今日の臨床サポート 今日の臨床サポート

著者: 花木奈央 大阪大学大学院医学研究科 公衆衛生学

監修: 志賀隆 国際医療福祉大学 医学部救急医学/国際医療福祉大学成田病院 救急科

著者校正/監修レビュー済:2024/03/06
参考ガイドライン:
  1. 日本中毒学会:急性中毒の標準治療
  1. コクランシステマティックレビュー :Cochrane Database of Systematic Reviews Interventions for paracetamol (acetaminophen) overdose
患者向け説明資料

改訂のポイント:
  1. 定期レビューを行い、以下について加筆・修正した。診察で留意する箇所について新たに項目を設定した。
  1. 「血液検査」の項目を新たに設けた。
  1. 急性肝障害発症の予測に役立つ可能性のある、血清アセトアミノフェン-タンパク質付加物濃度について加筆した。

概要・推奨   

  1. アセトアミノフェンによる肝障害が悪化する患者は、慢性的にアルコールを摂取している患者、背景に肝疾患を有している患者、偶発的過量服用の患者である。
  1. 摂取量やアセトアミノフェンの血中濃度から肝障害を起こすリスクが高い場合は、解毒薬であるN-アセチルシステインを投与する。
  1. 妊娠時にもRumack-Matthewのノモグラムに従って治療を行うことが勧められている(推奨度1)

病態・疫学・診察 

疾患情報(疫学・病態)  
  1. アセトアミノフェン中毒とは、アセトアミノフェンを大量服薬および誤食したことにより、摂取から数時間以内に胃腸炎、および1~3日後に肝毒性などの症状を生じることである。
  1. 急性薬物中毒の原因物質として、最も頻度の高い薬物の1つである。
  1. 2020年の日本中毒センターに寄せられた相談件数は142件で、解熱鎮痛消炎剤585件の中で最も多かった。
  1. 処方薬以外でも、市販の解熱鎮痛薬、総合感冒薬の70%以上に主成分として含有されており、容易に手に入れることができる。
  1. 近年、市販薬を使用した大量服薬が増加傾向にあるため留意が必要である。
  1. 自殺目的の大量服薬のほかに、小児の誤食事故が多い。
  1. 毒性代謝物であるN-アセチル-p-キノネミンが、肝では肝細胞の蛋白・核酸と、腎では腎尿細管細胞と共益結合して壊死をもたらす。
問診・診察のポイント  
  1. 中毒を疑った際には「MATTERS」(下表)を意識して問診を行う。

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著者のCOI(Conflicts of Interest)開示:
花木奈央 : 特に申告事項無し[2024年]
監修:志賀隆 : 未申告[2024年]

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アセトアミノフェン中毒

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