今日の臨床サポート 今日の臨床サポート

著者: 多田久里守 順天堂大学医学部膠原病内科

著者: 田村直人 順天堂大学医学部膠原病内科

監修: 上阪等 千葉西総合病院 膠原病リウマチセンター

著者校正/監修レビュー済:2023/10/25
参考ガイドライン:
  1. ASAS-EULAR recommendations for the management of axial spondyloarthritis: 2022 update. Ann Rheum Dis. 2023 Jan;82(1):19-34.
  1. 厚生労働省難病情報センター:強直性脊椎炎(指定難病271)
患者向け説明資料

改訂のポイント:
  1. ASAS(国際脊椎関節炎評価学会)とEULAR(欧州リウマチ学会)共同のRecommendationの新たなupdate(2022)を参照に、下記の点を加筆・修正した。
  1. 従来のNSAIDs、グルココルチコイド、従来型合成DMARDsによる治療でコントロールできない場合、TNF阻害薬、IL-17阻害薬に加えてJAK阻害薬が追加された。
  1. TNF阻害薬とIL-17阻害薬が治療として同列となり、JAK阻害薬は次の選択肢となった。
  1. 生物学的製剤(bDMARDs)の使用にあたって、関節外症状を考慮した選択が記載された。
  1. 最初のbDMARDsまたはJAK阻害薬で有効性が見られなかった場合には、診断の見直しや合併症(線維筋痛症やうつ病など)の再評価を行うこと。
  1. bDMARDsまたはJAK阻害薬で長期に寛解状態にある場合は薬剤の減量(投与間隔をあけること)を考慮しても良い。
  1. 2022年に承認されたウパダシチニブについて加筆した。

概要・推奨   

  1. 強直性脊椎炎、X線基準を満たさない体軸性脊椎関節炎を正しく理解する。
  1. 診断は、さまざまな臨床徴候などに基づき、除外・鑑別診断を行ってから判断する。
  1. 分類基準の基準項目は、診断の参考にはなるが、分類基準のチェックリストだけに合わせて診断してはならない。
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分類 

脊椎関節炎(spondyloarthritis、SpA)の分類  
  1. 脊椎関節炎(spondyloarthritis: SpA)はいくつかの疾患のグループ名であり、以前は血清反応陰性脊椎関節炎(seronegative spondyloarthritis)と言われていた。
  1. SpAの特徴:
    SpAの疾患概念は、古くは関節リウマチ(RA)と区別する目的で確立された。つまり、1) 血清のリウマトイド因子(RF)は陰性である、2) RAで認められる皮下結節やその他の関節外病変は認めない、SpAがRAとは異なることが明らかになり、3) 体軸関節炎を伴う(その症状は炎症性腰背部痛)、4) 末梢性関節炎を伴う(ASでは下肢を中心に、非対称性、4カ所以下の関節炎)、5) 付着部炎・指趾炎を伴う、6) 家族性発症が認められ、HLA-B27が重要である、7) 乾癬、炎症性腸疾患、前部ぶどう膜炎などの関節外症状を認める――がSpAの特徴として知られている。
  1. ASAS(Assesment of SpondyloArthritis international Society)は、SpAを体軸病変が優位な疾患を体軸性脊椎関節炎(axial spondyloarthritis: axSpA)、末梢関節病変が優位な疾患を末梢性脊椎関節炎(peripheral spondyloarthritis: pSpA)と大きく分類した。ただし、axSpAでも末梢の関節炎をきたすこともあれば、pSpAでも体軸病変をきたすこともある。
  1. 前者のaxSpAには、強直性脊椎炎(ankylosing spondylitis: AS)と「X線基準を満たさない体軸性脊椎関節炎(non-radiographic axial SpA: nr-axSpA)」が存在し、後者のpSpAには、乾癬性関節炎(psoriatic arthritis: PsA)、反応性関節炎(reactiv arthritis: ReA)、炎症性腸疾患(inflammatory bowel disease: IBD)に伴う脊椎関節炎(IBD-SpA)、分類不能脊椎関節炎(undiffertentiated SpA: uSpA)が存在する。
  1. 注意すべきことは、pSpAは「分類名」であり、疾患名や診断名ではないので臨床の現場では区別しなければならない。これはpSpAに分類されるPsA、ReA、IBD-SpA間では、病因・病態が異なり、治療方針や治療の注意点などが異なるためである。一方、axSpAでは、“ankylosing(強直性)”というイメージの良くない言葉を外す目的から、ASを“radiographic axial SpA(r-axSpA)”と呼ぶことが欧州から提唱されている。
 
脊椎関節炎の分類

参考文献:
  1. Han C, Robinson DW Jr, Hackett MV, Paramore LC, Fraeman KH, Bala MV. Cardiovascular disease and risk factors in patients with rheumatoid arthritis, psoriatic arthritis, and ankylosing spondylitis. J Rheumatol. 2006 Nov;33(11):2167-72. Epub 2006 Sep 1. PMID: 16981296.
  1. Erbil J, Espinoza LR. Nonradiographic axial spondyloarthritis background and confounding factors of this new terminology: an appraisal. Clin Rheumatol. 2015 Mar;34(3):407-11. doi: 10.1007/s10067-014-2787-8. Epub 2014 Oct 1. PMID: 25270567.
  1. Zeidler H, Amor B. The Assessment in Spondyloarthritis International Society (ASAS) classification criteria for peripheral spondyloarthritis and for spondyloarthritis in general: the spondyloarthritis concept in progress. Ann Rheum Dis. 2011 Jan;70(1):1-3. doi: 10.1136/ard.2010.135889. PMID: 21163805.
  1. Raychaudhuri SP, Deodhar A. The classification and diagnostic criteria of ankylosing spondylitis. J Autoimmun. 2014 Feb-Mar;48-49:128-33. doi: 10.1016/j.jaut.2014.01.015. Epub 2014 Feb 16. Review. PubMed PMID: 24534717.

出典

小林茂人先生ご提供
 
  1. X線基準を満たさない体軸性脊椎関節炎:
    以前から用いられてきたASの分類基準は改訂ニューヨーク基準である。仙腸関節のX線所見は、この基準によってはじめてASと分類される。実際には、このX線基準を満足するには長い時間が必要になる。
  1. 生物学的製剤(bDMARDs)の効果が認識され、早期発見・早期治療の目的にてX線基準を満たさない状態のSpAが注目され、nr-axSpAと分類された。
  1. ASの改訂ニューヨーク基準のX線基準を満足しないnr-axSpAに関しては、国際的には概念や定義しかなく、診断のためのガイダンスがない。このため、厚生労働省研究班で診断のガイダンスを作成した[1]
 
わが国におけるnr-axSpAの診断ガイダンス(厚生労働科学研究班*による)

*:厚生労働科学研究費補助金(難治性疾患政策研究事業)「強直性脊椎炎に代表される脊椎関節炎の疫学調査・診断基準作成と診療ガイドライン策定を目指した大規模多施設研究」班

出典

日本脊椎関節炎学会編:脊椎関節炎診療の手引き2020.診断と治療社、2020.p43-45, 表1.
 
  1. 重要なことは、第2項目に記載してある鑑別・除外疾患を除外することである。
  1. これまでのASの疾患スペクトラムの中に位置するが、実際には1)ASの前段階の症例、2)非定型的な症例、3)症状が軽度な症例、など特徴が指摘されている。実際には、ASと比べ女性が多い、HLA-B27保有者が少ない――などが報告されている。
  1. なお、nr-axSpAは指定難病の枠には入らない。

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薬剤監修について:
オーダー内の薬剤用量は日本医科大学付属病院 薬剤部 部長 伊勢雄也 以下、渡邉裕次、井ノ口岳洋、梅田将光および日本医科大学多摩永山病院 副薬剤部長 林太祐による疑義照会のプロセスを実施、疑義照会の対象については著者の方による再確認を実施しております。
※薬剤中分類、用法、同効薬、診療報酬は、エルゼビアが独自に作成した薬剤情報であり、 著者により作成された情報ではありません。
尚、用法は添付文書より、同効薬は、薬剤師監修のもとで作成しております。
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(詳細はこちらを参照)
著者のCOI(Conflicts of Interest)開示:
多田久里守 : 未申告[2024年]
田村直人 : 講演料(アストラゼネカ(株),グラクソ・スミスクライン(株),日本イーライリリー(株)),研究費・助成金など(ブリストル・マイヤーズ スクイブ(株),Cell Exosome Therapeutics(株)),奨学(奨励)寄付など(中外製薬(株),日本ベーリンガーインゲルハイム(株),大正製薬(株))[2024年]
監修:上阪等 : 特に申告事項無し[2024年]

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強直性脊椎炎(体軸性脊椎関節炎)

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