原発性マクログロブリン血症 :トップ    
監修: 木崎昌弘 埼玉医科大学総合医療センター
中世古玲子 成田赤十字病院 血液腫瘍科 第二血液腫瘍科

概要

疾患のポイント:
  1. 原発性マクログロブリン血症とは、高蛋白血症、IgMの単クローン性増加を示すB細胞性のリンパ増殖性腫瘍である。WHO分類ではリンパ形質細胞性リンパ腫(lymphoplasmacytic lymphoma、LPL)IgM型に分類されている。
  1. 過粘稠度症候群による頭痛、鼻出血、視覚障害などをはじめ多彩な症状を呈することがある。
  1. 欧米では遺伝子解析とともに新たな治療が次々に示されている。MYD88L265P遺伝子変異、CXCR4WHIM遺伝子変異の存在が本疾患の病態、治療に対する反応性、予後に関連する可能性が示された。
 
診断: >詳細情報 
  1. 診断確定のためには組織診断が必須である。
  1. 骨髄穿刺、生検を行い、10%以上のリンパ形質細胞の単クローン性増殖を証明する。これらのリンパ球の表面マーカーではsIgM、CD19、CD20、CD22、CD79aが陽性であり、CD5、CD10、CD23、CD38、FMC7は通常陰性を示す。通常は骨髄検査により診断するが、症例により骨髄でのリンパ形質細胞の増殖が明らかでなく、リンパ関連組織の生検で診断に至る場合がある。
  1. 米国ではMYD88L265P遺伝子変異の検査が推奨されている。
 
ステージング・合併症評価: >詳細情報 
  1. 通常WMは骨髄病変が主でありリンパ腫としてのステージングは行わず、多発性骨髄腫のような取り扱いをすることが多い。
  1. 合併症としては、過粘稠症候群、溶血性貧血、アミロイドーシスなどが挙げられる。
 
予後評価: >詳細情報 
  1. 欧米のデータベースでは2001年から2010年の間に診断された患者の5年生存率78%、10年生存率66%と報告されている。さまざまな新規治療薬開発によりさらに生命予後が改善される可能性がある。
 
治療: >詳細情報 
  1. 日本血液学会より治療のアルゴリズムが示されている。自覚症状がない場合は、無治療にて経過観察のみとする。通常、低悪性度B細胞性リンパ腫に対する治療と同様に、リツキシマブ、ステロイド、アルキル化剤、プリンアナログ誘導体などが用いられる。また、ボルテゾミブも保険適用が認められている。
  1. 大量化学療法および自家造血幹細胞移植の有用性も知られ、適応のある患者では、造血幹細胞を障害する傾向アルキル化剤、プリンアナログ誘導体などは避けることが推奨されている。
  1. 米国では、BTK阻害薬(イブルチニブ)、カルフィルゾミブなどの有用性が示されている。
 
化学療法:各レジメンの特徴: >詳細情報 
  1. CD20陽性B細胞性低悪性度リンパ腫として、リツキシマブ、アルキル化剤、フルダラビン等を用いる。
  1. 多発性骨髄腫の治療薬であるボルテゾミブも奏効する。
 
対症療法: >詳細情報 
  1. 過粘稠症候群による出血傾向、貧血、血小板減少を認めることがあり、対象療法を行う。
 
臨床のポイント:
  1. 原発性マクログロブリン血症は、B細胞性のリンパ増殖性疾患である。
  1. 根治療法は確立されていない。
  1. 自覚症状がなければ無治療経過観察のみで十分である。初期治療としてはリツキシマブ、ボルテゾミブ、ステロイド、アルキル化剤、プリンアナログなどを用いる。

評価・治療の進め方

※選定されている評価・治療は一例です。症状・病態に応じて適宜変更してください。

診断確定のための検査例
  1. IgM単クローン性増加、骨髄あるいはリンパ組織の生検材料の組織学的診断が必須である。
○ 確定診断を行う場合、下記の検査を行う。
1)
2)
3)
骨髄穿刺, 生検, 細胞表面マーカー
4)
リンパ節生検

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薬剤監修について:
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(詳細はこちらを参照)

原発性マクログロブリン血症(WM)に対する治療のアルゴリズム
再発時治療のコンセンサス
原発性マクログロブリン血症診断のアルゴリズム
原発性マクログロブリン血症(WM)の病態による臨床症状
WM患者の血清IgMλの単クローン性増加(特異抗血清による免疫電気泳動)
IgMλ型の患者の骨髄検査
IgMκ型患者の骨髄生検
リツキシマブ単剤投与レジメン
DRC療法レジメン
BR療法レジメン
著者校正/監修レビュー済
2018/07/23


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