今日の臨床サポート 今日の臨床サポート

著者: 門前幸志郎 医療法人社団鶴亀会 新宿つるかめクリニック

監修: 石津智子 筑波大学医学医療系循環器内科

著者校正/監修レビュー済:2025/01/15
患者向け説明資料

改訂のポイント:
  1. 『2022年JCSガイドラインフォーカスアップデート版 安定冠動脈疾患の診断と治療』に基づき、下記の点を加筆修正した。
  1. 安定冠動脈疾患の診断アルゴリズムを改訂した。
  1. 労作性胸痛(ないし安定狭心症)の原因となる冠動脈疾患の診断アルゴリズムが、これまでの運動負荷心電図優位から、検査前確率(PTP)や臨床的尤度(CL)の評価に従った検査選択に代わった。

概要・推奨   

  1. 労作性胸痛を認める場合、まずは急性冠症候群、心不全などの緊急性が高く入院が必要な疾患を見逃さないように評価を進める。
  1. 循環器疾患の他、気胸などの肺疾患、胃食道逆流症などの消化器疾患、肋骨骨折などの整形外科的疾患、胸膜炎、肋間神経痛、不安神経症などを鑑別していく。
  1. 労作性の有無に関わらない胸痛の場合は、胸痛も参照。
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病態・疫学・診察 

疫学情報・病態・注意事項  
  1. 労作性胸痛とは、労作(運動)に伴って認められる胸痛のことである。
  1. 胸痛は患者の訴えとして頻度の高い症状の1つであり、緊急性が高く、早急な診断と処置が要求される機会が多い。
  1. 原因疾患は多岐にわたるため、最初の病歴聴取の段階から胸痛の性状を迅速かつ正確に把握し、鑑別診断を進める必要がある。
  1. 胸痛の性状として、症状が労作(運動)により起きるかどうかは鑑別の重要なポイントの1つである。
  1. 労作性胸痛の代表的な原因疾患は労作性狭心症であるが、安易に「労作性=安定狭心症」と考えるのは危険であり、常に不安定狭心症・急性冠症候群も鑑別診断として念頭において検査、処置を進める。
  1. 労作性狭心症以外にも、肺高血圧、心不全で労作時の胸痛を訴えることがあり、呼吸困難や浮腫などの随伴症状の有無も重要である。
 
鑑別疾患表:
  1. 肋間神経痛
  1. 不安神経症、パニック障害
  1. 胃食道逆流症
  1. 不整脈
  1. 気胸
  1. 急性冠症候群
  1. 心不全
問診・診察のポイント  
  1. 労作性胸痛を認める場合、まずは労作性狭心症を念頭におき、発症時期や頻度のほか、どのような、どの程度の運動で症状が現れるか、その後の安静により軽快するか、持続時間はどの程度か、などの病歴聴取を行うことが問診上まず重要である。

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薬剤監修について:
オーダー内の薬剤用量は日本医科大学付属病院 薬剤部 部長 伊勢雄也 以下、渡邉裕次、井ノ口岳洋、梅田将光および日本医科大学多摩永山病院 副薬剤部長 林太祐による疑義照会のプロセスを実施、疑義照会の対象については著者の方による再確認を実施しております。
※薬剤中分類、用法、同効薬、診療報酬は、エルゼビアが独自に作成した薬剤情報であり、 著者により作成された情報ではありません。
尚、用法は添付文書より、同効薬は、薬剤師監修のもとで作成しております。
※同効薬・小児・妊娠および授乳中の注意事項等は、海外の情報も掲載しており、日本の医療事情に適応しない場合があります。
※薬剤情報の(適外/適内/⽤量内/⽤量外/㊜)等の表記は、エルゼビアジャパン編集部によって記載日時にレセプトチェックソフトなどで確認し作成しております。ただし、これらの記載は、実際の保険適応の査定において保険適応及び保険適応外と判断されることを保証するものではありません。また、検査薬、輸液、血液製剤、全身麻酔薬、抗癌剤等の薬剤は保険適応の記載の一部を割愛させていただいています。
(詳細はこちらを参照)
著者のCOI(Conflicts of Interest)開示:
門前幸志郎 : 特に申告事項無し[2024年]
監修:石津智子 : 講演料(ヤンセンファーマ(株)),奨学(奨励)寄付など(日本ベーリンガーインゲルハイム(株)),企業などが提供する寄付講座(日本ライフライン(株),(株)アステック,日本メドトロニック(株),アボットメディカルジャパン合同会社,ディーブイエックス(株),ボストン・サイエンティフィックジャパン(株),バイオトロニックジャパン(株))[2024年]

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