今日の臨床サポート 今日の臨床サポート

著者: 山上浩 湘南鎌倉総合病院 救急総合診療科

監修: 志賀隆 国際医療福祉大学 医学部救急医学/国際医療福祉大学成田病院 救急科

著者校正/監修レビュー済:2024/12/11
患者向け説明資料

改訂のポイント:
  1. 定期レビューを行った(変更なし)。

概要・推奨   

  1. コカイン中毒による高血圧に対しては、β遮断薬は禁忌である。ベンゾジアゼピンと亜硝酸剤の使用を勧める。
  1. コカイン関連急性冠症候群においては、ベンゾジアゼピンと亜硝酸剤投与両方の投与が効果的かもしれない。
  1. ボディパッカーを疑ったら、腹部単純X線もしくは腹部CTを考慮する。
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  1. モルヒネ、ヘロイン、他のオピオイドにおいて、致死的な急性肺障害を起こすことがある。高二酸化炭素血症を来している場合は、ナロキソン投与前にバッグバルブマスクで換気をすることが勧められる[1]
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病態・疫学・診察 

疾患情報(疫学・病態)  
  1. 麻薬中毒とは、麻薬および向精神薬取締法において、麻薬、大麻またはあへんの慢性中毒と定義されている。
  1. 麻薬にはオピオイド(モルヒネ、ヘロイン、コデイン、フェンタニルなど)、コカイン、合成麻薬(MDMA:3,4-methylenedioxymethamphetamine、LSD:lysergic acid diethylamide、PCP:phencyclidine)、その他がある(大麻は厳密には麻薬ではないため、ここでは割愛する)。
  1. これらの薬物は依存性が強く、一度乱用すると身体的精神的障害を伴うことが多い。
 
各種薬物における依存、乱用の割合

2004年の米国における過去の薬物使用者に見られた特定の薬物に対する依存または乱用の相対的発生率(Courtesy of the Substance Abuse and Mental Health Services Administration
ヘロイン、コカインの高い依存性が伺える。

出典

Shannon MW, et al. Haddad and Winchester's Clinical Management of Poisoning and Drug Overdose. 4th ed, Saunders, 2007.
 
  1. オピオイド中毒は、意図的な大量摂取・乱用そして治療上の副作用として生じる。
  1. MDMAは合成麻薬で、エクスタシーとも呼ばれ、検挙者・押収量が急増している。
  1. 密輸のために大量の違法薬物を飲み込む、いわゆるボディパッカーは、重篤な中毒を起こし得る。<図表>
  1. コカインは胎盤を通過し、また乳汁へ移行するため、胎児や乳児の精神遅滞・発達遅滞・薬物依存を起こす[2]
問診、診察のポイント  
  1. 麻薬中毒の診断には、病歴聴取と身体所見が重要である。

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薬剤監修について:
オーダー内の薬剤用量は日本医科大学付属病院 薬剤部 部長 伊勢雄也 以下、渡邉裕次、井ノ口岳洋、梅田将光および日本医科大学多摩永山病院 副薬剤部長 林太祐による疑義照会のプロセスを実施、疑義照会の対象については著者の方による再確認を実施しております。
※薬剤中分類、用法、同効薬、診療報酬は、エルゼビアが独自に作成した薬剤情報であり、 著者により作成された情報ではありません。
尚、用法は添付文書より、同効薬は、薬剤師監修のもとで作成しております。
※同効薬・小児・妊娠および授乳中の注意事項等は、海外の情報も掲載しており、日本の医療事情に適応しない場合があります。
※薬剤情報の(適外/適内/⽤量内/⽤量外/㊜)等の表記は、エルゼビアジャパン編集部によって記載日時にレセプトチェックソフトなどで確認し作成しております。ただし、これらの記載は、実際の保険適応の査定において保険適応及び保険適応外と判断されることを保証するものではありません。また、検査薬、輸液、血液製剤、全身麻酔薬、抗癌剤等の薬剤は保険適応の記載の一部を割愛させていただいています。
(詳細はこちらを参照)
著者のCOI(Conflicts of Interest)開示:
山上浩 : 特に申告事項無し[2024年]
監修:志賀隆 : 未申告[2024年]

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麻薬中毒

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