化学熱傷 :トップ    
監修: 林寛之 福井大学医学部附属病院
大森啓子 杉田玄白記念公立小浜病院

概要

疾患のポイント:
  1. 化学熱傷とは酸・アルカリ・有機化合物などが皮膚に付着、接触して起こる損傷をいう。
  1. 原因物質によって作用機序は異なる。酸化・腐食・還元・脱水・発泡・変性に分類される。アルカリ損傷は組織を融解し深部へ到達するため、酸より損傷が強くなり、重症となりやすい。
  1. 熱傷の約1%を占め、女性より男性に多い。75%が工場での事故だが、近年家庭内での受傷が増えている[1]。<図表> <図表>
  1. 化学物質の作用機序:熱傷を引き起こす化学物質のJelenko分類:<図表>
 
診断: >詳細情報 
  1. 化学物質の曝露があり、皮膚粘膜の損傷や全身の中毒症状がある場合に診断する。
  1. 原因物質の種類、濃度、量、接触時間、作用機序を確認する。
  1. 化学熱傷診察のポイント:<図表>
 
治療: >詳細情報 
  1. 治療の基本原因物質の除去と洗浄である。中和剤がある物質があるが、まずは除去と洗浄が重要である。
  1. 通常の外傷や熱傷の初期対応と同様に、低水圧で大量の微温湯を用い除去、洗浄する。低体温に注意する。ただし、dry lime(水と反応し強アルカリとなる)、elemental metals(有害物質を発生)、フェノール(水に溶けない)、塩酸/高濃度の硫酸(熱を発生)などは、水での洗浄を注意する物質であるため、中和剤を用いることができる場合には先に用いる。
  1. フッ化水素酸は濃度が2%以下では12~24時間、20%以下では2~4時間、症状が出現しないため、曝露があれば症状がなくても迅速に洗浄を行う。重傷のフッ化水素酸熱傷では低Ca血症、低Mg血症によって致死性不整脈を来すため、Ca、Mgの検査結果を待たずに補充する。
  1. 酸・アルカリ熱傷の初診時のアルゴリズム:

評価・治療の進め方

※選定されている評価・治療は一例です。症状・病態に応じて適宜変更してください。

化学熱傷全般の初診時の対応例
  1. 原因物質の種類、濃度、量、接触時間、作用機序を確認する。
  1. 全身の中毒症状を評価しながら、原因物質の除去と洗浄を行う。
○ 化学熱傷の場合、バイタルサインをチェックし、全身の中毒症状の評価を行いながら速やかに原因物質の除去と洗浄を行う。

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薬剤監修について:
オーダー内の薬剤用量は日本医科大学付属病院 薬剤部 部長 片山志郎 以下、林太祐、渡邉裕次、井ノ口岳洋、梅田将光による疑義照会のプロセスを実施、疑義照会の対象については著者の方による再確認を実施しております。
※薬剤中分類、用法、同効薬、診療報酬は、エルゼビアが独自に作成した薬剤情報であり、
著者により作成された情報ではありません。
尚、用法は添付文書より、同効薬は、薬剤師監修のもとで作成しております。
※薬剤情報の(適外/適内/⽤量内/⽤量外/㊜)等の表記は、エルゼビアジャパン編集部によって記載日時にレセプトチェックソフトなどで確認し作成しております。ただし、これらの記載は、実際の保険適用の査定において保険適用及び保険適用外と判断されることを保証するものではありません。また、検査薬、輸液、血液製剤、全身麻酔薬、抗癌剤等の薬剤は保険適用の記載の一部を割愛させていただいています。
(詳細はこちらを参照)

酸・アルカリ熱傷の初診時のアルゴリズム
化学熱傷治療のアルゴリズム
フッ化水素酸による化学熱傷治療のアルゴリズム
化学物質の作用機序:熱傷を引き起こす化学物質のJelenko分類
化学熱傷診察のポイント
眼のアルカリ熱傷
塩酸による化学熱傷
著者校正/監修レビュー済
2016/11/30


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