今日の臨床サポート 今日の臨床サポート

著者: 原田拓弥 国立健康危機管理研究機構(JIHS)国立国際医療センター膠原病科

監修: 金子礼志 国立健康危機管理研究機構(JIHS)国立国際医療センター 膠原病科

著者校正/監修レビュー済:2025/11/12
参考ガイドライン:
  1. The 2023 ACR/EULAR Antiphospholipid Syndrome Classification Criteria
  1. EULAR recommendations for the management of antiphospholipid syndrome in adults
  1. 平成27年度日本医療研究開発機構成育疾患克服等総合研究事業「抗リン脂質抗体症候群合併妊娠の治療及び予後に関する研究」研究班 編:抗リン脂質抗体症候群合併妊娠の診療ガイドライン
  1. 厚生労働科学研究費補助金(難治性疾患政策研究事業)難治性血管炎に関する調査研究:抗リン脂質抗体症候群・好酸球性多発血管炎性肉芽腫・結節性多発動脈炎・リウマトイド血管炎の治療の手引き2020
患者向け説明資料

改訂のポイント:
  1. 『The 2023 ACR/EULAR Antiphospholipid Syndrome Classification Criteria』(Barbhaiya M, et al. Arthritis Rheumatol. 2023 Oct;75(10):1687-1702. PMID: 37635643.)を参照に、下記の点を加筆・修正した。
  1. 従来は12週以上空けて2回の抗リン脂質抗体プロファイルの確認が求められていたが、新しい分類基準では、血栓症候と過去3年以内の1回以上の抗リン脂質抗体プロファイル陽性(ループスアンチコアグラント陽性、または中力価以上の抗カルジオリピン抗体陽性、または中力価以上の抗β2-GP I抗体陽性 [IgGまたはIgM])で分類ができるようになった。
  1. 新分類基準では、各血栓症候に対して重み付けがなされ、静脈血栓症・動脈血栓症の一般的なリスクが高くない中で生じた静脈血栓症・動脈血栓症が高く評価されるようになった。
  1. Clinical domain 3点以上+Laboratory domain 3点以上で抗リン脂質抗体症候群と分類可能となる。
  1. 新分類基準はSapporo Criteriaシドニー改変よりも感度は下がるが、特異度が高い分類基準である(新分類基準 感度83~84%、特異度99%。Sapporo Criteriaシドニー改変 感度99~100%、特異度86~91%)。

概要・推奨   

診断
  1. The 2023 ACR/EULAR Antiphospholipid Syndrome Classification Criteria[1]に基づいて分類する。
  1. 抗カルジオリピン抗体(aCL)、カルジオリピン依存性抗β2-GP I抗体(aCL/β2GP I)、ループスアンチコアグラント(LA)を測定する(APSパネル)。これらは疾患分類だけでなく、各抗体価に着目することでリスク評価に役立てることができる。
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  1. APSパネルについて、12週以上あけて2回以上のdouble positiveまたはtriple positiveがあれば血栓症高リスクである。single positiveでも高力価の抗リン脂質抗体が2回検出された場合は高リスクである。1回だけ、低力価の抗カルジオリピン抗体または抗β2-GP I抗体が検出された場合は低リスクである。
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薬剤監修について:
オーダー内の薬剤用量は日本医科大学付属病院 薬剤部 部長 伊勢雄也 以下、渡邉裕次、井ノ口岳洋、梅田将光および日本医科大学多摩永山病院 副薬剤部長 林太祐による疑義照会のプロセスを実施、疑義照会の対象については著者の方による再確認を実施しております。
※薬剤中分類、用法、同効薬、診療報酬は、エルゼビアが独自に作成した薬剤情報であり、 著者により作成された情報ではありません。
尚、用法は添付文書より、同効薬は、薬剤師監修のもとで作成しております。
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(詳細はこちらを参照)
著者のCOI(Conflicts of Interest)開示:
監修:金子礼志 : 特に申告事項無し[2025年]

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