今日の臨床サポート 今日の臨床サポート

改訂のポイント:
  1. 定期レビューを行い、ガイドラインと文献の入れ替えを行った。

概要・推奨   

  1. 院内肺炎(hospital-acquired pneumonia、HAP)においては、耐性菌を考慮に治療を決定することが推奨される(推奨度2)
  1. HAPのワークアップにおいては血液培養2セットを採取することが推奨される(推奨度2)
  1. HAPを疑った際には良質の喀痰採取に努め、そのときにはグラム染色と培養検査を行うことが推奨される(推奨度2)
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病態・疫学・診察 

疾患情報  
  1. 院内肺炎(hospital-acquired pneumonia、HAP)は、入院48時間以降に新たに出現した肺炎を指す。そのうち人工呼吸器が装着されて48時間以後に出現したものを人工呼吸器関連肺炎(ventilator-associated pneumonia、VAP)と呼ぶ。米国などでは入院の閾値が高く、患者はより重症であることが多く、HAPにVAPも多く含まれる。一方日本では療養病床等で発生した肺炎もHAPに含まれ、比較的軽症患者が多いため、HAPに占めるVAPの割合は少ない。院内肺炎の議論をしたりデータを検討したりする場合は、国ごとの医療事情の違いを考慮しなければならない。各国・地域、各医療機関によって原因菌や感受性パターンが異なるため、一律の治療戦略が立てづらいことにも留意する。ここではVAPを除くHAPに限定して議論する。
  1. HAPの診断は困難であり、一意的な診断基準は存在しない。急性発症の発熱、呼吸状態の悪化、咳嗽の増加、喀痰の増加、胸部聴診上のラ音、画像での浸潤影などを総合的に評価して診断する。鑑別疾患は心不全、肺塞栓症、肺胞出血など多岐にわたる。
  1. VAPと異なり、非VAPのHAPでは下気道の検体採取が困難で、グラム染色や培養検査が行いにくい。良質の喀痰が採取された場合はグラム染色の感度は良い(ただし菌がみえないときに除外できるほど感度は高くない)。
  1. 血液培養の陽性率は低いが、陽性時の原因菌同定やデエスカレーションおよび治療期間の決定の一助となるため推奨される。その際は2セット採取する。
  1. 感度・特異度は限定されているが、CRPやプロカルシトニン(PCT)のようなバイオマーカーを補助的に用いてもよい。
  1. 必要に応じて胸部CTや動脈血ガス分析などを用いる。
問診・診察のポイント  
  1. 院内の発熱患者では必ず鑑別に入れ、HAPのワークアップを行う。院内の発熱患者で感染症が原因の場合、尿路感染、カテーテル関連血流感染、創部感染(術後の場合)、肺炎が高い頻度でみられる。

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薬剤監修について:
オーダー内の薬剤用量は日本医科大学付属病院 薬剤部 部長 伊勢雄也 以下、渡邉裕次、井ノ口岳洋、梅田将光および日本医科大学多摩永山病院 副薬剤部長 林太祐による疑義照会のプロセスを実施、疑義照会の対象については著者の方による再確認を実施しております。
※薬剤中分類、用法、同効薬、診療報酬は、エルゼビアが独自に作成した薬剤情報であり、 著者により作成された情報ではありません。
尚、用法は添付文書より、同効薬は、薬剤師監修のもとで作成しております。
※同効薬・小児・妊娠および授乳中の注意事項等は、海外の情報も掲載しており、日本の医療事情に適応しない場合があります。
※薬剤情報の(適外/適内/⽤量内/⽤量外/㊜)等の表記は、エルゼビアジャパン編集部によって記載日時にレセプトチェックソフトなどで確認し作成しております。ただし、これらの記載は、実際の保険適応の査定において保険適応及び保険適応外と判断されることを保証するものではありません。また、検査薬、輸液、血液製剤、全身麻酔薬、抗癌剤等の薬剤は保険適応の記載の一部を割愛させていただいています。
(詳細はこちらを参照)
著者のCOI(Conflicts of Interest)開示:
上原由紀 : 研究費・助成金など(花王(株))[2024年]
監修:上原由紀 : 研究費・助成金など(花王(株))[2024年]

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院内肺炎

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