MRSA感染症 :トップ    
監修: 大曲貴夫 国立国際医療研究センター
冲中敬二 国立がん研究センター東病院 総合内科

概要

疾患のポイント:
  1. メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)は、病院内感染症の代表的な起炎菌の1つである。MRSAによる感染症には、手術部位感染症を含む重症軟部組織感染症、カテーテルなどによる異物関連感染症などが存在する。また、エンテロトキシンやToxic Shock Syndrome Toxin-1などの毒素を産生し、食中毒やToxic Shock症候群(TSS)などを引き起こすことも知られている。
  1. メチシリン耐性黄色ブドウ球菌感染症は、感染症法の5類感染症に分類され、基幹定点医療機関(全国約500カ所の病床数300以上の医療機関)が月単位で最寄りの保健所に届け出る必要がある。
 
診断: >詳細情報 
  1. 血液や髄液、関節液などの無菌的検体や、感染を疑う部位の局所培養検体(膿など)でMRSAを検出した場合は、通常、真の感染症として扱う。 エビデンス 
  1. 喀痰中の黄色ブドウ球菌のグラム染色:<図表>
  1. 胸水中の黄色ブドウ球菌:<図表>
  1. 喀痰、尿、便培養でMRSAを検出した場合の診断はコンタミネーションである可能性も高く、感染か否かの評価を慎重に行う。
  1. MRSA感染症診療のながれ:アルゴリズム
 
治療: >詳細情報 
  1. 現時点では、すべての臓器の感染症において第1選択薬であるのはバンコマイシンのみと考えられ、血中濃度を測定しつつ適正使用を心がける。
  1. バンコマイシンに対する最小発育阻止濃度(MIC)の上昇した株の存在が注目されてきたが、近年その存在に懐疑的な意見もみられる。バンコマイシンに対する最小発育阻止濃度が2μg/mL以上の場合、感受性の範疇ではあるが、特に肺炎や中枢神経感染症では、血中濃度モニタリング下の治療でもバンコマイシンに対する治療反応性が不十分となる危険性があるため注意が必要である。各薬剤の薬剤感受性試験による感受性評価は必要であるが、現時点ではバンコマイシンのMICの上昇が治療経過に与える影響は不明であり、MICの値に固執せず臨床経過をより重視すべきである。 エビデンス   …

評価・治療の進め方

※選定されている評価・治療は一例です。症状・病態に応じて適宜変更してください。

診断・治療前の評価例
  1. 血液や髄液、関節液などの無菌的検体や、感染を疑う部位の局所培養検体(膿など)でMRSAを検出した場合は、通常、真のMRSA感染症として扱う。一方、喀痰、尿、便培養でMRSAを検出した場合の診断はコンタミネーションである可能性も高く、感染か否かの評価を慎重に行う必要がある。  エビデンス 
  1. 軽症の皮膚軟部組織感染症の場合は必ずしもその限りではないが、MRSA感染症を疑い、抗MRSA薬を開始する際には必ず関連する部位の細菌培養検査に加えて血液培養を2セット提出する。
○ MRSA感染症を疑い、抗MRSA薬を開始する際には1)に加えて2)を提出する。

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リファレンス

img  1:  The safety and efficacy of daptomycin for the treatment of complicated skin and skin-structure infections.
 
PMID 15227611  Clin Infect Dis. 2004 Jun 15;38(12):1673-81. doi: 10.10・・・
img  2:  Linezolid versus vancomycin for skin and soft tissue infections.
 
PMID 26758498  Cochrane Database Syst Rev. 2016 Jan 7;(1):CD008056. do・・・
img  3:  Linezolid in methicillin-resistant Staphylococcus aureus nosocomial pneumonia: a randomized, controlled study.
 
PMID 22247123  Clin Infect Dis. 2012 Mar 1;54(5):621-9. doi: 10.1093/c・・・
img  4:  Treatment of hospital-acquired pneumonia with linezolid or vancomycin: a systematic review and meta-analysis.
 
PMID 24127058  BMJ Open. 2013 Oct 14;3(10):e003912. doi: 10.1136/bmjop・・・
img  5:  Linezolid versus vancomycin for the treatment of suspected methicillin-resistant Staphylococcus aureus nosocomial pneumonia: a systematic review employing meta-analysis.
 
PMID 25355172  Eur J Clin Pharmacol. 2015 Jan;71(1):107-15. doi: 10.10・・・
img  6:  Linezolid vs glycopeptide antibiotics for the treatment of suspected methicillin-resistant Staphylococcus aureus nosocomial pneumonia: a meta-analysis of randomized controlled trials.
 
PMID 20864609  Chest. 2011 May;139(5):1148-55. doi: 10.1378/chest.10-1・・・
薬剤監修について:
オーダー内の薬剤用量は日本医科大学付属病院 薬剤部 部長 片山志郎 以下、林太祐、渡邉裕次、井ノ口岳洋、梅田将光による疑義照会のプロセスを実施、疑義照会の対象については著者の方による再確認を実施しております。
※薬剤中分類、用法、同効薬、診療報酬は、エルゼビアが独自に作成した薬剤情報であり、
著者により作成された情報ではありません。
尚、用法は添付文書より、同効薬は、薬剤師監修のもとで作成しております。
※薬剤情報の(適外/適内/⽤量内/⽤量外/㊜)等の表記は、エルゼビアジャパン編集部によって記載日時にレセプトチェックソフトなどで確認し作成しております。ただし、これらの記載は、実際の保険適用の査定において保険適用及び保険適用外と判断されることを保証するものではありません。また、検査薬、輸液、血液製剤、全身麻酔薬、抗癌剤等の薬剤は保険適用の記載の一部を割愛させていただいています。
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MRSA感染症診療のながれ
喀痰中の黄色ブドウ球菌のグラム染色
胸水中の黄色ブドウ球菌
著者校正/監修レビュー済
2018/04/02


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