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著者: 狩野謙一 京都大学大学院医学研究科 社会健康医学系専攻 薬剤疫学分野

監修: 志賀隆 国際医療福祉大学 医学部救急医学/国際医療福祉大学成田病院 救急科

著者校正/監修レビュー済:2022/05/25
患者向け説明資料

改訂のポイント:
  1. 熱傷診療ガイドラインに化学熱傷の項目(CQ8特殊熱傷)に盛り込まれている。そこでは初期治療として物理的除去が重要であること、フッ化水素酸による化学熱傷に対するグルコン酸カルシウム投与による中和について言及されている。

概要・推奨   

  1. 化学熱傷とは、酸・アルカリ・有機化合物などが皮膚に付着、接触して起こる損傷をいう。
  1. 治療の基本は原因物質の除去と洗浄である(推奨度1)
  1. 水での洗浄を注意する物質がある:dry lime(水と反応し強アルカリとなる)、elemental metals(有害物質を発生)、フェノール(水に溶けない)、塩酸/高濃度の硫酸(熱を発生)など(推奨度1)
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病態・疫学・診察 

疾患情報(疫学・病態)  
  1. 化学熱傷とは、酸・アルカリ・有機化合物などが皮膚に付着、接触して起こる損傷をいう[1]
  1. 熱傷の約1%を占め、女性より男性に多い。75%が工場での事故だが、近年家庭内での受傷が増えている[2]
 
化学熱傷の受傷場所

家庭内・工場内の受傷が約75%を占める。

出典

Burns, Volume 38, Issue 3, May 2012, Pages 383–387, Fig. 2.
 
化学熱傷の原因物質

55%がアルカリ熱傷であり、そのうち26%がセメントによるものである。

出典

Burns, Volume 38, Issue 3, May 2012, Pages 383–387, Fig. 3.
 
  1. 原因物質によって作用機序は異なる。酸化・腐食・還元・脱水・発泡・変性に分類される[3][4][5][6][7]
 
化学物質の作用機序:熱傷を引き起こす化学物質のJelenko分類

作用機序によって6つに分類される。

出典

Jelenko C 3rd.
Chemicals that "burn".
J Trauma. 1974 Jan;14(1):65-72.
Abstract/Text
PMID 4809719
Harchelroad, F, Rottinghaus, D: Chemical Burns Emergency Medicine Reports 2008; 29:249 を改変 
 
  1. 治療の基本は原因物質の除去と洗浄である[1][3][4][5][6][7][8]
問診・診察のポイント  
  1. 原因物質の種類、濃度、量、接触時間、作用機序を確認する[1][3][4][5][6][7]
  1. 日本中毒情報センターの情報を利用する[9]
  1. 局所のみならず、全身的中毒とその影響にも留意する。

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著者のCOI(Conflicts of Interest)開示:
狩野謙一 : 特に申告事項無し[2024年]
監修:志賀隆 : 未申告[2024年]

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化学熱傷

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