今日の臨床サポート 今日の臨床サポート

著者: 平田 憲 林眼科病院

監修: 沖波聡 倉敷中央病院眼科

著者校正/監修レビュー済:2021/09/01
患者向け説明資料

病態・疫学・診察 

疾患情報(疫学・病態)  
  1. 網膜剝離とは、眼の発生時期における眼杯の内板(後の感覚網膜)と外板(後の網膜色素上皮)の間で起こる分離である。元来、これら2層の間には機械的な接着機構が存在せず、網膜色素上皮のポンプ作用、網膜色素上皮の微絨毛様構造による視細胞の保持により、網膜の接着状態が維持されている。
  1. 種々の原因(網膜裂孔形成による硝子体側の液流入、炎症による脈絡膜血管透過性亢進、腫瘍血管からの漏出による網膜-色素上皮間の液貯留、低蛋白血症による膠質浸透圧の低下による液貯留、硝子体による網膜の牽引)により、網膜剝離は生じる。
  1. ただし、一般的に網膜剝離といえば、網膜裂孔形成に起因する網膜剝離を指すことが多く、他の網膜剝離(牽引性網膜剝離、滲出性網膜剝離)についても鑑別すべき疾患として理解しておく必要がある。
 
  1. 網膜剝離の発症頻度および危険因子(推奨度2O)(参考文献:[1][2][3][4][5][6][7][8]
  1. 発症頻度は文献により異なるものの10万人あたり3.9~12人で、日本人の発症頻度は10万人あたり10.4人である。危険因子として、男性、遺伝性硝子体網膜症、近視、網膜格子状変性、retinal tuft、変性性網膜分離、網膜裂孔・円孔、無・偽水晶体眼、YAGレーザー後嚢切開、その他の硝子体を操作する手術、外傷の既往、サイトメガロウイルス網膜炎の既往、急性網膜壊死の既往、片眼の網膜剝離の既往、がある。
問診、診察のポイント  
  1. 視力低下や視野異常の有無をまず確認する。網膜剝離が進行すれば、周辺側から中心部に向かって進行する視野異常を自覚する。しかし、進行が遅い網膜剝離の場合、視野異常を自覚しないこともある。
    視力低下は、網膜剝離が黄斑部に進行するか、裂孔形成時に硝子体出血が生じることで自覚される。しかし、視野異常と同様、進行がゆっくりの場合、健眼で日常生活を送っているため、自覚症状に乏しい。
  1. 飛蚊症、光視症の自覚の確認は、網膜剝離の前駆症状として重要である。飛蚊症は、後部硝子体剝離によって増悪するため、以前から飛蚊症がある場合でも、急な飛蚊症の増加を訴えることが多い。

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平田 憲 : 特に申告事項無し[2024年]
監修:沖波聡 : 特に申告事項無し[2024年]

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網膜剝離

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