夜尿症(小児科) :トップ    
監修: 渡辺博 帝京大学医学部附属溝口病院
片山啓 片山キッズクリニック

概要

疾患のポイント:
  1. 夜尿症(nocturnal enuresis)とは、膀胱のコントロールが確立する年齢(通常5歳)を超えても夜間睡眠時の尿漏れがみられる状態をいう。
  1. 日中・夜間を問わず尿漏れがみられる状態は遺尿症(enuresis)、日中のみの場合は尿失禁症(urinary incontinence)という。
  1. 出生から5~6歳に至るまで尿漏れが持続しているものを1次性(primary)、6カ月以上尿漏れのない時期があって再び尿漏れがみられるようになったものを2次性(secondary)という。
  1. 5歳児の15~20%、若年成人の2%にみられ、男性に多い傾向がある。
 
診断:アルゴリズム  >詳細情報 
  1. 問診にて、年齢(通常5歳)を超えても夜間睡眠時の尿漏れがみられることを確認し、診断する。
 
基礎疾患の評価: >詳細情報 
  1. 詳細な問診を行い、夜尿の主たる原因が多尿によるものか、機能性膀胱容量が小さいことによるものか、両者の混合型なのかを推測するとともに、先天性尿路奇形、慢性尿路感染症、過活動性膀胱、てんかん発作などの基礎疾患の有無についても十分に検討する。
 
重症度・予後: >詳細情報 
  1. 無治療の状態で、1年ごとに患者のうち15%が自然軽快するといわれているが、2%は成人まで遷延する。
  1. 一方、治療終了までには6カ月から2年程度の長い期間を要することを、患児、保護者そして治療担当者自身がよく理解しておく必要がある。
 
治療: >詳細情報 
  1. 6歳以上で、週のうち半分以上、夜間の尿漏れがみられている場合には治療の必要な夜尿症と考える。
  1. 治療には、①行動療法、②アラーム療法、③デスモプレシン、④三環系抗うつ薬、⑤抗コリン薬――などがある
  1. 行動療法として、生活リズムを整える目的で、早起き・早寝で睡眠と覚醒のリズムを一定にし、眠前3時間の水分摂取を控え、眠る前に必ず排尿する様に指導する。

評価・治療の進め方

※選定されている評価・治療は一例です。症状・病態に応じて適宜変更してください。

初期治療例
  1. アラーム療法は下着あるいはベッドマットにセンサーを装着し、尿漏れによる水分を感知して音あるいは振動で患児の覚醒を促すものであり、副作用なしに一定の効果を挙げ、治療終了後の再発も少ないということで、この治療法を第1選択としている海外論文はイギリスのガイドラインを含めて多い。
  1. アラーム療法の作用機序は、尿意覚醒を促すというよりは、夜尿時膀胱容量を増加させることによると考えられており、有効例では夜尿時膀胱容量が約1.5倍まで増加すると報告されている。
  1. アラームが鳴っても、本人が目を覚まさず家族が起こす必要がある場合も多く、家族の協力と本人の意欲が十分に得られることが不可欠である。本人の治療への意欲が低い場合、覚醒が非常に悪い場合や、家族の協力が困難な場合は適応外である。
  1. 夜尿の頻度があまり多くない場合、アラームの鳴る回数も少なくなるため効果が出にくくなる。アラーム療法は夜尿の頻度が高い症例が対象となる。
○ まずは生活指導を行う。早起き。水分摂取は日中十分に、夕方以降控えて。就寝前に必ず排尿。夜間尿症日記。本人の意欲と家族の協力が得られればアラーム療法から。アラーム療法不適応例には薬物治療。多尿型には2)、機能的膀胱容量が少なければ3)か4)を用いる。

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薬剤監修について:
オーダー内の薬剤用量は日本医科大学付属病院 薬剤部 部長 片山志郎 以下、林太祐、渡邉裕次、井ノ口岳洋、梅田将光による疑義照会のプロセスを実施、疑義照会の対象については著者の方による再確認を実施しております。
※薬剤中分類、用法、同効薬、診療報酬は、エルゼビアが独自に作成した薬剤情報であり、
著者により作成された情報ではありません。
尚、用法は添付文書より、同効薬は、薬剤師監修のもとで作成しております。
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夜尿症の診断アルゴリズム
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著者校正/監修レビュー済
2017/01/20