン抵抗改善薬
  1. 糖新生の抑圧→ビグアナイド薬
  1. 糖吸収パターン遅延→αグルコシダーゼ阻害薬
  1. 食後過血糖抑制→速効型インスリン分泌促進薬
  1. 糖の再吸収→SGL-T2阻害薬
  1. 末梢神経改善作用
  1. ソルビトール産生抑制→アルドース還元酵素阻害薬
  1. 疼痛伝達抑制→抗不整脈薬、抗てんかん薬
 
  1. インスリン製剤:細胞膜にあるインスリン受容体と結合して糖の取り込みを増強する。
  1. SU薬:β細胞膜にあるATP感受性Kチャネルを閉じ、膜を脱分極させ膜電位依存性Caチャネルを開きインスリンを分泌させる。
  1. DPP-4阻害薬:インクレチンを分解するDPP-4の活性を阻害してインスリンの分泌を促進する。
  1. GLP-1アナログ製剤:インクレチンを同じ作用をもつ物質を投与してβ細胞からインスリンの分泌を促進する。
  1. インスリン抵抗改善薬:インスリン抵抗性の原因のひとつであるTNF-αの産生を抑制したり、脂肪酸の分化を促進させるPPAR2の活性を高める。
  1. ビグアナイド薬:肝臓での糖新生抑制、糖の腸管吸収抑制、末梢組織の糖利用の促進作用がある。
  1. αグルコシダーゼ阻害薬:糖はαグルコシダーゼにより分解され吸収されるのでこの酵素の活性を阻害する。
  1. アルドース還元酵素阻害薬:グルコースからソルビトールに変換する際に働くアルドース還元酵素を阻害して末梢神経障害の原因のひとつとされるソルビトールの産生を抑える。
  1. SGLT2阻害薬:近位尿細管で行われている糖の再吸収にかかわっているSGL-T2の働きを阻害する。

出典

 
糖尿病患者の治療の流れ

薬剤選択は血管合併症に対するエビデンスの有無により判断した。

 
経口血糖コントロール薬による加療:
  1. 経口血糖コントロール薬で、最も有効性のエビデンスのある薬剤は、ビグアナイドとSU薬であるため、これらの薬剤を第1選択とし、効果不十分の場合はαグルコシダーゼ阻害薬、速効型インスリン分泌促進薬、チアゾリジン薬などの薬剤への変更やそれらの薬剤の併用を検討する。
  1. 糖尿病患者の治療の流れ:図アルゴリズム
  1. 急激な血糖の低下はむしろ体に負担となる可能性があるため、HbA1c低下0.5~1.0%/月を目指す。特に、網膜症を認める場合や長期間にわたりHbA1c高値が持続している場合は、より緩徐な降下にする。
 
インスリン加療:
  1. 下記の絶対適応と相対適応を評価し、絶対適応の場合には、速やかにインスリン加療を考慮する。相対適応に関しては、基本的にはインスリンによる加療が望ましいが、患者の希望、生活スタイル等を評価し加療の適応を考える。
  1. 絶対適応:
  1. 1型糖尿病、糖尿病性昏睡、ケトアシドーシス、重度の肝障害・腎障害、感染症、妊娠(妊娠計画期、妊娠中、授乳期)
  1. 相対適応:
  1. 高血糖による症状、著明な高血糖(約300mg/dl以上)、尿ケトン体陽性、経口血糖ントロール薬で血糖コントロールが不十分(HbA1c[NGSP]8.4%以上)
 
  1. 糖尿病治療薬配合薬
  1. メタクト配合錠(ピオグリタゾン、メトホルミン):インスリン抵抗性改善
  1. ソニアス配合錠(ピオグリタゾン、グリメピリド):血糖低下、インスリン抵抗改善
  1. グルベス配合錠(ミチグリド、ボグリボース):食後過血糖低下
  1. リオベル配合錠(アログリプチン、ピオグリタゾン):ピオグリタゾンによる体重増加を軽減
  1. エクメット配合錠(ビルダグリプチン、メトホルミン)
  1. イニシンク配合錠(アログリプチン、メトホルミン)
  1. カナリア配合錠(テネリグリプチン、カナグソフロジン)
スルホニル尿素薬(SU薬)  
ポイント(薬理・病態):
  1. SU薬は、ランゲルハンス島β細胞膜に存在するSU受容体に結合して細胞内のCaイオン濃度を上昇させ、蓄積しているインスリンを分泌させることにより血糖を下げる効果がある。インスリン分泌能の低下例に良い適応を持つ薬剤である。非肥満例、HbA1c高値など、インスリン分泌能の低下が示唆される症例では特に考慮され、HBA1cを1~2%、血糖を20%ほど下げる効果がある。しかし、肥満を誘発する可能性があり、食事指導、運動療法とともに開始をする必要がある。また、SU薬の長期使用によって膵β細胞は絶えず鞭打たれ、やがて疲弊してしまう場合がある。

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