がんの緩和ケア(在宅医療) :トップ    
監修: 和田忠志 いらはら診療所 在宅医療部
鈴木央 鈴木内科医院

概要

  1. 人生の最終段階における医療の決定プロセスに関するガイドライン
の発表に伴い、現在アップデート中
 
がんの緩和ケア(在宅医療):
  1. がんの緩和ケアは、疼痛をはじめとした、さまざまな身体症状、精神症状、社会的な問題、実存的な問題をすべてに対処する全人的なアプローチである。
  1. 在宅で行う緩和ケアは、症状緩和を中心とした緩和医療と、終末期に生じるさまざまな問題を対象としたホスピスケアの2つの中心がある。
 
緩和医療:
  1. 在宅緩和ケアの多くの場合は、身体機能が低下し通院不可能となった時点で導入されることが多い。がんの場合は、予後が限られている場合も多いので、さまざまな支援を速やかに行っていく必要がある。
  1. 疼痛はWHO方式を用いて緩和する。
 
疼痛のケア: >詳細情報 
  1. 疼痛医療の基本は在宅も通院医療も変わらない。下記のWHO方式を用いて緩和する。
  1. できるだけ経口薬を選択する(by the mouth)(ただし、病状が進行すると経口投与が困難となることも少なくないため、貼付薬、坐薬、持続皮下注射などの経口以外の投与経路も考えておく必要がある)。
  1. 痛みが起きる前に定期的に使用する(by the clock)。
  1. 強い痛みには強い鎮痛薬を使用し、弱い痛みには弱い鎮痛薬を使用する(by the ladder)。
  1. WHO3段階除痛ラダー:<図表>
  1. それぞれの患者ごとに投与量を調整する(for the individual)。
  1. 副作用対策、レスキューの設定、鎮痛補助薬の投与などの細かい設定を行う(with attention to detail)。
 
オピオイド開始用量と用量調節、副作用のコントロール: >詳細情報 
  1. モルヒネ(モルヒネ塩酸塩錠、ビーガードなど)の場合、20~30mg/日を目安とする。オキシコドン(オキシコンチンなど)の場合、10~20mg/日を目安とする。フェンタニルパッチ(デュロテップ、フェントス、ワンデュロなど)を使用する場合は、モルヒネ、オキシコドンで用量設定(タイトレーション)を行ってからフェンタニルパッチに変更する。

評価・治療の進め方

※選定されている評価・治療は一例です。症状・病態に応じて適宜変更してください。

オピオイド開始時の処方例
ポイント:
  1. 痛みに対して使用される「医療用麻薬」は耽溺症にならないこと、耐性を獲得することがないことを患者に必ず説明する。
  1. 開始用量はモルヒネ(モルヒネ塩酸塩錠、ビーガードなど)の場合、20~30mg/日を目安とする。オキシコドン(オキシコンチンなど)の場合、10~20mg/日を目安とする。
  1. フェンタニルパッチ(デュロテップ、フェントス、ワンデュロなど)を使用する場合は、モルヒネ、オキシコドンで用量設定(タイトレーション)を行ってからフェンタニルパッチに変更する。
  1. 初期には痛みがあれば50%を目安に増量する。
 
突発痛に対するレスキュー指示:
  1. 突発痛(breakthrough pain)に対してのレスキュー指示を必ず行う。
  1. 経口薬:1回の投与量は1日投薬量の1/8~1/4、1/6が目安といわれている。同じオピオイドを使用することが基本である。
  1. 剤形:速放性製剤を使用する:モルヒネ塩酸塩(オプソなど)、オキシコドン(オキノーム)など。
 
用量が同等の鎮痛効果:
  1. タイトレーション後は、鎮痛薬としての作用は、下記の用量が同等の鎮痛効果と考えられており、適宜変更をする。
  1. オキシコンチン40mg/日
  1. ≒経口モルヒネ60mg/日(パシーフはやや効力が落ちる:80%)
  1. ≒モルヒネ坐薬40mg/日
  1. ≒デュロテップMTパッチ4.2mg
  1. ≒フェントステープ2mg
  1. ≒ワンデュロパッチ1.7mg
  1. ≒モルヒネ持続注射(皮下注でも静注でも)30mg/日 
  1. ≒オキファスト持続注射24mg/日
 
副作用対策:
  1. モルヒネ、オキシコドンを用いる際には必ず便秘対策、嘔気対策を併用する。
 ○ 疼痛の軽度なときにはNSAIDs+アセトアミノフェンとして、1)+2)と3)の併用を行う。オピオイドとしては、まず用量を調節する目的で、4)~6)のいずれかにて治療を開始し、レスキュー薬として7)から10)を用意する。用量調節後は11)~13)のいずれかに適宜変更を検討する。オピオイド投与時は、副作用対策として14)~16)の併用を通常行う。

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薬剤監修について:
オーダー内の薬剤用量は日本医科大学付属病院 薬剤部 部長 片山志郎 以下、林太祐、渡邉裕次、井ノ口岳洋、梅田将光による疑義照会のプロセスを実施、疑義照会の対象については著者の方による再確認を実施しております。
※薬剤中分類、用法、同効薬、診療報酬は、エルゼビアが独自に作成した薬剤情報であり、
著者により作成された情報ではありません。
尚、用法は添付文書より、同効薬は、薬剤師監修のもとで作成しております。
※薬剤情報の(適外/適内/⽤量内/⽤量外/㊜)等の表記は、エルゼビアジャパン編集部によって記載日時にレセプトチェックソフトなどで確認し作成しております。ただし、これらの記載は、実際の保険適用の査定において保険適用及び保険適用外と判断されることを保証するものではありません。また、検査薬、輸液、血液製剤、全身麻酔薬、抗癌剤等の薬剤は保険適用の記載の一部を割愛させていただいています。
(詳細はこちらを参照)

フェンタニルレスキュー薬のタイトレーション
WHO3段階除痛ラダー
在宅緩和ケアが開始されるとき
在宅看取りを可能にする要素とその影響力
Palliative Performance Scale(PPS)
Karnofsky Performance Status Scale
Palliative Prognostic Score (PPS)
Palliative Prognostic Index (PPI)
モルヒネ血中濃度と効果発現
ネットワークの重要性
著者校正/監修レビュー済
2017/04/27


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