肺炎(小児科) :トップ 監修:五十嵐隆 国立成育医療研究センター
黒崎知道 くろさきこどもクリニック

概要

疾患のポイント:
  1. 肺炎とは、病原微生物に感染することにより、肺の実質に急性炎症を生じた状態である。細菌性肺炎(定型肺炎)、非定型肺炎、その他、ウイルス性、肺真菌症などに分類され、咳嗽や喀痰、発熱などを呈し、重症では呼吸不全、ショックに至ることもある。
  1. 市中感染例(community-acquired pneumonia、CAP)と主に基礎疾患がある院内発症肺炎(hospital-acquired pneumonia)があるが、本稿ではCAPを中心に概説する。
  1. 年齢によって原因微生物が異なる。<図表>
  1. 新生児期:B群溶連菌や大腸菌などのグラム陰性桿菌が多い。
  1. 新生児期以降~5歳:ライノウイルス、RSウイルスなどのウイルスによるものが多い。インフルエンザ菌、肺炎球菌など、一般細菌によるものはこの年齢層に多い。4~5カ月くらいの乳幼児で無熱~微熱、激しい咳、多呼吸を呈する場合はChlamydia trachomatis肺炎を考慮する。
  1. 6歳以上:Mycoplasma pneumoniaeC. pneumoniaeなどの非定型菌による肺炎が多くなる。
  1. 筆者の研究では、年齢別に原因微生物の占める割合は、以下のとおりである。
  1. 3歳以下:ウイルス性>細菌性≫マイコプラズマ性
  1. 4~6歳:細菌性>ウイルス性≧マイコプラズマ性
  1. 7歳以上:マイコプラズマ性≫ウイルス性≒細菌性

診断: >詳細情報  アルゴリズム
  1. 発熱、鼻汁、咳嗽などの呼吸器症状を伴い、胸部X線像などの画像検査で肺に急性に新たな浸潤影が認められた場合、肺炎と診断する。
  1. 呼気時に撮影されたX線での陰影増強は、肺炎と即断しないで、吸気時でのX線像の再検を考慮する。
 
重症度・予後評価: >詳細情報 
  1. 小児呼吸器感染症診療ガイドライン2011の重症度分類(<図表>)を参考に、外来管理・入院管理などの判断を行う。

治療: …

評価・治療の進め方

※選定されている評価・治療は一例です。症状・病態に応じて適宜変更してください。

初期治療例
  1. 入院を要する肺炎といっても必ずしも全例に抗菌薬投与は必要ではない
  1. 白血球増多がなく、CRP 3.0mg/dl以下の患者で、基礎疾患がなく全身状態が比較的良好で、経過とともに湿性咳嗽の増加がなければ、注意深い観察の下で、抗菌薬療法は待ってもよい。
  1. 細菌性肺炎が疑われる症例には、年齢を考慮してアンピシリン(静注)を中心とするβ-ラクタム薬かマクロライド系抗菌薬(またはテトラサイクリン系抗菌薬)内服を考慮する。
○ 細菌性肺炎が疑われ、入院を要する例には、1)のうちいずれかを選択し、年長児例で肺炎マイコプラズマ性肺炎も考えられる場合には、2)のうちの単剤か、1)2)のうちの各1剤を併用する。

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薬剤監修について:
オーダー内の薬剤用量は日本医科大学付属病院 薬剤部 部長 片山志郎 以下、林太祐、渡邉裕次、井ノ口岳洋、梅田将光による疑義照会のプロセスを実施、疑義照会の対象については著者の方による再確認を実施しております。
※薬剤中分類、用法、同効薬、診療報酬は、エルゼビアが独自に作成した薬剤情報であり、
著者により作成された情報ではありません。
尚、用法は添付文書より、同効薬は、薬剤師監修のもとで作成しております。
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(詳細はこちらを参照)

細菌性、ウイルス性、マイコプラズマ性の大まかな鑑別と初期治療
原因微生物の年齢分布
病態からみた肺炎の発症と臨床症状・治療
小児肺炎の原因微生物と年齢別罹患数と罹患割合
多呼吸と細菌性肺炎の診断率
抗菌薬前投与のない小児肺炎と入院時炎症反応
小児市中肺炎━身体所見・検査所見による重症度判定━
肺炎球菌薬剤感受性の改定
原因菌の感受性結果からみた抗菌薬の選択(私案):気管支肺感染症(特に肺炎)の経静脈抗菌薬療法
マクロライド系抗菌薬の初期治療が無効な場合の抗菌薬変更例
著者校正/監修レビュー済
2015/03/30


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