ヘパリン起因性血小板減少症 :トップ    
監修: 木崎昌弘 埼玉医科大学総合医療センター
朝倉英策 金沢大学附属病院 高密度無菌治療部

概要

  1. ポイント:
  1. ヘパリン起因性血小板減少症(heparin-induced thrombocytopenia、HIT)とは、ヘパリン投与によって血小板第4因子(PF4)とヘパリンの複合体に対する抗体(HIT抗体)が産生され、血小板減少とともに血栓塞栓症を引き起こす疾患である。典型例では、ヘパリン投与開始後5~10日して発症する。
  1. ヘパリン治療を受け、血小板数が前値より50%以上低下した場合、100,000/μL以下になった場合に疑う。
  1. 頻度:
  1. わが国において実施された心臓血管外科手術患者、整形外科(人工股関節、膝関節置換術)手術患者、脳卒中患者における前向き観察研究では、ヘパリン起因性血小板減少症の発症頻度は0.01~1%程度と推定されている。
  1. 未分画ヘパリンは低分子ヘパリンに比し10倍HITの発症頻度が高いことが知られている。
  1. 分類:
  1. ヘパリンによる軽度の血小板凝集作用の結果として血小板減少が引き起こされるType I型と、一過性に出現するヘパリン依存性自己抗体(HIT抗体)が血小板を活性化するために血小板減少を引き起されるType II型に分類され、主にType II型が臨床的に問題となる。
  1. Type I型 HIT はヘパリン開始後 1~2日後に軽度の血小板減少が生じるが、臨床症状や血栓の合併症はなく、自然に血小板数は回復する。ヘパリンを中止する必要はない。一方、ヘパリンの副作用で重篤な合併症を引き起こすのは Type II型である。
  1. Type II型HITは、ヘパリンと血小板第4因子の複合体に対する抗体(HIT抗体)が産生される状態である。
  1. 診断:
  1. 典型的には、ヘパリン治療開始後の5~10日に起き、以下の3つの基準を満たすことで臨床的診断となる。その後、ヘパリン-PF4複合体に対する抗体(ヘパリン依存性抗体陽性;HIT抗体)、ヘパリン惹起血小板凝集反応、セロトニン放出試験などを評価し、それらが陽性となることで確定診断となる。ただし、HIT抗体が陽性であってもHITを発症する患者はその一部であるため、臨床症状と併せて評価することが重要である。

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リファレンス

img  1:  Warkentin TE, et al.: Heparin-Induced Thrombocytopenia 4th ed.: 531, 2007
薬剤監修について:
オーダー内の薬剤用量は日本医科大学付属病院 薬剤部 部長 片山志郎 以下、林太祐、渡邉裕次、井ノ口岳洋、梅田将光による疑義照会のプロセスを実施、疑義照会の対象については著者の方による再確認を実施しております。
※薬剤中分類、用法、同効薬、診療報酬は、エルゼビアが独自に作成した薬剤情報であり、
著者により作成された情報ではありません。
尚、用法は添付文書より、同効薬は、薬剤師監修のもとで作成しております。
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著者校正/監修レビュー済
2017/10/31