骨盤外傷 :トップ    
監修: 箕輪良行 みさと健和病院 救急総合診療研修顧問
伊澤祥光 済生会宇都宮病院 外科・救急科

概要

疾患のポイント:
  1. 骨盤外傷とは骨盤部に生じた外傷を指すが、骨盤骨折による大出血を来す状態から、軽微な外傷まで程度はさまざまである。
  1. また、骨盤は消化器系や泌尿生殖器系、整形外科系の外傷が混在する領域であり、多角的な診療が必要となることが多い。
  1. 骨盤骨折の程度や合併損傷により死亡率はさまざまである。 エビデンス  エビデンス 
  1. 初期診療は基本的に外傷初期診療ガイドラインJATECの診療方針に従って診療を進める(  メジャートラウマ  エビデンス )。
  1. 高エネルギー事故の場合や骨盤部への大きな外力が加わった場合に骨盤外傷を念頭に置く。腰部の痛みや体表上の創傷を確認する。
  1. 高齢者においては軽微な受傷機転でも骨盤外傷が認められることがあるので注意が必要である。 エビデンス 
 
診断: >詳細情報 
  1. 意識状態がありGCSで14~15点であれば、通常、身体所見で診断をする。  エビデンス  エビデンス 
  1. 循環動態が安定していれば、非造影骨盤部CTにより骨盤骨折の詳細な評価が可能であり、腹部の評価と血管外漏出像を確認するために腹部~骨盤も含めた造影CTを撮影する。 エビデンス 
 
治療: >詳細情報 
  1. 日本における外傷の初期診療JATECの診療に則って初期診療を進める( メジャートラウマ  エビデンス )。ショックの場合や大量出血が存在する場合は、各施設の大量輸血開始基準に則って輸血を開始する。
  1. 骨盤簡易固定具pelvic binder(シーツ、タオル、サムスリングなど)を装着する。 エビデンス <図表>
  1. 止血に関しては血管塞栓術(TAE)や後腹膜パッキング、創外固定などの治療があるが、自施設の対応可能な治療なども考慮に入れ、整形外科や放射線科の協力を得て治療を行う。 エビデンス <図表><図表>
  1. 尿道損傷が骨盤外傷として存在する可能性もあり、直聴診や会陰部・外尿道口の診察を行う。
  1. 尿道損傷に関しては、循環動態が安定であれば、CTを撮影してから逆行性尿道造影を行い、尿道損傷がないことを確認して尿道バルーンを挿入する。循環動態が不安定であれば、尿道バルーンの挿入を試み、スムーズに挿入できなければ恥骨上で膀胱瘻を作製し膀胱内をドレナージする。
  1. 骨盤外傷 初期診療 アルゴリズム:アルゴリズム
  1. 尿道損傷 初期診療 アルゴリズム:アルゴリズム

重症度・予後: >詳細情報 
  1. 外傷の場合、受傷早期に最も生体に影響を与えるのは出血である。止血治療を優先する。 エビデンス 
  1. 骨折形態のクラス分けとして、 Modified Tile AO Müller classification(<図表>)やYoung and Burgess Classification(<図表>)が一般的に用いられる。
 
原因疾患・合併疾患: >詳細情報 
  1. 重症の場合、他の合併損傷の有無の評価が重要である。特に、腹腔内出血、泌尿器損傷、直腸損傷等を評価する。

専門医相談のタイミング: >詳細情報 
  1. 全身状態が不安定な症例や重症症例はJATECのprimary surveyと蘇生処置を行いつつ、速やかに対応可能な医療機関に転送する( エビデンス )。自施設で治療可能な場合でも、整形外科や放射線科の併診やコンサルトを考慮する。

評価・治療の進め方

※選定されている評価・治療は一例です。症状・病態に応じて適宜変更してください。

初診時の対応と特に大事な検査
  1. 身体所見とともにバイタルサインを考慮に入れて全身状態を評価する。
  1. バイタルサインは1点で評価せず、2点以上の変化も含めて評価する。
  1. 低体温も重視する。
○ ショックまたは短時間でショックに陥ると認識したら、速やかに外傷蘇生にとりかかる。
1)
HR, BP, RR, SpO2, BT, GCS

初診時の対応と特に大事な検査
  1. 重症の場合、死の三徴(アシドーシス、低体温、凝固能異常)に関する項目にも注意を払う。
  1. 死の三徴が出そろう前に対処を行う。
○ 下記1)~4)を経時的に行い、早期に評価する。

初診時の対応と特に大事な検査
  1. 画像検査により骨盤骨折を同定する。
  1. 他部位の合併損傷も評価する。
○ 中等症~重症外傷ではスクリーニングとして1)2)を、必要があれば3)4)を行う。
1)
骨盤正面X線
2)
FAST
3)
骨盤造影・非造影CT
4)
体幹造影CT

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薬剤監修について:
オーダー内の薬剤用量は日本医科大学付属病院 薬剤部 部長 片山志郎 以下、林太祐、渡邉裕次、井ノ口岳洋、梅田将光による疑義照会のプロセスを実施、疑義照会の対象については著者の方による再確認を実施しております。
※薬剤中分類、用法、同効薬、診療報酬は、エルゼビアが独自に作成した薬剤情報であり、
著者により作成された情報ではありません。
尚、用法は添付文書より、同効薬は、薬剤師監修のもとで作成しております。
※薬剤情報の(適外/適内/⽤量内/⽤量外/㊜)等の表記は、エルゼビアジャパン編集部によって記載日時にレセプトチェックソフトなどで確認し作成しております。ただし、これらの記載は、実際の保険適用の査定において保険適用及び保険適用外と判断されることを保証するものではありません。また、検査薬、輸液、血液製剤、全身麻酔薬、抗癌剤等の薬剤は保険適用の記載の一部を割愛させていただいています。
(詳細はこちらを参照)

骨盤外傷 初期診療 アルゴリズム
尿道損傷 初期診療 アルゴリズム
Modified Tile AO Müller classification
Young and Burgess classification
骨盤簡易固定具(Pelvic binder)
骨盤後腹膜パッキング
骨盤創外固定
骨盤骨折
骨盤骨折に対する創外固定
著者校正/監修レビュー済
2018/02/28


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