今日の臨床サポート 今日の臨床サポート

著者: 武村克哉 琉球大学病院 救急部

監修: 徳田安春 一般社団法人 群星沖縄臨床研修センター

著者校正/監修レビュー済:2024/11/13
参考ガイドライン:
  1. 日本循環器学会:2022年改訂版 不整脈の診断とリスク評価に関するガイドライン(日本循環器学会/日本不整脈心電学会合同ガイドライン)
患者向け説明資料

改訂のポイント:
  1. 定期レビューを行った(変更なし)。

概要・推奨   

概要:
  1. 動悸とは、通常自覚しない心臓の鼓動を不快に感じる症状の総称である。
  1. 息切れ、呼吸困難、失神などの随伴症状を有する場合は心疾患の有無を必ず確認する必要がある。
  1. 動悸の特徴(どのような動悸か、頻拍や脈不整はあるかなど)を詳細に聴取することは、動悸の原因を探る重要な手がかりとなる。
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病態・疫学・診察 

疫学情報・病態・注意事項  
  1. 動悸はよくみられる症状の1つであり、外来受診患者500人のうち80人(16%)が、動悸を主要な問題であると回答したというデータがある[1]
  1. 動悸の原因として、不整脈などの心疾患、パニック障害などの精神疾患の他、低血糖、甲状腺機能亢進症や褐色細胞腫などの代謝内分泌要因、内服薬、カフェイン、違法ドラッグの影響などが挙げられる。システムレビューを用いて、幅広い視点で診察する姿勢が大切である。
  1. パニック障害など精神疾患に罹患している患者に動悸が生じた場合には、精神的な部分で症状を自覚することもあるが、上室性不整脈の合併率が高いという報告もある。器質的心疾患が原因で症状が出現している場合もあるため、精神疾患があるからといって、はじめから器質的心疾患を無視してはいけない。
 
  1. 動悸は日常臨床で遭遇する機会の多い、一般的な症状のうちの1つである。また、多くの場合は生命予後に影響を与えないことが知られている。ただし、症状の再発率が高く、仕事の生産性への影響があることが報告されており、生活への影響に配慮する必要がある。(参考文献:[1][2]
  1. 動悸の頻度や予後を検討した疫学研究は、複数行われている。その中で頻度を検討した研究のうちの1つが1990年に発表された。500人の外来受診患者のうち16%の患者の訴えが動悸であり、動悸は一般的な症状であることが示された。また、予後に関して検討された研究のうちの1つが、1987年に発表された。動悸の訴えを持つ109人の患者と年齢、性別をマッチさせた対照群とを平均42カ月間追跡した結果、両群における心疾患の罹患および死亡率に統計的有意差はなかった。ある前向きコホート研究では、動悸を訴えて来院した190人の患者の1年死亡率は1.6%と低いものの、患者の75%が動悸の再発を経験し、患者の19%が仕事のパフォーマンス低下、患者の12%が動悸によって仕事を休み、患者の33%が自宅での仕事の達成度が通常よりも低下したと報告しており、症状の再発率が高く、生産性への影響があることが述べられている[2]
問診・診察のポイント  
  1. 診察時動悸症状がある場合にはすぐに12誘導心電図検査を行う。もし不整脈が認められれば、患者の血行動態を評価し、不整脈およびその基礎疾患について適切に治療を行う。

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常時アップデートされており、最新のエビデンスを各分野のエキスパートが豊富な図表や処方・検査例を交えて分かりやすく解説。日常臨床で遭遇するほぼ全ての症状・疾患から薬剤・検査情報まで瞬時に検索可能です。

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薬剤監修について:
オーダー内の薬剤用量は日本医科大学付属病院 薬剤部 部長 伊勢雄也 以下、渡邉裕次、井ノ口岳洋、梅田将光および日本医科大学多摩永山病院 副薬剤部長 林太祐による疑義照会のプロセスを実施、疑義照会の対象については著者の方による再確認を実施しております。
※薬剤中分類、用法、同効薬、診療報酬は、エルゼビアが独自に作成した薬剤情報であり、 著者により作成された情報ではありません。
尚、用法は添付文書より、同効薬は、薬剤師監修のもとで作成しております。
※同効薬・小児・妊娠および授乳中の注意事項等は、海外の情報も掲載しており、日本の医療事情に適応しない場合があります。
※薬剤情報の(適外/適内/⽤量内/⽤量外/㊜)等の表記は、エルゼビアジャパン編集部によって記載日時にレセプトチェックソフトなどで確認し作成しております。ただし、これらの記載は、実際の保険適応の査定において保険適応及び保険適応外と判断されることを保証するものではありません。また、検査薬、輸液、血液製剤、全身麻酔薬、抗癌剤等の薬剤は保険適応の記載の一部を割愛させていただいています。
(詳細はこちらを参照)
著者のCOI(Conflicts of Interest)開示:
武村克哉 : 特に申告事項無し[2024年]
監修:徳田安春 : 特に申告事項無し[2024年]

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