今日の臨床サポート 今日の臨床サポート

著者: 吉田敦 聖路加国際病院 乳腺外科

監修: 中村清吾 昭和大学医学部外科学講座乳腺外科学部門

著者校正済:2024/09/04
現在監修レビュー中
参考ガイドライン:
  1. 日本乳癌学会:乳癌診療ガイドライン2022年版
  1. 日本乳癌学会乳癌診療ガイドライン2022年版 WEB版(2024年3月)
  1. 全米がん情報ネットワーク(NCCN)(Version1. 2022)
  1. St. Gallen International Consensus Guideline(2019)
  1. ASCO Guideline breast cancer(2021)
患者向け説明資料

改訂のポイント:
  1. 『乳癌診療ガイドライン2022年版』WEB改訂版の公開に伴いレビューを行った。
  1. ラジオ波焼灼療法(RFA)の保険適応について追記した。
  1. OncotypeDXが本邦で保険適応となった事について追記した。
  1. トラスツズマブとペルツズマブの配合皮下注製剤(フェスゴ)が本邦で保険適応となった事について記載した。
  1. 症例の典型例と難渋例を記載した。

概要・推奨   

  1. 遠隔転移の兆候のないStageI、IIの乳癌のCT、PET-CTによる全身検索を行う意義は低い。ただし、術前化学療法の対象となる症例や、乳がんサブタイプや腫瘍グレード、患者背景によっては、全身検索を考慮する必要がある。
  1. センチネルリンパ節に微小転移を認める患者に対して、腋窩リンパ節郭清省略を強く推奨する(推奨度1)
  1. 乳房部分切除の場合(術後温存乳房照射を行う)、センチネルリンパ節にマクロ転移を認める患者に対して、乳房温存療法の場合、腋窩リンパ節郭清省略を弱く推奨する(推奨度2)
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病態・疫学・診察 

疾患情報  
  1. 乳癌の罹患率は増加傾向が続いているが、死亡率は、ほぼ横ばいとなった。
  1. 年齢別には、乳癌罹患率は30歳代から増加をはじめ、40歳代後半から50歳代前半でピークとなり、その後は緩やかに減少する。
 
年齢階級別乳癌罹患率(上皮内がんを含む)・死亡率

乳癌の罹患率は増加傾向が続いているが、死亡率は、ほぼ横ばいとなった。
a:乳癌年齢階級別罹患率複数年(女性)(上皮内がんを含む)
b:乳癌年齢階級別死亡率複数年(女性)

出典

国立がん研究センターがん情報サービス「がん統計」(厚生労働省人口動態統計).人口動態統計(厚生労働省大臣官房統計情報部).全国がん死亡データ(1958年~2019年)
 
  1. 病理学的には、乳管癌と特殊型に分類される。
  1. 浸潤性乳管癌は、さらに以下に分類される。
  1. 腺管形成型
  1. 充実型
  1. 硬性型
  1. その他
  1. 特殊型は以下に分類される。
  1. 1) 浸潤性小葉癌
  1. 2) 管状癌
  1. 3) 篩状癌
  1. 4) 粘液癌
  1. 5) 髄様癌
  1. 6) アポクリン癌
  1. 7) 化生癌
  1. i) 扁平上皮癌
  1. ii) 間葉系分化を伴う癌
  1. ①紡錘細胞癌
  1. ②骨・軟骨化生を伴う癌
  1. ③基質産生癌
  1. ④その他
  1. iii) 混合型
  1. 8) 浸潤性微小乳頭癌
  1. 9) 分泌癌
  1. 10) 腺様嚢胞癌
  1. 11) その他
  1. 治療は、手術に加え、放射線療法、内分泌療法、化学療法などを組み合わせて行う。
  1. 予後:10年生存率は、I期89.1%、 II期78.6%である。
問診・診察のポイント  
問診:
  1. 自覚症状:腫瘤、異常乳頭分泌、乳房痛、乳頭陥凹、乳頭部湿疹様変化、皮膚変化など、発症時期、経過

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薬剤監修について:
オーダー内の薬剤用量は日本医科大学付属病院 薬剤部 部長 伊勢雄也 以下、渡邉裕次、井ノ口岳洋、梅田将光および日本医科大学多摩永山病院 副薬剤部長 林太祐による疑義照会のプロセスを実施、疑義照会の対象については著者の方による再確認を実施しております。
※薬剤中分類、用法、同効薬、診療報酬は、エルゼビアが独自に作成した薬剤情報であり、 著者により作成された情報ではありません。
尚、用法は添付文書より、同効薬は、薬剤師監修のもとで作成しております。
※同効薬・小児・妊娠および授乳中の注意事項等は、海外の情報も掲載しており、日本の医療事情に適応しない場合があります。
※薬剤情報の(適外/適内/⽤量内/⽤量外/㊜)等の表記は、エルゼビアジャパン編集部によって記載日時にレセプトチェックソフトなどで確認し作成しております。ただし、これらの記載は、実際の保険適応の査定において保険適応及び保険適応外と判断されることを保証するものではありません。また、検査薬、輸液、血液製剤、全身麻酔薬、抗癌剤等の薬剤は保険適応の記載の一部を割愛させていただいています。
(詳細はこちらを参照)
著者のCOI(Conflicts of Interest)開示:
吉田敦 : 特に申告事項無し[2024年]
監修:中村清吾 : 特に申告事項無し[2024年]

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