今日の臨床サポート

心房粗動

著者: 奥山裕司 おくやまクリニック 内科・循環器内科

監修: 今井靖 自治医科大学 薬理学講座臨床薬理学部門・内科学講座循環器内科学部門

著者校正/監修レビュー済:2022/06/23
参考ガイドライン:
  1. 日本循環器学会 /日本不整脈心電学会合合同ガイドライン 不整脈非薬物治療ガイドライン(2018 年改訂版)2018 JCS/JHRS Guideline on Non-Pharmacotherapy of Cardiac Arrhythmias 2021年 9 月 6 日更新 2019 年 3 月 29 日発行
  1. 日本循環器学会/日本不整脈心電学会合合同ガイドライン 2020 年改訂版 不整脈薬物治療ガイドライン JCS/JHRS 2020 Guideline on Pharmacotherapy of Cardiac Arrhythmias 2020 年 12 月 28 日更新 2020 年 3 月 13 日発行
患者向け説明資料

概要・推奨   

  1. CHADS2スコアによって血栓塞栓症リスクを予想し、CHADS2スコア1点以上では心房細動と同様にDOAC(直接作用型経口抗凝固薬、direct oral anticoagulant, DOAC)(推奨)またはワルファリン(考慮可)による抗凝固療法を行うことが推奨されている(推奨度1
  1. 洞調律化時の血栓塞栓症
  1. 心房粗動のアブレーション時や直流通電によるcardioversion時にも、しばらくの間心房(左心耳)の収縮性が低下していることがあるため、抗凝固療法が推奨される(推奨度1
アカウントをお持ちの方はログイン
  1. 閲覧にはご契約が必要となります。閲覧にはご契約が必要となります。閲覧にはご契約が必要となります。閲覧にはご契約が必要となります。閲覧にはご契約
薬剤監修について:
オーダー内の薬剤用量は日本医科大学付属病院 薬剤部 部長 伊勢雄也 以下、林太祐、渡邉裕次、井ノ口岳洋、梅田将光による疑義照会のプロセスを実施、疑義照会の対象については著者の方による再確認を実施しております。
※薬剤中分類、用法、同効薬、診療報酬は、エルゼビアが独自に作成した薬剤情報であり、 著者により作成された情報ではありません。
尚、用法は添付文書より、同効薬は、薬剤師監修のもとで作成しております。
※同効薬・小児・妊娠および授乳中の注意事項等は、海外の情報も掲載しており、日本の医療事情に適応しない場合があります。
※薬剤情報の(適外/適内/⽤量内/⽤量外/㊜)等の表記は、エルゼビアジャパン編集部によって記載日時にレセプトチェックソフトなどで確認し作成しております。ただし、これらの記載は、実際の保険適応の査定において保険適応及び保険適応外と判断されることを保証するものではありません。また、検査薬、輸液、血液製剤、全身麻酔薬、抗癌剤等の薬剤は保険適応の記載の一部を割愛させていただいています。
(詳細はこちらを参照)
著者のCOI(Conflicts of Interest)開示:
奥山裕司 : 特に申告事項無し[2022年]
監修:今井靖 : 講演料(第一三共株式会社)[2022年]

改訂のポイント:
  1. CHADS2スコア1点以上では心房細動と同様にDOAC(推奨)またはワルファリン(考慮可)による抗凝固療法を行うことが推奨された。

病態・疫学・診察

疾患情報(疫学・病態)  
  1. 心房粗動は心房の規則正しく速い興奮を特徴とする上室性頻拍の一種である。何らかの疾患(高血圧症、弁膜症、虚血性心疾患など)の合併や開心術の既往歴を有する症例が多いが、明らかな背景疾患・既往を有さない特発例も存在する。
  1. 通常型心房粗動においては1分間に約300回、三尖弁輪を旋回する。
  1. 多くの症例で心房粗動の診断時あるいはその後の経過中に心房細動を合併する。房室伝導比が4:1以下と低い場合には症状は軽い。2:1伝導では心室拍数が150/分程度となり、動悸症状を引き起こすことが多く、他の上室性頻拍との鑑別を要する。
  1. 粗動の停止、再発予防には高い効果を持つ薬剤がない。大部分を占める三尖弁輪下大静脈間のいわゆる解剖学的峡部を必須回路とする通常型心房粗動は95%以上の確率でカテーテルアブレーションによる根治が見込めるため第1選択となっている。
  1. 心原性塞栓の原因となるため抗凝固療法を心房細動と同様に危険因子に合わせて実施する。すなわち適切な強度の抗凝固療法が行われていない場合で、発症時刻が確定できない場合は(自覚症状では発症時刻は確定できない)、危険因子に応じて抗凝固療法を実施し、必要に応じて心拍数調節治療を行う。
  1. 洞調律化を試みる場合、3週間以上適切な強度の抗凝固療法を継続した後に薬物的洞調律化または直流通電を行う。先行する適切な抗凝固療法が行われていない状態で、血行動態が不安定であるなどの理由で洞調律化を急ぐ場合には心房細動と同様に経食道エコー図検査で左房内血栓を否定する。
 
  1. 心房粗動の機序は?
  1. 通常型心房粗動は右房内のマクロリエントリーである。リエントリー回路は興奮が進行していく経路の左右(あるいは前後)を伝導障害部位によって占められている必要がある。通常型心房粗動では三尖弁輪が前方の伝導障害部位となっている。また後方の伝導障害部位は、下大静脈、eustachian ridge、冠静脈洞入口部、である。固定性伝導ブロックと機能性伝導ブロックによって、分界稜は心房粗動中に伝導障害領域となって後方の伝導障害部位となっていることが多い。時計回りの通常型も同様である。この回路のなかで、下大静脈、eustachian ridge、冠静脈洞入口部で囲まれている領域の興奮伝導速度が比較的遅く、いわゆる相対的伝導遅延部位を形成している。
  1. カテーテルアブレーションはリエントリー回路を興奮が旋回できないように焼灼領域を作ることが目的である。三尖弁輪から下大静脈あるいは三尖弁輪からeustachian ridgeにかけて線状焼灼を行うことでこれが達成される。
 
  1. 心房粗動と心房頻拍の違い
  1. 心房頻拍と心房粗動は、いずれも心房が規則正しく高頻度に興奮している状態となっている。興奮頻度によって240/分までを心房頻拍、それ以上の頻拍を心房粗動と分類する。例えば三尖弁輪周囲を興奮が旋回する心房粗動はマクロリエントリーを機序としている。心房頻拍も開心術後の瘢痕周囲を旋回するマクロリエントリーを機序とするものもある。局所興奮(マイクロリエントリーや撃発活動)を機序とする心房頻拍も心房粗動もあり得る。局所興奮を機序とする心房粗動においても、その興奮が心房全体に伝播するのに要する時間と頻拍周期の関係によっては心電図上基線が認められない連続波のように見える。頻拍周期が遅ければP波様の波形が認められる典型的心房頻拍波形となる。この2つの上室性頻拍には臨床背景の差があり、心房粗動患者では高頻度に心房細動を合併する。
問診・診察のポイント  
  1. 心不全症状と失神・めまいなどの脳虚血症状に留意しながら問診を行う。房室伝導比が高い状態が長時間続くと頻脈誘発性心筋症となり心不全症状を呈する可能性がある。動悸症状を感じ始めた時期や出現・消退について詳細に問診する。

これより先の閲覧には個人契約のトライアルまたはお申込みが必要です。

最新のエビデンスに基づいた二次文献データベース「今日の臨床サポート」。
常時アップデートされており、最新のエビデンスを各分野のエキスパートが豊富な図表や処方・検査例を交えて分かりやすく解説。日常臨床で遭遇するほぼ全ての症状・疾患から薬剤・検査情報まで瞬時に検索可能です。

まずは15日間無料トライアル
本サイトの知的財産権は全てエルゼビアまたはコンテンツのライセンサーに帰属します。私的利用及び別途規定されている場合を除き、本サイトの利用はいかなる許諾を与えるものでもありません。 本サイト、そのコンテンツ、製品およびサービスのご利用は、お客様ご自身の責任において行ってください。本サイトの利用に基づくいかなる損害についても、エルゼビアは一切の責任及び賠償義務を負いません。 また、本サイトの利用を以て、本サイト利用者は、本サイトの利用に基づき第三者に生じるいかなる損害についても、エルゼビアを免責することに合意したことになります。  本サイトを利用される医学・医療提供者は、独自の臨床的判断を行使するべきです。本サイト利用者の判断においてリスクを正当なものとして受け入れる用意がない限り、コンテンツにおいて提案されている検査または処置がなされるべきではありません。 医学の急速な進歩に鑑み、エルゼビアは、本サイト利用者が診断方法および投与量について、独自に検証を行うことを推奨いたします。

文献 

J Granada, W Uribe, P H Chyou, K Maassen, R Vierkant, P N Smith, J Hayes, E Eaker, H Vidaillet
Incidence and predictors of atrial flutter in the general population.
J Am Coll Cardiol. 2000 Dec;36(7):2242-6.
Abstract/Text OBJECTIVES: The goal of our study was to determine the incidence and predictors of atrial flutter in the general population.
BACKGROUND: Although atrial flutter can now be cured, there are no reports on its epidemiology in unselected patients.
METHODS: The Marshfield Epidemiological Study Area (MESA), a database that captures nearly all medical care among its 58,820 residents was used to ascertain all new cases of atrial flutter diagnosed from July 1, 1991 to June 30, 1995. To identify predisposing risk factors, we employed an age- and gender-matched case-control study design using eight additional variables.
RESULTS: A total of 181 new cases of atrial flutter were diagnosed for an overall incidence of 88/100,000 person-years. Incidence rates ranged from 5/100,000 in those <50 years old to 587/100,000 in subjects older than 80. Atrial flutter was 2.5 times more common in men (p < 0.001). The risk of developing atrial flutter increased 3.5 times (p < 0.001) in subjects with heart failure and 1.9 times (p < 0.001) for subjects with chronic obstructive pulmonary disease. Among those with atrial flutter 16% were attributable to heart failure and 12% to chronic obstructive lung disease. Three subjects (1.7%) without identifiable predisposing risks were labeled as having "lone atrial flutter."
CONCLUSIONS: This study, the first population-based investigation of atrial flutter, suggests this curable condition is much more common than previously appreciated. If our findings were applicable to the entire U.S. population, we estimate 200,000 new cases of atrial flutter in this country annually. At highest risk of developing atrial flutter are men, the elderly and individuals with preexisting heart failure or chronic obstructive lung disease.

PMID 11127467
Francisco J Pérez, Christine M Schubert, Babar Parvez, Vishesh Pathak, Kenneth A Ellenbogen, Mark A Wood
Long-term outcomes after catheter ablation of cavo-tricuspid isthmus dependent atrial flutter: a meta-analysis.
Circ Arrhythm Electrophysiol. 2009 Aug;2(4):393-401. doi: 10.1161/CIRCEP.109.871665. Epub 2009 Jun 23.
Abstract/Text BACKGROUND: Despite the success of catheter ablation of cavotricuspid isthmus-dependent atrial flutter (AFL), important postablation outcomes are ill-defined. The purpose of our study was to analyze long-term outcomes after catheter ablation of cavotricuspid isthmus-dependent AFL.
METHODS AND RESULTS: A meta-analysis was performed of articles reporting clinical outcomes after catheter ablation of AFL published between January 1988 and July 2008. The analysis included 158 studies comprising 10 719 patients (79% men, 59.8+/-0.5 years old, 46% left atrial enlargement, 46% heart disease, 42% with history of atrial fibrillation, 14.3+/-0.4 months of follow-up). The overall acute success rate adjusted for reporting bias was 91.1% (95% CI, 89.5 to 92.4), 92.7% (95% CI, 90.0 to 94.8) for 8- to 10-mm tip/or irrigated radiofrequency catheters, and 87.9% (95% CI, 84.2 to 90.9) for 4- to 6-mm tip catheters (P>0.05). Atrial flutter recurrence rates were significantly reduced by use of 8- to 10-mm tip or irrigated radiofrequency catheters (6.7% versus 13.8%, P<0.05) and by use of bidirectional cavotricuspid isthmus block as a procedural end point (9.3% versus 23.6%, P<0.05). The AFL recurrence rate did not increase over time. The overall occurrence rate of atrial fibrillation after AFL ablation was 33.6% (95% CI, 29.7 to 37.3) but was 52.7% (95% CI, 47.8 to 57.6) in patients with a history of atrial fibrillation before ablation and 23.1% (95% CI, 17.5 to 29.9) in those without atrial fibrillation before ablation (P<0.05). The incidence of atrial fibrillation increased over time in both groups; however, 5 years after ablation, the incidence of atrial fibrillation was similar in those with and without atrial fibrillation before ablation. The acute complication rate was 2.6% (95% CI, 2 to 3). The mortality rate during follow-up was 3.3% (95% CI, 2.4 to 4.5). Antiarrhythmic drug use after ablation was 31.6% (95% CI, 25.6 to 37.8). The long-term use of coumadin was 65.9%, (95% CI, 43.8 to 82.8). Quality of life data were very limited.
CONCLUSIONS: AFL ablation is safe and effective. Ablation technology and procedural end points have greater influences on AFL recurrences than on acute ablation success rates. Atrial fibrillation is common after AFL ablation. Almost one third of patients take antiarrhythmic drugs after AFL ablation. Atrial fibrillation before AFL ablation may indicate a more advanced state of electric disease.

PMID 19808495

ページ上部に戻る

戻る

さらなるご利用にはご登録が必要です。

こちらよりご契約または優待日間無料トライアルお申込みをお願いします。

(※トライアルご登録は1名様につき、一度となります)


ご契約の場合はご招待された方だけのご優待特典があります。

以下の優待コードを入力いただくと、

契約期間が通常12ヵ月のところ、14ヵ月ご利用いただけます。

優待コード: (利用期限:まで)

ご契約はこちらから