今日の臨床サポート 今日の臨床サポート

著者: 中村元 小児科中村医院

監修: 五十嵐隆 国立成育医療研究センター

著者校正/監修レビュー済:2024/09/04
参考ガイドライン:
  1. 小児COVID-19合同学会ワーキンググループ:小児の外来診療におけるコロナウイルス 感染症 2019(COVID-19)診療指針 第 2 版 2021 年(令和 3 年)9 月 29 日
  1. 日本小児科学会学会の考え方・提言・見解等
  1. NICE guideline 143 Fever in under 5s: assessment and initial management
  1. THE AMERICAN ACADEMY OF PEDIATRICS| CLINICAL PRACTICE GUIDELINE| AUGUST 01 2021
  1. Clinical Practice Guideline: Evaluation and Management of Well-Appearing Febrile Infants 8 to 60 Days Old
患者向け説明資料

改訂のポイント:
  1. 定期レビューを行い、以下の修正を行った。
  1. COVID19の流行を踏まえた小児の発熱について加筆・修正した。
  1. 海外の新しいガイドラインを参考に加筆、修正した。
  1. 症例を追記した。

概要・推奨   

  1. 3カ月以下の乳児の38℃以上の発熱は原則として入院である(推奨度1)
  1. 何か気になる患者は検査を行い、入院を考慮すべきである(推奨度1)
  1. 解熱薬は使用しないことが原則である。
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病態・疫学・診察 

疫学情報・病態・注意事項  
  1. 発熱とは、同じ条件で測定して、平常より1℃以上高い状態をいう。予防接種法では37.5℃以上を発熱と定義している。38.0℃未満を微熱、39.0℃以上を高熱と呼ぶ。子供は食前食後、環境温の変化などに影響を受けやすい。
  1. 体温は測定部位、測定方法、測定時間、測定環境によって差がある。日本では腋窩温を標準とする場合が多い。最近家庭でよく用いられている鼓膜体温計は測定誤差が大きく、乳幼児では不正確となりやすい。体温を問診する場合には、少なくとも測定部位、測定方法を確かめる。外来にて再検することが少なくない[1]
  1. 特に基礎疾患の有無を確認し、鑑別診断を進める必要がある[2]
  1. 発熱に対する保護者の不安は大きく、十分な説明を行わなければならない。
  1. 発熱は、年齢が低いほど重篤な疾患が潜んでいる可能性が大きく、特に生後3カ月以内の乳児は原則として入院で経過観察すべきである[3]
  1. 発熱には3週間以上続く不明熱や、麻酔後に認められる悪性高血圧など重篤な疾患も含まれるが、ここでは主に外来で遭遇する小児の発熱のトリアージを説明する。
  1. 発熱は小児科外来で最も多い主訴の1つである[2][4]。原因は多岐にわたり、予後良後な疾患がほとんどだが、重篤な疾患を見逃さないように先入観を持たずに診療にあたらなくてはいけない。
  1. COVID19のパンデミックなど感染症の動向に注意し、重篤な感染症の可能性を認めた場合には必要な感染防御処置をとる。ただし、発熱外来の予約が取れずに受診できない所謂発熱難民を出さないように十分に配慮すべきである[5][6]
  1. 感染症(特にCOVID-19など)では理学所見だけでは鑑別診断が難しいことが多く、抗原検査などを用いて診断することが多い。しかし、鑑別診断を十分に行い必要な検査にとどめるべきである。
  1. COVID-19感染症は2023年5月に感染症法2類感染症から5類感染症になり、2024年5月から発熱外来も廃止になった。しかし、一部でほかの5類感染症より厳しい制限が残っていたり、発熱に対するCOVID-19を過度に恐れる方もいる。それに対する十分な配慮が必要である。
  1. 小児ではエビデンスの蓄積が乏しく国内では小児の発熱ガイドラインはない。2021年に英国、米国で新しいガイドラインが発表されているが、社会状況、医療状況が異なるため、わが国で適応することには検討が必要である[7]
  1. 小児科学会のホームページにはCOVID-19関連を含めて学会としての提言がまとめられているので参考になる(日本小児科学会学会の考え方・提言・見解等
 
異なる部位における正常体温

日本では一般的には腋窩温が普通に測定されているが、最近は種々の測定器具が販売されている。特に乳児では腋窩温の測定に時間がかかるため、鼓膜温計を使っている親が増えている。測定部位と体温のバラツキ(特に鼓膜温では測定方法が難しく測定ごとに1~2℃の差が出やすい)を確かめる必要がある。

出典

武田裕子:発熱をめぐるオーバービュー、診断と治療 2007;95:973
問診・診察のポイント  
  1. 患児の月齢、年齢の確認が重要である。特に生後1カ月以内(新生児期)は重篤な疾患の場合が多く、入院を必要とする。炎症反応が認められなくても抗菌薬の投与を開始し、血液培養などの結果を待つ。

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※薬剤中分類、用法、同効薬、診療報酬は、エルゼビアが独自に作成した薬剤情報であり、 著者により作成された情報ではありません。
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著者のCOI(Conflicts of Interest)開示:
中村元 : 特に申告事項無し[2025年]
監修:五十嵐隆 : 特に申告事項無し[2025年]

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発熱(乳幼児と年長児の対応含む)(小児科)

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