上室頻拍 :トップ    
監修: 山下武志 心臓血管研究所付属病院
大塚崇之 財団法人心臓血管研究所付属病院

概要

疾患のポイント:
  1. 発作性上室頻拍とは、洞結節、心房組織と房室接合部(副伝導路など)に原因を有する頻脈性不整脈で、房室回帰性頻拍、房室結節回帰性頻拍および心房頻拍に大別される。
  1. 初発が20歳代から30歳代前半の場合と、中高年以降で発症する場合とがある。
  1. 発作性上室頻拍の約9割は、房室回帰性頻拍か房室結節回帰性頻拍である。
  1. 発作時の12誘導心電図で不整脈のおよその機序は推察可能だが、確定診断は心臓電気生理検査による。
  1. 顕性WPW症候群なら、非発作時の12誘導心電図で副伝導路の付着部位を推定できる。

診断: >詳細情報 
  1. 発作性上室性頻拍症(発作性上室頻拍)の診断は、発作出現時の12誘導心電図(多くの場合、心拍数150~200拍/分のnarrow QRS頻拍)を記録することで可能である。
  1. 上室性頻拍の約90%は房室回帰性頻拍または房室結節回帰性頻拍で、まれに心房頻拍(洞結節と房室接合部起源を含む。ただし心房細動と心房粗動は除く)を認める。顕性WPW症候群なら非発作時の12誘導心電図で診断と副伝導路付着部位の推察が可能である。
  1. 上室性頻拍の診断は、発作時の心電図記録が重要であり、発作時の心電図が記録困難な場合は携帯型心電計などを用いるとよい。
 
予後: >詳細情報 
  1. 予後は良好なことが多いが、心拍数が顕著に上昇する例では、一時的に血圧が低下して失神や眼前暗黒感を来すこともある。

緊急対応: >詳細情報 
  1. 頻拍が持続した状態で来院した場合は、まず頻拍の停止を試みる。
  1. 頻拍により著明な血圧低下や失神を伴い、薬物療法が無効であれば、DCショックや高頻度ペーシングを考慮する。
  1. 非侵襲的な方法:息こらえ、深呼吸、頚動脈洞マッサージなど。
  1. 薬物療法:ATP(アデホスなど、10~20mgを急速静注)やカルシウム拮抗薬(ベラパミル[ワソラン]5mgまたはジルチアゼム[ヘルベッサー]10mgを5分程度静注)を用いる(90%以上の症例で発作の停止が可能である)。

評価・治療の進め方

※選定されている評価・治療は一例です。症状・病態に応じて適宜変更してください。

発作の治療方法例
  1. 頻拍が持続した状態で来院した場合は、まず頻拍の停止を試みる。
  1. 非侵襲的な方法として、息こらえ、深呼吸、頚動脈洞マッサージなどで停止が可能なこともあるが、多くの症例では薬剤の投与が必要となる。
  1. 発作の停止にはATP(10~20mgを急速静注)やカルシウム拮抗薬(ベラパミル5mgまたはジルチアゼム10mgを5分程度で静注)を用いることで、90%以上の症例で停止が可能である。
  1. 頻拍により著明な血圧低下や失神を伴い、薬物療法が無効であれば、DCショックや高頻度ペーシングを考慮する。
○ 発作の停止には、1)2)3)のいずれかを用いることを考慮する。血行が不安定の場合、薬物治療抵抗例では4)または5)を考慮する。喘息合併例では1)は禁忌となるため、2)、3)を使用すること。1)使用時は、一時的に気分不快感が出現することを説明し、必ず急速静注を行うこと。

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薬剤監修について:
オーダー内の薬剤用量は日本医科大学付属病院 薬剤部 部長 片山志郎 以下、林太祐、渡邉裕次、井ノ口岳洋、梅田将光による疑義照会のプロセスを実施、疑義照会の対象については著者の方による再確認を実施しております。
※薬剤中分類、用法、同効薬、診療報酬は、エルゼビアが独自に作成した薬剤情報であり、
著者により作成された情報ではありません。
尚、用法は添付文書より、同効薬は、薬剤師監修のもとで作成しております。
※薬剤情報の(適外/適内/⽤量内/⽤量外/㊜)等の表記は、エルゼビアジャパン編集部によって記載日時にレセプトチェックソフトなどで確認し作成しております。ただし、これらの記載は、実際の保険適用の査定において保険適用及び保険適用外と判断されることを保証するものではありません。また、検査薬、輸液、血液製剤、全身麻酔薬、抗癌剤等の薬剤は保険適用の記載の一部を割愛させていただいています。
(詳細はこちらを参照)

上室性頻拍症が疑われる症例の初期評価
正方向性房室回帰性頻拍時の12誘導心電図
房室結節回帰性頻拍の12誘導心電図
著者校正/監修レビュー済
2018/06/21

改訂のポイント:
  1. 定期レビューを行った(変更なし)。