今日の臨床サポート 今日の臨床サポート

著者: 上山伸也 川西市立総合医療センター 感染症内科

監修: 山本舜悟 大阪大学大学院医学系研究科 変革的感染制御システム開発学

著者校正/監修レビュー済:2024/05/29
患者向け説明資料

改訂のポイント:
  1. 定期レビューを行い、ペニシリンアレルギーの患者の治療について加筆・修正した。
  1. ペニシリンアレルギーの患者に対して、多くのガイドラインではエリスロマイシンの投与が推奨されている一方で、かつてわが国ではエリスロマイシン耐性のA群溶連菌の頻度が40%程度と高かったため、マクロライド系抗菌薬の処方は避けたほうがよかった。しかし、現在は27.6%程度まで減少しているため選択肢となり得る(JANIS. 公開情報 2022年1月~12月)。また、クリンダマイシン耐性のA群溶連菌の頻度は16.4%程度であり、クリンダマイシンの投与も検討できる。
  1. そのため、成人ではクリンダマイシンあるいはレボフロキサシンの内服を検討する。小児では第3世代セファロスポリン内服もしくはアジスロマイシンの処方が許容される。

概要・推奨   

  1. 急性咽頭炎とは、アデノウイルス、コクサッキーウイルスなどのウイルスや、A群β溶血性レンサ球菌などの細菌によって起きる咽頭の炎症である。
  1. 症状は、発熱、咽頭痛、咳嗽、嚥下痛などがみられ、診断はCentorスコア(A群β溶連菌の診断基準)と年齢による修正をもとに行う。
  1. Centorスコアで3点以上の場合、診断確定のために、A群溶連菌の迅速検査はおそらく推奨される(推奨度2)
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病態・疫学・診察 

疾患情報  
  1. 急性咽頭炎とは、アデノウイルス、コクサッキーウイルスなどのウイルスや、A群β溶血性レンサ球菌などの細菌によって起きる咽頭の炎症である。
  1. 急性咽頭炎の診断はCentorスコア(A群β溶連菌の診断基準)をもとに行う(発熱38℃以上:1点、咳がない:1点、圧痛を伴う前頚部リンパ節腫脹:1点、白苔を伴う扁桃腺炎:1点)。さらに年齢による修正(3~14歳:+1点、15~44歳:0点、45歳~:-1点)を行い、5点満点で診断する。
 
白苔を伴う扁桃腺炎

典型的なA群溶連菌による咽頭炎の所見。
軟口蓋、口蓋垂、扁桃の発赤を認め、扁桃には白苔の付着を認める。

出典

Long: Principles and Practice of Pediatric Infectious Diseases 5th ed. 118. Streptococcus pyogenes, Figure 118-1. Elsevier, 2018
 
  1. A群溶連菌による咽頭炎の確率は以下の通り。
  1. 0点以下 1%
  1. 1点 10%
  1. 2点 17%
  1. 3点 35%
  1. 4点以上 51%
  1. 1点以下は検査なし、2点以上の場合は迅速検査を行う。
  1. 急性咽頭炎の起炎菌は、小児の85%、成人の95%でウイルスか不明である。
  1. A群溶連菌が咽頭炎の起炎菌に占める割合は、小児で15~30%、成人で5~10%程度といわれている。
 
  1. 溶連菌感染症後糸球体腎炎の発症頻度については、15歳未満の小児では22.1/100,000 person-yearsであり、成人では0.16/100,000 person-yearsと報告されている。
  1. 溶連菌感染症後糸球体腎炎の発症頻度について報告しているシステマティックレビューがある[1]。この報告では、15歳未満の小児では0.0221% person-yearsであり、成人では0.00016%person-yearsとされている。
問診・診察のポイント  
  1. Centorスコアの症状を確認する。

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薬剤監修について:
オーダー内の薬剤用量は日本医科大学付属病院 薬剤部 部長 伊勢雄也 以下、渡邉裕次、井ノ口岳洋、梅田将光および日本医科大学多摩永山病院 副薬剤部長 林太祐による疑義照会のプロセスを実施、疑義照会の対象については著者の方による再確認を実施しております。
※薬剤中分類、用法、同効薬、診療報酬は、エルゼビアが独自に作成した薬剤情報であり、 著者により作成された情報ではありません。
尚、用法は添付文書より、同効薬は、薬剤師監修のもとで作成しております。
※同効薬・小児・妊娠および授乳中の注意事項等は、海外の情報も掲載しており、日本の医療事情に適応しない場合があります。
※薬剤情報の(適外/適内/⽤量内/⽤量外/㊜)等の表記は、エルゼビアジャパン編集部によって記載日時にレセプトチェックソフトなどで確認し作成しております。ただし、これらの記載は、実際の保険適応の査定において保険適応及び保険適応外と判断されることを保証するものではありません。また、検査薬、輸液、血液製剤、全身麻酔薬、抗癌剤等の薬剤は保険適応の記載の一部を割愛させていただいています。
(詳細はこちらを参照)
著者のCOI(Conflicts of Interest)開示:
上山伸也 : 特に申告事項無し[2024年]
監修:山本舜悟 : 企業などが提供する寄付講座(日本財団)[2024年]

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急性咽頭炎 (溶連菌咽頭炎を含む)

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