心房粗動 :トップ    
監修: 永井良三 自治医科大学
奥山裕司 独立行政法人 国立病院機構 大阪南医療センター 循環器疾患センター

概要

疾患のポイント:
  1. 心房粗動とは、心房の規則正しく速い興奮を特徴とする上室性頻拍の一種である。
  1. 通常型心房粗動においては1分間に約300回、三尖弁輪を旋回する。
  1. 多くの症例で心房粗動の診断時あるいはその後の経過中に心房細動を合併する( エビデンス )。房室伝導比が4:1以下と低い場合には症状は軽い。一方、2:1伝導では心室拍数が150/分程度となり、動悸症状を引き起こすことが多く、他の上室性頻拍との鑑別を要する。

診断: >詳細情報 
  1. 心房粗動を念頭に置けば通常心電図診断は容易である。
  1. 2:1房室伝導で粗動波の確認が難しければ、血圧に注意しながらベラパミル(5mg/筒)を1/4アンプルずつゆっくり静注し、房室伝導比を低下させて粗動波を観察することで診断できる。

治療: >詳細情報 
  1. 急性期の治療:
  1. 有症状でレートコントロールが必要となる場合の治療として、ベラパミルを第一選択とするが、低心機能例では、ジゴキシンを用いる。効果不十分例など必要に応じて、β遮断薬を追加することがある。β遮断薬は、患者ごとに薬剤への反応が異なるため低用量より始め、漸増していく。 エビデンス   エビデンス 
  1. 慢性期治療:
  1. 粗動の停止、再発予防には高い効果を持つ薬剤がない。積極的に洞調律化を計りたいときは、直流通電または抗不整脈薬(Ia,III群)を用いることもあるが、基本的にはカテーテルアブレーションを行う。
  1. 積極的に洞調律化を計らない場合は、抗凝固療法とレートコントロールを行う。適切な強度の抗凝固療法が行われていない場合で、発症時刻 が確定できない場合は(自覚症状では発症時刻は確定できない)、心原性塞栓の予防目的で、心房細動と同等に危険因子に応じて抗凝固療法を実施する。また、必要に応じて心拍数調節治療(レートコントロール)を行う。 

評価・治療の進め方

※選定されている評価・治療は一例です。症状・病態に応じて適宜変更してください。

心電図記録(心房粗動が出ているもの)
  1. 心房粗動に罹患していることを確診するため粗動時の心電図記録を撮る。
○ 心電図のⅡ、Ⅲ、aVF誘導で典型的な粗動波形(ゆっくり下がって、急に上向きとなる)とV1誘導で上向きの粗動波形を確認する。

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薬剤監修について:
オーダー内の薬剤用量は日本医科大学付属病院 薬剤部 部長 片山志郎 以下、林太祐、渡邉裕次、井ノ口岳洋、梅田将光による疑義照会のプロセスを実施、疑義照会の対象については著者の方による再確認を実施しております。
※薬剤中分類、用法、同効薬、診療報酬は、エルゼビアが独自に作成した薬剤情報であり、
著者により作成された情報ではありません。
尚、用法は添付文書より、同効薬は、薬剤師監修のもとで作成しております。
※薬剤情報の(適外/適内/⽤量内/⽤量外/㊜)等の表記は、エルゼビアジャパン編集部によって記載日時にレセプトチェックソフトなどで確認し作成しております。ただし、これらの記載は、実際の保険適用の査定において保険適用及び保険適用外と判断されることを保証するものではありません。また、検査薬、輸液、血液製剤、全身麻酔薬、抗癌剤等の薬剤は保険適用の記載の一部を割愛させていただいています。
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心房粗動の治療方針
著者校正/監修レビュー済
2017/06/30