今日の臨床サポート 今日の臨床サポート

著者: 原田武志 徳島大学大学院医歯薬学研究部 血液・内分泌代謝内科学分野

監修: 宮﨑泰司 長崎大学病院血液内科

著者校正/監修レビュー済:2024/06/12
参考ガイドライン:
  1. 日本血液学会:造血器腫瘍診療ガイドライン2023年版
  1. 日本骨髄腫学会:多発性骨髄腫診療の指針 第5版
患者向け説明資料

改訂のポイント:
  1. 『造血器腫瘍診療ガイドライン2023年版』の改訂に伴い、全体の改訂を行った。
  1. 未治療多発性骨髄腫患者に対する治療アルゴリズム、再発・再燃多発性骨髄腫に対する治療アルゴリズムを修正、各治療に対するレジメンも改訂した。
 

概要・推奨   

  1. 無症候性骨髄腫患者に対しては、高リスク無症候性患者においても、無治療経過観察が推奨される(推奨度1)。高リスク無症候性患者へのレナリドミドを中心とする早期治療介入は、予後の改善も認めているが、いまだ至適治療法の確立には至っていない。
  1. 若年者症候性骨髄腫患者に対して、自家造血幹細胞移植併用大量メルファラン療法は通常量化学療法と比べて無増悪生存期間を延長させると考えられ推奨できる(推奨度1)
  1. 若年者症候性骨髄腫患者における移植を前提とした寛解導入療法では、ボルテゾミブとレブラミドを含むレジメンが推奨される(推奨度1)
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病態・疫学・診察 

疾患情報(疫学・病態)  
  1. 多発性骨髄腫(multiple myeloma)は、B細胞の終末分化段階である形質細胞の単クローン性(腫瘍性)増殖を特徴とする疾患である。多段階発癌過程を経て意義不明の単クローン性ガンマグロブリン血症(MGUS)より移行する。大多数の症例では単クローン性形質細胞の骨髄内集積と血中および尿中の単クローン性免疫グロブリン(M蛋白)を伴っている。一部に髄外腫瘤(形質細胞腫)で発症する場合もある。
 
骨髄腫細胞(骨髄塗抹標本、ライト・ギムザ染色)

標本中の骨髄腫細胞は大型で核が偏在し、クロマチンは粗造で豹紋状に分布し、細胞質は好塩基性で核周明庭がみられる。

出典

安倍正博先生ご提供
 
  1. わが国における年間発症率はおよそ10万人あたり5人とされており、人口の高齢化に伴い増加傾向にある。わが国での死亡者数は年間4,000人前後で、全悪性腫瘍の約1%、全造血器腫瘍の約10%を占めている。
  1. 発症初期には臓器病変はないが、腫瘍細胞が骨髄微小環境と相互作用し、増殖・進展することで、貧血を主とする造血障害、骨破壊性病変、高カルシウム血症、腎障害や感染症などの多彩な臨床症状を呈するようになる。
  1. 症候性骨髄腫の症状:図<図表>
  1. 臓器病変があれば症候性骨髄腫と診断し治療を開始する。プロテアソーム阻害薬や免疫調節薬(IMiDs)、抗体医薬が臨床応用され、多発性骨髄腫の治療成績が大きく改善している。
  1. 多発性骨髄腫は、骨髄腫細胞内で起こるゲノム不安定性や遺伝子プロモーターのメチル化などのepigeneticな異常制御により特定の癌遺伝子が活性化あるいは癌抑制遺伝子が不活性化し、骨髄腫は多段階の発癌ステップにより進行する。また、骨髄腫は骨髄微小環境に依存した進展を示し、骨破壊病変など本症に特徴的な症候を呈する。このような病態の形成や腫瘍進展・治療耐性の獲得に、骨髄腫細胞自身の細胞遺伝学的な異常に加え、骨髄腫細胞と骨髄微小環境との間の複雑な細胞間相互作用が重要な役割を演じている。
 
骨髄腫の進展と染色体異常

Hyperdiploidy:高二倍体、non-hyperdiploidy:非高二倍体
 
参考文献:
Palumbo A, Anderson K: Multiple myeloma. N Engl J Med. 2011; 364(11): 1046-60を参考に作製

出典

安倍正博先生ご提供
 
骨髄腫の病態

骨髄腫細胞が産生するM蛋白を介する病態と、骨髄腫細胞が直接もたらす病態がある。

出典

安倍正博先生ご提供
 
  1. 骨髄腫の分子病態
  1. 骨髄腫細胞は症例ごとに形態的にも細胞遺伝学的にも不均一な性格を有しており、このような性格の違いが腫瘍進展や治療反応性の違いに影響を及ぼしている。骨髄腫細胞内で起こるゲノム不安定性や遺伝子プロモーターのメチル化などのepigeneticな異常制御により特定の癌遺伝子が活性化あるいは癌抑制遺伝子が不活性化し、骨髄腫は多段階の発癌ステップにより進行する(図<図表>)。
  1. 骨髄腫細胞自身の細胞遺伝学的な異常に加え、本症に特徴的な病態の形成や腫瘍進展・治療耐性の獲得に、骨髄腫細胞と骨髄微小環境との間の複雑な細胞間相互作用が注目されている。
  1. 骨髄腫細胞の起源と骨髄腫の発症:
  1. 胚中心B細胞は、抗原刺激により選択され、免疫グロブリン(Ig)重鎖遺伝子定常部のクラススイッチ再構成を起こした後、メモリーB細胞から形質芽細胞へと分化する。そして、骨髄へホーミングしlong-lived plasma cellに分化する。
  1. 骨髄腫細胞では、抗原特異的であるIg超可変部の遺伝子にアミノ酸置換を伴う体細胞変異を認め、クラススイッチ再構成を起こしていることより、骨髄腫細胞の起源は頻回の抗原刺激を受けた抗原依存性B細胞であるメモリーB細胞から形質芽球あたりの分化段階の細胞と考えられている。
  1. 骨髄腫前駆細胞はリンパ濾胞で頻回の抗原刺激を受け、分化とともにVLA-4などの接着分子やケモカイン受容体を発現し血中に入り、骨髄へホーミングし、骨髄微小環境内で骨髄腫細胞に分化、増殖すると想定されている。遺伝学的素因に慢性抗原刺激や種々の発癌要因が加わり骨髄腫は多段階のステップを経て発症すると思われる。
  1. 骨髄腫細胞の細胞遺伝学的異常:
  1. 骨髄腫細胞はゲノム不安定性を有し細胞遺伝学的に不均一である。骨髄腫細胞の発症に関する異常は、染色体の異数性による高二倍体と非高二倍体とに大別される(図<図表>)。
  1. 非高二倍体では、IGH転座と染色体13/13q14欠失が高頻度にみられる。高二倍体では、染色体3、5、7、9、11、15、19や21などのトリソミー(3倍数体)が多いが、染色体13/13q14欠失やIGH転座の頻度は低い。経過を通じて高二倍体と非高二倍体との間の移行はない。IGH遺伝子座(14q32)またはIGL遺伝子λ座(22q11)に切断点を有する染色体転座が多く認められるが、IGL遺伝子κ座(2p12)との転座はまれである。IGH遺伝子とCCND1(11q13)、MMSET/FGFR3(4p16)、CCND3(6p21)、c-MAF(16q23)との転座は骨髄腫発症の初期よりみられ、その後の経過で2次性の転座としてMUM1/IRF4(6p25)、MAFB(20q11)、c-MYC(8q24)などとの転座が惹起される。
  1. 染色体17p欠失や1番染色体の異常(1pの欠失、1qの増幅)も腫瘍の増悪過程でみられ、このような2次性の異常は腫瘍増殖の悪化や薬剤耐性の獲得と関連がある。MGUSにはみられないが、MMではNRASKRASの活性型変異がみられる。また、FGFR3の活性型点突然変異やサイクリン依存性キナーゼ阻害因子CDKN2AやCDKN2Cの不活性化も2次性の異常である
問診・診察のポイント  
  1. 多発性骨髄腫の診断は、M蛋白の同定と形質細胞の腫瘍性増殖を証明する。臓器障害を認めれば治療の対象となる症候性骨髄腫と診断する。診断基準として、国際骨髄腫ワーキンググループ(International Myeloma Working Group:IMWG)から発表された骨髄腫および関連疾患の診断基準が用いられる。次いで病期分類に必要な検査および治療に関連する検査を行う。

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オーダー内の薬剤用量は日本医科大学付属病院 薬剤部 部長 伊勢雄也 以下、渡邉裕次、井ノ口岳洋、梅田将光および日本医科大学多摩永山病院 副薬剤部長 林太祐による疑義照会のプロセスを実施、疑義照会の対象については著者の方による再確認を実施しております。
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著者のCOI(Conflicts of Interest)開示:
原田武志 : 講演料(ブリストル・マイヤーズ スクイブ(株)),研究費・助成金など(サノフィ(株))[2025年]
監修:宮﨑泰司 : 講演料(ノバルティスファーマ(株),ブリストル・マイヤーズスクイブ(株),中外製薬(株))[2025年]

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