貧血 :トップ    
監修: 岡田定 聖路加国際病院
樋口敬和 獨協医科大学越谷病院 輸血部

概要

所見のポイント:
  1. 貧血とは、血液中のヘモグロビン濃度が減少している状態であり、WHO基準では、成人男子は13g/dl未満、成人女子や小児は12g/dl未満、高齢者では男女とも11g/dl未満と定義される。
 
パニック値・緊急時対応: >詳細情報 
  1. 貧血の症状は、貧血の程度のみでなく、進行の速さ、代償の程度によって異なる。緩徐に進行する貧血は、貧血の程度が強くても無症状であることもあり、貧血の程度だけに基づくパニック値は決めがたいが、ヘモグロビン8.0g/dl以下を異常値として緊急に報告する必要があるパニック値として採用している施設が多い。
 
専門医相談のタイミング: >詳細情報 
  1. ひととおり検査をしても診断が困難な貧血、出血以外で急速に進行する貧血、溶血所見が強い場合、急性白血病、再生不良性貧血などの重篤な骨髄疾患が疑われる場合は専門医に紹介する。
  1. それ以外でも、骨髄疾患が疑われる場合は専門医に一度紹介したほうが無難。
 
診断へのアプローチ:(身体診察: >詳細情報 ・鑑別疾患: 鑑別疾患 )
  1. 貧血を治療するためには、貧血を来した原因の検討が欠かせない。
  1. 貧血の鑑別には、まずMCVと網状赤血球数に注目する。
  1. 網状赤血球の増加(絶対数で10万/μl以上)は、出血か溶血に対する骨髄の代償反応を考える。網状赤血球の低下は、赤血球産生の低下を示唆する。
  1. 小球性貧血では、鉄欠乏性貧血の頻度が圧倒的に多い。正球性貧血で、網状赤血球増加を伴わず貧血を来す基礎疾患が認められない場合は骨髄検査を考慮する。
  1. 大球性貧血でMCV>120の著明な大球性貧血ならば、巨赤芽球性貧血をまず考える。
  1. 大球性貧血で、網状赤血球増加を伴わず、巨赤芽球性貧血が否定でき、貧血を来す基礎疾患が認められない場合は骨髄検査を考慮する。
 
アルゴリズム:
  1. 大球性貧血の鑑別診断:アルゴリズム
  1. 正球性貧血の鑑別診断:

評価・治療の進め方

※選定されている評価・治療は一例です。症状・病態に応じて適宜変更してください。

網状赤血球数の評価例
  1. 基準値は赤血球の0.5~2.0%で(時に赤血球1,000個に対する割合である‰でカウントされる)、絶対数で5万~20万/μl。
  1. 貧血が存在して網状赤血球の絶対値が10万/μl以上であれは、増加していると考えていい。
  1. 逆に貧血が存在して網状赤血球数が<10万/μlであれば、貧血に対して赤血球造血が適切に反応していないことを意味する。
  1. 網状赤血球が増加している場合は、出血あるいは溶血性貧血に骨髄が代償性に反応して赤血球産生が亢進している場合と、赤血球産生の抑制からの回復期に一過性に赤血球産生が亢進している場合がある。アルゴリズムを参考に、溶血性貧血、出血の検討を行う。
  1. 網状赤血球が貧血の程度に応じて反応していない場合は、ほかの血球の異常、MCVなどによりアルゴリズムを参考に鑑別診断を行う。
  1. 網状赤血球数が高度に減少している場合の多くは、骨髄疾患や薬剤、放射線、重症感染症などによる骨髄抑制でみられる。

追加情報ページへのリンク

薬剤監修について:
オーダー内の薬剤用量は日本医科大学付属病院 薬剤部 部長 片山志郎 以下、林太祐、渡邉裕次、井ノ口岳洋、梅田将光による疑義照会のプロセスを実施、疑義照会の対象については著者の方による再確認を実施しております。
※薬剤中分類、用法、同効薬、診療報酬は、エルゼビアが独自に作成した薬剤情報であり、
著者により作成された情報ではありません。
尚、用法は添付文書より、同効薬は、薬剤師監修のもとで作成しております。
※薬剤情報の(適外/適内/⽤量内/⽤量外/㊜)等の表記は、エルゼビアジャパン編集部によって記載日時にレセプトチェックソフトなどで確認し作成しております。ただし、これらの記載は、実際の保険適用の査定において保険適用及び保険適用外と判断されることを保証するものではありません。また、検査薬、輸液、血液製剤、全身麻酔薬、抗癌剤等の薬剤は保険適用の記載の一部を割愛させていただいています。
(詳細はこちらを参照)

貧血の鑑別診断のステップ
大球性貧血の鑑別診断
正球性貧血の鑑別診断
小球性貧血の鑑別診断
MCVによる貧血の鑑別
著者校正/監修レビュー済
2017/03/31


詳細ナビ