肺動脈性肺高血圧症 :トップ    
監修: 長瀬隆英 東京大学 内科学専攻器官病態内科学講座
塩谷隆信 秋田大学名誉教授、介護老人保健施設 ニコニコ苑

概要

疾患のポイント:
  1. 肺高血圧症とは、血行動態的な診断基準により安静時右心カテーテル検査で得られた「平均動脈圧25mmHg以上」と定義される状態である。
  1. 2008年のダナポイント分類では、肺高血圧症を5つの群、すなわち第1群:肺動脈性肺高血圧症(pulmonary arterial hypertension: PAH)、第2群:左心性心疾患に伴う肺高血圧症、第3群:肺疾患および/または低酸素血症に伴う肺高血圧症、第4群:慢性血栓塞栓性肺高血圧症(chronic thromboembolic pulmonary hypertension: CTEPH)、第5群:詳細不明な多因子のメカニズムに伴う肺高血圧症に分類した。この基本構造は、再改訂版肺高血圧症臨床分類(ニース分類[2013年])でも維持されている。<図表>
  1. 肺動脈性肺高血圧症の診断は、膠原病などの各種疾患に伴う肺高血圧症、心疾患に伴う肺高血圧症、肺疾患に伴う肺高血圧症、慢性血栓性肺高血圧症などの除外診断により行われる。
  1. 疫学的には、人口100万人に1~2人が発症する非常にまれな疾患で、30~50歳に多く、女性に多いことが特徴である。
  1. 肺動脈性肺高血圧症は、指定難病であり、その一部(新規申請時はStage3以上、更新時はStage3以上またはNYHAⅡ度以上または肺血管拡張薬を使用している場合)などでは、申請し認定されると保険料の自己負担分の一部が公費負担として助成される。([平成27年1月施行])
  1.  難病法に基づく医療費助成制度 
 
診断: >詳細情報 
  1. ポイント:
  1. 労作時息切れ、易疲労感、失神、浮腫などを主訴とし、視診で顔面や下腿の浮腫、頚静脈怒張、触診で、肝うっ血による肝腫大や腹水などの右心不全が認められる場合に肺高血圧症を想起し、原因となる合併症が存在しない場合に肺動脈性肺高血圧症の診断に至る。
  1. 肺高血圧症の評価:
  1. 肺高血圧症の血行動態的な診断規準は、安静時右心カテーテル検査で得られた「平均動脈圧25mmHg以上」である。
  1. 具体的には…

評価・治療の進め方

※選定されている評価・治療は一例です。症状・病態に応じて適宜変更してください。

診断のための検査例
  1. ポイント:
  1. 2008年のダナポイント分類では、肺高血圧症を5つの群、すなわち第1群:肺動脈性肺高血圧症(pulmonary arterial hypertension: PAH)、第2群:左心性心疾患に伴う肺高血圧症、第3群:肺疾患および/または低酸素血症に伴う肺高血圧症、第4群:慢性血栓塞栓性肺高血圧症(chronic thromboembolic pulmonary hypertension: CTEPH)、第5群:詳細不明な多因子のメカニズムに伴う肺高血圧症に分類した。
  1. 診察所見から肺高血圧症を疑い、アルゴリズムに沿って、次に胸部X線、心電図、心エコー法、右心カテーテル検査から肺高血圧症を診断する。
  1. 肺高血圧症の診断アプローチ:アルゴリズム
  1. 胸部X線:
  1. 胸部X線上では、肺動脈主幹部が拡張することによる左第2弓の突出、右室拡大による左第4弓の突出がみられる。
  1. 心電図:
  1. 肺高血圧症は、右室の肥大/拡大を来すため、心電図では右室肥大所見を認める。
  1. 心臓超音波検査:
  1. 診察所見や上記の検査所見から肺高血圧症が疑われた場合には、まず、心臓超音波検査(心エコー法)を行う。断層心エコー法では、右室肥大、拡大、心室中隔の扁平化に伴う左室狭小化が認められる(<図表>)TRの血流速度から簡易Bernoulli式により算出した圧較差に平均右房圧を加えることで、右室収縮圧が推定される。<図表>
  1. 右心カテーテル検査:
  1. しかし、心エコー法により推定した肺動脈圧には誤差もあることから、確定診断にはSwan-Ganzカテーテルを用いた右心カテーテル検査が必須である。
○ 肺高血圧症を疑ったら、1)2)を行い、必要に応じて3)4)を追加する。

追加情報ページへのリンク

  • 肺動脈性肺高血圧症に関する詳細情報
  • 肺動脈性肺高血圧症に関する評価・治療例(詳細) (1件)
  • 肺動脈性肺高血圧症に関するエビデンス・解説 (5件)
  • 肺動脈性肺高血圧症に関する画像 (6件)
薬剤監修について:
オーダー内の薬剤用量は日本医科大学付属病院 薬剤部 部長 片山志郎 以下、林太祐、渡邉裕次、井ノ口岳洋、梅田将光による疑義照会のプロセスを実施、疑義照会の対象については著者の方による再確認を実施しております。
※薬剤中分類、用法、同効薬、診療報酬は、エルゼビアが独自に作成した薬剤情報であり、
著者により作成された情報ではありません。
尚、用法は添付文書より、同効薬は、薬剤師監修のもとで作成しております。
※薬剤情報の(適外/適内/⽤量内/⽤量外/㊜)等の表記は、エルゼビアジャパン編集部によって記載日時にレセプトチェックソフトなどで確認し作成しております。ただし、これらの記載は、実際の保険適用の査定において保険適用及び保険適用外と判断されることを保証するものではありません。また、検査薬、輸液、血液製剤、全身麻酔薬、抗癌剤等の薬剤は保険適用の記載の一部を割愛させていただいています。
(詳細はこちらを参照)

肺高血圧症の診断手順
IPAH/HPAHの治療指針図
IPAH/HPAHにおける肺血管拡張薬(重症度別)に関する推奨とエビデンスレベル(過去の報告のまとめ)
著者校正/監修レビュー済
2018/08/10

改訂のポイント:
  1. 日本循環器学会他編:肺高血圧症治療ガイドライン(2017年改訂版)
に基づき改訂を行った。