今日の臨床サポート 今日の臨床サポート

著者: 高本偉碩1) 東京医科大学茨城医療センター 代謝・内分泌内科

著者: 大杉満2) 国立国際医療研究センター病院 糖尿病内分泌代謝科

監修: 野田光彦 国際医療福祉大学市川病院 糖尿病・代謝・内分泌内科

著者校正/監修レビュー済:2023/08/02
参考ガイドライン:
  1. 日本糖尿病学会:糖尿病診療ガイドライン2019: 20.糖尿病における急性代謝失調・シックデイ(感染症を含む)
  1. 日本老年医学会日本糖尿病学会:高齢者糖尿病診療ガイドライン2023: XI. 低血糖およびシックデイ対策
  1. Endocrine Society:Management of Individuals With Diabetes at High Risk for Hypoglycemia: An Endocrine Society Clinical Practice Guideline. 2023
  1. Endocrine Society:Evaluation and management of adult hypoglycemic disorders: an Endocrine Society Clinical Practice Guideline. 2009
患者向け説明資料

改訂のポイント:
  1. 2019年~2023年に発表された以下の診療ガイドラインの内容を収載した。
  1. 『糖尿病診療ガイドライン2019』
  1. 『高齢者糖尿病診療ガイドライン2023』
  1. Management of Individuals With Diabetes at High Risk for Hypoglycemia: An Endocrine Society Clinical Practice Guideline (2023)
  1. 持続グルコース測定(CGM)が普及してきており、CGMを用いた低血糖の把握について記載した。
  1. 2020年にわが国で低血糖時救急治療薬としてグルカゴン点鼻薬が承認された。
  1. 減量・代謝改善手術(肥満外科手術)後の低血糖について追記した。

概要・推奨   

  1. 一般的には糖尿病治療に伴う低血糖が大多数を占めるため、糖尿病治療の調整や低血糖の予防を講ずることに十分な時間を割くべきである(推奨度1
  1. 頻回インスリン注射やインスリンポンプ治療を実施している1型糖尿病患者においては、持続グルコース測定(CGM)を行うべきである(推奨度1)
  1. 近年、減量・代謝改善手術(肥満外科⼿後に重症低血糖をきたす症例が報告されており、特に消化管バイパス術後は低血糖の出現に注意する
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病態・疫学・診察 

疾患情報(疫学・病態)  
  1. 低血糖症状があること、低血糖が検査などで証明され、かつ血糖が上昇すると症状が改善する場合に低血糖の原因検索を行う。
  1. 問診、身体所見などから、薬剤、重篤な基礎疾患、内分泌不全、(膵島腫瘍以外の)腫瘍性疾患が存在しないかまずは疑う。
  1. 一般的には糖尿病治療に伴う低血糖が大多数を占める。重症低血糖は、回復に他者の介助を必要とする低血糖と定義される。
  1. わが国において、救急搬送された重症低血糖による意識障害の症例の特徴として、70歳以上、腎機能障害、スルホニル尿素(SU)薬内服中が挙げられる。また、重症低血糖は年間救急搬送件数の0.34%を占めており、病型は1型が約30%、2型が約60%を占め、2型糖尿病の症例ではインスリン使用例が約60%、SU薬使用例が約30%を占めていた[1]
  1. やみくもに採血を行うのではなく、十分な低血糖で採血された検体を用いると、正確な原因診断が可能になる。
  1. だたし、2014年よりわが国では救急救命士の行う救急救命処置として、医師の具体的な指示の下での心肺機能停止前の重度傷病者に対する静脈路確保および輸液ならびに低血糖発作症例へのブドウ糖溶液の投与が可能となっており、救急車搬送事例では、低血糖の原因診断が難しいこともある。
  1. 絶食試験は糖尿病専門医や内分泌代謝科専門医の指示・管理のもと入院して行われるべきである。
病歴・診察のポイント  
  1. 病歴・診察により、患者の全身状態が良好なのか、他の疾患(心疾患、肝疾患、腎疾患)があり全身状態が不良なのか、また入院中の患者かがどうかを確認する。

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薬剤監修について:
オーダー内の薬剤用量は日本医科大学付属病院 薬剤部 部長 伊勢雄也 以下、渡邉裕次、井ノ口岳洋、梅田将光および日本医科大学多摩永山病院 副薬剤部長 林太祐による疑義照会のプロセスを実施、疑義照会の対象については著者の方による再確認を実施しております。
※薬剤中分類、用法、同効薬、診療報酬は、エルゼビアが独自に作成した薬剤情報であり、 著者により作成された情報ではありません。
尚、用法は添付文書より、同効薬は、薬剤師監修のもとで作成しております。
※同効薬・小児・妊娠および授乳中の注意事項等は、海外の情報も掲載しており、日本の医療事情に適応しない場合があります。
※薬剤情報の(適外/適内/⽤量内/⽤量外/㊜)等の表記は、エルゼビアジャパン編集部によって記載日時にレセプトチェックソフトなどで確認し作成しております。ただし、これらの記載は、実際の保険適応の査定において保険適応及び保険適応外と判断されることを保証するものではありません。また、検査薬、輸液、血液製剤、全身麻酔薬、抗癌剤等の薬剤は保険適応の記載の一部を割愛させていただいています。
(詳細はこちらを参照)
著者のCOI(Conflicts of Interest)開示:
高本偉碩 : 未申告[2024年]
大杉満 : 未申告[2024年]
監修:野田光彦 : 特に申告事項無し[2024年]

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