Wallenberg症候群 :トップ    
監修: 内山真一郎 国際医療福祉大学臨床医学研究センター
青木志郎 細見直永 広島大学病院 脳神経内科

概要

ポイント:
  1. Wallenberg症候群とは、頭蓋内椎骨動脈、特に後下小脳動脈の閉塞によって生じる延髄外側部の障害である。①三叉神経脊髄路核の障害(同側の顔面の温痛覚障害)、②脊髄視床路(対側の頚部以下の半身の温痛覚障害)、③下小脳脚の障害(同側の小脳性失調)、④延髄網様体の障害(同側のホルネル症候群)、⑤前庭神経核の障害(めまい、眼振)、⑥疑核の障害(軟口蓋、咽頭、喉頭の麻痺による嚥下障害)、吃逆、複視などの症状を来す。
  1. 病因は動脈硬化性の機序の脳梗塞が多くを占めるが椎骨動脈解離が原因の30~40%という報告もあり、平均発症年齢が50歳前後と若年者の脳梗塞の症候として非常に重要である。
  1. 重度の嚥下障害を呈する例が多く、急性期から嚥下障害に対する適切な対応が必要である。
 
診断:
  1. 急性発症の片側の顔面の温痛覚障害、小脳失調、ホルネル症候群、対側の頚部以下の温痛覚障害、嚥下障害、めまいなどを来した場合は、Wallenberg症候群を強く疑う。 
  1. ただし、必ずしもすべての症候が同時に出現するとは限らないことには留意する必要がある。
  1. 典型的な症状以外にも、吃逆、複視、嗄声などを呈する症例があり、詳細な神経学的評価が重要である。
  1. 錐体路症状を伴わないこともWallenberg症候群を疑う根拠となる。 
  1. 原因として椎骨動脈、あるいはその枝である後下小脳動脈の閉塞による延髄外側の梗塞であることが多いため、すぐに頭部MRI(特に拡散協調画像)、MRA、CTAにより急性期脳梗塞の有無と血管の評価を行うことが重要である。 
  1. 高血圧患者に発症することが多いため既往歴の確認を行うとともに、動脈解離が原因であれば基礎疾患を有しない若年者でも発症する可能性があるため、頚部の外傷歴や捻転、後頚部痛の有無についてできるだけ詳細な問診をとることが診断の一助になり得る。 
 
予後:
  1. Wallenberg症候群の予後は、原因となった疾患、病巣の拡がりや大きさ、発症年齢などによって非常に個人差が大きい。 

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著者校正/監修レビュー済
2017/03/31