シアン・硫化水素中毒 :トップ    
監修: 林寛之 福井大学医学部附属病院
加藤之紀 JA広島総合病院 救急・集中治療科

概要

疾患のポイント:
  1. シアン中毒、硫化水素中毒は原因不明の意識障害、代謝性アシドーシスを来した際に想起すべき中毒疾患である。
  1. シアン中毒は、アーモンド臭の無色の気体で、シアン化合物の内服、皮膚への接触のほか、物質の燃焼による吸入でも発生する。
  1. 硫化水素中毒は、無色で腐った卵のような匂いがすることが特徴の硫化水素の吸入で起こり、“ノックダウン”ともいわれる突然の意識消失などの神経症状を来すことが多い。汚水処理などの産業現場での報告もあるが、近年は自殺企図の手段として使用されるようになった。
 
診断: >詳細情報 
  1. シアン中毒の診断は、曝露を疑う病歴を伴うことに加え、血清乳酸の上昇とアニオンギャップ上昇性代謝性アシドーシス、静脈血酸素飽和度の上昇から推定することができる。血清乳酸>72mg/dl(8mmol/l)は、血中シアン濃度>1.0mg/lに対して感度94%、特異度70%で診断できる。静脈血が鮮やかな赤色を呈する、またはSvO2>90%は診断を示唆する所見である。口腔からのアーモンド臭が有名だが、全体の60%程度でしか確認できない。 エビデンス 
  1. 硫化水素中毒の診断はシアン中毒と同様であり血液ガス、血清乳酸値が重要となる。合併症としては、中枢神経障害、虚血を含めた心筋障害が多い。
 
重症度・予後: >詳細情報 
  1. シアン中毒、硫化水素中毒において、意識障害や呼吸障害、心筋障害を認める際には重症と判断する
 
治療: >詳細情報 
  1. ガスの吸入が疑われたら、まず脱衣、換気し100%酸素を投与する。
  1. シアン中毒の解毒薬としては、ヒドロキソコバラミン、チオ硫酸ナトリウム、亜硝酸製剤があり、積極的に投与する。 エビデンス   エビデンス 
  1. 硫化水…

評価・治療の進め方

※選定されている評価・治療は一例です。症状・病態に応じて適宜変更してください。

初診時の対応と特に大事な検査例
  1. 脱衣や換気などを行い二次災害を防ぐ
  1. 血液ガス、乳酸値で診断を行う。
  1. 心筋障害などの合併症を並行して評価する。
  1. 解毒薬である酸素投与を至急開始する。
○ ガス中毒を疑う病歴(汚水処理、火事場からの救出、有毒ガスによる自殺企図)の場合、下記検査を行う。

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薬剤監修について:
オーダー内の薬剤用量は日本医科大学付属病院 薬剤部 部長 片山志郎 以下、林太祐、渡邉裕次、井ノ口岳洋、梅田将光による疑義照会のプロセスを実施、疑義照会の対象については著者の方による再確認を実施しております。
※薬剤中分類、用法、同効薬、診療報酬は、エルゼビアが独自に作成した薬剤情報であり、
著者により作成された情報ではありません。
尚、用法は添付文書より、同効薬は、薬剤師監修のもとで作成しております。
※薬剤情報の(適外/適内/⽤量内/⽤量外/㊜)等の表記は、エルゼビアジャパン編集部によって記載日時にレセプトチェックソフトなどで確認し作成しております。ただし、これらの記載は、実際の保険適用の査定において保険適用及び保険適用外と判断されることを保証するものではありません。また、検査薬、輸液、血液製剤、全身麻酔薬、抗癌剤等の薬剤は保険適用の記載の一部を割愛させていただいています。
(詳細はこちらを参照)

シアン中毒のアルゴリズム
硫化水素中毒のアルゴリズム
シアン化合物の前駆体を含む食物
シアン中毒の原因
シアン中毒、硫化水素中毒の生理学的機序
著者校正/監修レビュー済
2017/01/26


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