今日の臨床サポート 今日の臨床サポート

著者: 磯谷周治 順天堂大学大学院

監修: 堀江重郎 順天堂大学大学院医学研究科 泌尿器外科学

著者校正/監修レビュー済:2025/02/26
参考ガイドライン:
  1. 日本泌尿器科学会、日本尿路結石症学会、日本泌尿器内視鏡・ロボティクス学会:尿路結石症診療ガイドライン2023年版
  1. Surgical Management of Stones: AUA/Endourology Society Guideline (2016)
  1. Medical Management of Kidney Stones : AUA Guideline (2019)
  1. European Association of Urology : EAU Guidelines on Urolithiasis 2023
 
患者向け説明資料

改訂のポイント:
  1. 『尿路結石症診療ガイドライン第3版』の発行に伴いレビューを行った。主な修正点は以下である。
  1. 疫学データを更新した。
  1. 再発予防のための評価と指導について加筆した。
  1. 治療フローチャートを更新した。
  1. 尿路結石による閉塞性腎盂腎炎患者に対する積極的治療について加筆した。
  1. ECIRSについて加筆し、図を追加した。
  1. サンゴ状結石の治療法について加筆・修正した。
 

概要・推奨   

  1. 確定診断を得るためには腹部CT検査が非常に有用である(推奨度1、MGJ)
  1. 尿管結石の疼痛に対して疼痛の緩和を迅速に行なう。非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)が第1選択である(推奨度1、MGJ)
  1. 発熱を認める場合は腎盂腎炎の合併を考慮する。必要に応じて尿路のドレナージを行なう(推奨度1、GJ)
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病態・疫学・診察 

疾患情報(疫学・病態)  
  1. 腎結石症・尿管結石症とは、腎および尿管に結石を認める状態である。生涯罹患率は男性で9.0%、女性で3.8%である。男性では30~60歳代、女性は50~60歳代にピークを認める。
  1. 一般に尿管結石は、通常では臨床症状として、側腹部から背部にかけての疹痛、CVA knocking painがみられる。通常は腹膜刺激症状を伴うことはない。
  1. 尿路結石は、上部尿路結石(腎結石、尿管結石)と下部尿路結石(膀胱結石、尿道結石)に分類される。Hospital surveyで報告されている頻度としては、上部尿路結石が全体の約96%を占め、また男女比は2.4:1で男性に多い傾向がある[1]。推計生涯罹患率は男性では約15%、女性では約7%であり、食生活や生活様式の欧米化によりここ40年で4倍に頻度が増えている。
  1. これまで日本における上部尿路結石の罹患率は1965年以降上昇を続けてきたが、2015年の尿路結石症全国疫学調査において、上昇は収束し横ばいに転じたことが認められた。30歳以下の若年層における上部尿路結石の罹患率は減少したが、60歳代以降の高齢者における増加を認め、特に男性では40歳代から50歳代に、女性では50歳代から60歳代にピークを認めた[2]
  1. 尿路結石ではさまざまな程度の血尿も認めるが、尿管結石の完全嵌頓の場合には、尿潜血・血尿は陰性になることもある。
  1. 診断には画像診断が非常に有用で、尿路結石の確定診断・除外診断はCTにて尿路内の結石を証明するか、腎機能が正常なら排泄性尿路造影(DIP)にて患側腎、尿管の通過障害や造影不良を確認するかのどちらかで得られることが多い。
  1. 治療に関しては経皮的経尿道的同時砕石術(Endoscopic Combined Intra Renal Surgery、経尿道的腎尿管砕石術 transurethral lithotripsy:TUL/尿管鏡検査 ureteroscopy/ureteroscopic surgery:URS)による治療頻度が上昇するなか、体外衝撃波砕石術(extracorporeal shock wave lithotripsy:ESWL)による治療頻度が低下傾向を示している[2][3]
病歴・診察のポイント  
  1. 尿路結石(上部尿路結石)の症状は背部の疼痛が重要な徴候であり、通常激しい背部痛、側腹部痛が認められる。痛みは波があるが、疼痛が0にならないことが多い。また、自発痛の割には圧痛が少ないことも特徴である。発熱を認める場合は腎盂腎炎の合併を考慮する。

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著者のCOI(Conflicts of Interest)開示:
磯谷周治 : 特に申告事項無し[2024年]
監修:堀江重郎 : 未申告[2024年]

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腎結石症・尿管結石症

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