肝機能障害(AST,ALT上昇) :トップ    
監修: 野口善令 名古屋第二赤十字病院
横江正道 名古屋第二赤十字病院 総合内科

概要

所見のまとめ:
  1. AST、ALT上昇とは、逸脱酵素であるAST、ALTの血中濃度が上昇した状態である。正常範囲の上限は施設によって異なるが、おおむね35~45IU/L前後となる。肝胆道系疾患・心筋梗塞をはじめとして多くの臓器障害で認められる。
 
パニック値・緊急時対応: >詳細情報 
  1. AST、ALT値のパニック値をどこから定義するかは難しいが、正常上限の10倍以上をMarkedと位置付ける論文があり、これをもとにするのであれば、400~500IU/Lが1つの目安である。
  1. 肝機能障害のおおまかな分類:<図表>
  1. 意識障害を伴う場合など高度の肝機能障害、アセトアミノフェンによる肝機能障害、高熱や血圧低下などを伴う場合は、緊急対応が必要になることがある。
 
専門医相談のタイミング: >詳細情報 
  1. 劇症肝炎、急性胆管炎、うっ血肝、ショック肝などは緊急性が高いことが多いため、迅速に専門医へ紹介する必要がある。
  1. 急性A型肝炎、急性B型肝炎、急性E型肝炎を疑う場合、原発性胆汁性肝硬変、原発性硬化性胆管炎、自己免疫性肝炎、伝染性単核球症、脂肪肝(NASH/NAFLD)の診断がついた場合などでは、専門医に意見を聞くことは考慮してもよい。
 
異常値の解釈:
  1. 原因疾患は、肝・胆道系疾患、骨格筋障害、心筋障害など多岐にわたる。問診を丁寧にとり大まかなあたりをつけることが大事である。
  1. 肝・胆道系疾患の原因には、胆道系疾患と肝実質障害(肝細胞障害)がある。
  1. 胆道系疾患では、胆管結石、腫瘍、薬剤性などが頻度が高い。
  1. 肝実質障害では、薬剤性肝炎、ウイルス性肝炎、アルコール性肝炎、うっ血性肝炎などが頻度が高い。
  1. 生活習慣病、膠原病、感染症なども肝機能障害の原因となり得る。
  1. 特に重篤な疾患を認めない、正常値2倍程度の軽度のAST、ALTの上昇は、原因となるような薬剤を中止し、アルコール・高脂肪食などの食事を中止し、脂肪肝の治療を行う。食事指導(カロリー制限)、節酒、運…

評価・治療の進め方

※選定されている評価・治療は一例です。症状・病態に応じて適宜変更してください。

初診時の評価するための検査例
  1. 肝実質障害や、肝炎などのリスクのある患者では、ウイルスの評価を行う。
○ ほかのルーチン検査に、下記の検査を追加する。

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薬剤監修について:
オーダー内の薬剤用量は日本医科大学付属病院 薬剤部 部長 片山志郎 以下、林太祐、渡邉裕次、井ノ口岳洋、梅田将光による疑義照会のプロセスを実施、疑義照会の対象については著者の方による再確認を実施しております。
※薬剤中分類、用法、同効薬、診療報酬は、エルゼビアが独自に作成した薬剤情報であり、
著者により作成された情報ではありません。
尚、用法は添付文書より、同効薬は、薬剤師監修のもとで作成しております。
※薬剤情報の(適外/適内/⽤量内/⽤量外/㊜)等の表記は、エルゼビアジャパン編集部によって記載日時にレセプトチェックソフトなどで確認し作成しております。ただし、これらの記載は、実際の保険適用の査定において保険適用及び保険適用外と判断されることを保証するものではありません。また、検査薬、輸液、血液製剤、全身麻酔薬、抗癌剤等の薬剤は保険適用の記載の一部を割愛させていただいています。
(詳細はこちらを参照)

肝疾患の診断アルゴリズム
無症状のAST・ALT上昇患者の診断へのアプローチ
肝機能障害のおおまかな分類
脂肪肝の超音波検査画像
肝機能障害の診断フローチャート
検査結果による肝機能障害のタイプ分類
診断のきっかけとなる病歴や検査項目
脂肪肝の超音波検査画像
総胆管結石の腹部CT画像
著者校正/監修レビュー済
2018/08/23

改訂のポイント:
  1. 定期レビューを行った(変更なし)。


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