妊娠高血圧症候群

著者: 山崎峰夫 医療法人社団純心会パルモア病院

監修: 金山尚裕 静岡医療科学専門大学校

著者校正/監修レビュー済:2019/07/09

概要・推奨  

疾患のポイント:
  1. 妊娠高血圧症候群(Hypertensive disorders of pregnancy:HDP)とは、かつて妊娠中毒症と称した浮腫・蛋白尿・高血圧を主徴とする疾患の中から、高血圧を呈さない病態を除外して再定義したものである。妊娠前より存在していた高血圧性疾患は、蛋白尿を新たに示さない場合には本症候群には分類されていなかった。しかし2018年より定義が改訂となり、「妊娠時に高血圧を認めた場合、妊娠高血圧症候群とする」こととなった。
  1. さまざまな続発症・合併症を来して母体に重大な健康障害を残す可能性がある。また、児については、胎内死亡、胎児発育不全、胎児機能不全、新生児仮死、早産に伴う未熟、などのリスクがある。
  1. 妊娠高血圧症候群の母体に生じる可能性のある続発症・合併症:<図表>
 
診断: >詳細情報 
  1. 血圧測定が診断の基本である。6時間以上間隔を開けて2回以上収縮期血圧140mmHg以上または 拡張期血圧90mmHg以上であれば、高血圧と診断できる。ただし、診察室で高血圧がみられた場合、白衣高血圧を鑑別するために家庭血圧を測定することが勧められる。
  1. 妊娠高血圧症候群と鑑別が必要な高血圧症とその症候:<図表>
  1. 蛋白尿の評価のため、テステープを用いた随時尿による蛋白尿スクリーニングを行う。1+では妊婦の蛋白尿の基準(300mg/日以上)に満たず、偽陽性のことが多いが、2回以上連続して1+が続くときは蛋白尿と診断することが認容される。2+以上では真の蛋白尿のことが多い。また、尿中蛋白クレアチニン比0.3mg/mgCr以上も蛋白尿診断の根拠とできる。なお、新しい定義・分類においては、蛋白尿の程度による重症度分類は行わないこととなった。
 
重症度・予後: >詳細情報 
  1. 蛋白尿そのものの程度は病態の重症度とは直接関わらないとされている。
  1. 妊娠高血圧症候群は、妊娠高血圧腎症、妊娠高血圧、加重型妊娠高血圧腎症、高血圧合併妊娠の4つの病型に分類される。
検査・処方例
※選定されている評価・治療は一例です。症状・病態に応じて適宜変更してください。

病型の鑑別のための評価例
  1. 妊娠高血圧と妊娠高血圧腎症、高血圧合併妊娠と加重型妊娠高血圧腎症との鑑別には蛋白尿の有無だけではなく、母体の症状や臨床検査成績を評価する必要がある。
  1. 24時間尿中蛋白排泄量300mg以上を確認するのが妊婦の蛋白尿診断の原則だが、随時尿中蛋白クレアチニン比0.3mg/mgCr以上をもって蛋白尿陽性としてもよい。
  1. 随時尿を用いた試験紙法による蛋白尿診断は、1+を陽性の基準とすれば、偽陽性が多い。また逆に、高血圧を呈する妊婦では偽陰性もまれではない。
○ 妊婦が高血圧を呈する場合、病型鑑別のため1)を行うべきだが、2)で代用してもよい。また3)の項目に該当するかを評価する必要がある。

薬剤監修について:
オーダー内の薬剤用量は日本医科大学付属病院 薬剤部 部長 片山志郎 以下、林太祐、渡邉裕次、井ノ口岳洋、梅田将光による疑義照会のプロセスを実施、疑義照会の対象については著者の方による再確認を実施しております。
※薬剤中分類、用法、同効薬、診療報酬は、エルゼビアが独自に作成した薬剤情報であり、
著者により作成された情報ではありません。
尚、用法は添付文書より、同効薬は、薬剤師監修のもとで作成しております。
※薬剤情報の(適外/適内/⽤量内/⽤量外/㊜)等の表記は、エルゼビアジャパン編集部によって記載日時にレセプトチェックソフトなどで確認し作成しております。ただし、これらの記載は、実際の保険適用の査定において保険適用及び保険適用外と判断されることを保証するものではありません。また、検査薬、輸液、血液製剤、全身麻酔薬、抗癌剤等の薬剤は保険適用の記載の一部を割愛させていただいています。
(詳細はこちらを参照)

改訂のポイント:
  1. 2018年のHDP定義・分類改訂
に基づき、改訂を行った。


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