黄体機能不全 :トップ    
監修: 小西郁生 独立行政法人国立病院機構 京都医療センター
杉野法広 山口大学 産科婦人科学

概要

疾患のポイント:
  1. 黄体機能不全(luteal phase defect)とは、黄体からのプロゲステロンの分泌不全により、子宮内膜の分泌性変化が完全に起こらないものと定義されている。しかし、実際には黄体からのホルモン分泌に異常がなくても子宮内膜の変化に異常がある場合もあり、子宮内膜自体の異常も含めて黄体機能不全を取り扱っているのが現状である。すなわち広義の黄体機能不全(luteal phase defect)には、黄体からのホルモン分泌に異常がある狭義の黄体機能不全(luteal insufficiency)と、黄体からのホルモン分泌には異常がないが分泌期子宮内膜自体に異常がある子宮内膜機能不全 (endometrial insufficiency)が含まれると考えるほうが理解しやすい。
  1. 黄体機能不全とは、黄体からのプロゲステロンの分泌不全によって引き起こされる着床障害、または分泌期子宮内膜自体の異常によって引き起こされる着床障害と考えられる。
  1. 黄体機能不全は不妊症、反復流産、習慣性流産の原因として重要である。
  1. 頻度は、不妊患者においては10~50%、反復流産患者においては25~60%で認められている。
 
診断: >詳細情報 
  1. 診断には、現在使われている診断基準を用いる。①基礎体温の高温相が12日未満、②黄体期中期の血中プロゲステロン値が 10 ng/ml 未満、③子宮内膜日付診の異常――のうちいずれか1つでも該当する場合を黄体機能不全と診断する。アルゴリズム
 
原因評価:
  1. 黄体機能不全は単一の病因による疾患ではなく、多くの病態や病因が含まれていることに注意する。
  1. 多くの病態: 解説 
 
治療:アルゴリズム  >詳細情報 
  1. ポイント:
  1. 黄体機能不全が認められた場合、次の周期も連続して黄体機能不全になる頻度は、50~80%と高頻度で繰り返すため治療を行う。
  1. 黄体機能不全の原因を考え治療に臨むことが重要である。
  1. 遅延排卵症などの卵胞発育不全:
  1. 遅延排卵症などの卵胞発育不全が原因の黄…

評価・治療の進め方

※選定されている評価・治療は一例です。症状・病態に応じて適宜変更してください。

黄体機能不全の評価例
  1. 患者に基礎体温を測定・記録させる。
  1. プロゲステロンが視床下部の体温中枢に作用して体温の上昇を引き起こす作用を利用して、基礎体温の変化から黄体のプロゲステロン分泌の状況を推定しようとするものである。卵胞期より0.3度以上の上昇をもって高温相とする。高温相が12日未満の場合や、高温相の途中で一時期基礎体温が低下するパターンの場合は異常とみなす。
  1. 次に血中プロゲステロン濃度を評価する。黄体期中期(排卵後5~9日目の間)に2~3ポイントで血中プロゲステロン濃度を測定し、いずれも 10ng/ml 未満の場合は異常とみなす。
  1. 子宮内膜日付診の評価に関しては、黄体期中期に子宮内膜を採取し、Noyes により確立された基準に従って、内膜腺上皮と間質につき、組織学的に排卵後何日目の子宮内膜かを診断する。そして、実際の排卵からの日数との間に2日以上のずれがあれば異常(out of phase)とみなす。
○ 不妊症のスクリーニング検査を行う場合、黄体機能の評価として下記の検査を行う。

追加情報ページへのリンク

薬剤監修について:
オーダー内の薬剤用量は日本医科大学付属病院 薬剤部 部長 片山志郎 以下、林太祐、渡邉裕次、井ノ口岳洋、梅田将光による疑義照会のプロセスを実施、疑義照会の対象については著者の方による再確認を実施しております。
※薬剤中分類、用法、同効薬、診療報酬は、エルゼビアが独自に作成した薬剤情報であり、
著者により作成された情報ではありません。
尚、用法は添付文書より、同効薬は、薬剤師監修のもとで作成しております。
※薬剤情報の(適外/適内/⽤量内/⽤量外/㊜)等の表記は、エルゼビアジャパン編集部によって記載日時にレセプトチェックソフトなどで確認し作成しております。ただし、これらの記載は、実際の保険適用の査定において保険適用及び保険適用外と判断されることを保証するものではありません。また、検査薬、輸液、血液製剤、全身麻酔薬、抗癌剤等の薬剤は保険適用の記載の一部を割愛させていただいています。
(詳細はこちらを参照)

黄体機能不全の治療指針
病態からみた黄体機能不全
著者校正/監修レビュー済
2018/05/23

改訂のポイント
  1. 産婦人科診療ガイドライン 婦人科外来編.2017
に基づき確認を行った(変更点なし)。