今日の臨床サポート 今日の臨床サポート

著者: 富永和作 大阪暁明館病院 消化器内科

監修: 上村直実 国立健康危機管理研究機構(JIHS)国立国府台医療センター/東京医科大学消化器内視鏡センター

著者校正/監修レビュー済:2024/08/07
参考ガイドライン:
  1. 機能性消化管疾患診療ガイドライン、RomeⅣ診断基準
  1. 日本消化器病学会:機能性消化管疾患診療ガイドライン2021-機能性ディスペプシア(FD)
  1. Stanghellini V, Chan FK, Hasler WL, et al.:Gastroduodenal Disorders. Gastroenterology. 2016 May;150(6):1380-92.
  1. 荒川哲男 監修、富永和作 編集:機能性ディスペプシア-日本人に適した診療を求めて. フジメディカル出版
  1. Tominaga K. and Kusunoki H.:Functional Dyspepsia. editors, Springer, 2018.
患者向け説明資料

改訂のポイント:
  1. 定期レビューを行い、以下について加筆・修正した。
  1. Rome IV診断基準の中で、食事関連ディスペプシアと非関連ディスペプシアとの概念が提唱されていることもあり、違った視点から機能性ディスペプシアの病態生理を考え、分類に反映させている点について記載した。
  1. 典型例として一次治療薬である六君子湯内服のみにて奏効した症例およびガイドラインの標準的治療に対して難渋した症例について追記した。詳細は本文を参照されたい。

概要・推奨   

  1. 機能性ディスペプシア患者の生命予後は良好であるが、QOLの低下を認める。
  1. 機能性ディスペプシアの有病率は高く、日常診療で頻繁に遭遇する疾患である。
  1. 機能性ディスペプシアの病態は複雑で、胃・十二指腸運動機能異常、内臓知覚過敏、胃酸分泌、心理社会的因子、食事や運動などのライフスタイル、遺伝子要因や感染後ディスペプシアなど多因子によるものと考えられている。
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  1. 上腹部症状があり、年齢、病歴、H. pylori 感染の有無、検査歴などの総合的な判断により、機能性ディスペプシアと診断し治療を開始する。必ずしも上部消化管内視鏡検査は必須ではない。しかし、警告徴候(alarm sign)を認め、器質的疾患が疑われた場合には、内視鏡検査などの精査を積極的に行う。

病態・疫学・診察 

疾患情報(疫学・病態)  
  1. 機能性ディスペプシアとは、器質的疾患がないのにもかかわらず上腹部症状を慢性的に訴える症候群である。機能性ディスペプシアの症状はRome IV基準では、つらいと感じる4つの症状(食後の上腹部膨満感、食事早期の満腹感、心窩部痛、心窩部灼熱感)に大別される。前2者の場合を食後愁訴症候群:週に3日以上の症状がある場合とし、後2者の場合を心窩部痛症候群:週に1日以上の症状がある場合と定義している。
  1. 機能性ディスペプシアは日常診療で頻繁に遭遇する疾患であり、その有病率は、日本人健診者を対象とした場合11~17%であり、上腹部症状を訴え病院を受診した患者の場合45~53%であると報告されている。
  1. 機能性ディスペプシアの病態は複雑で、胃・十二指腸運動機能異常、内臓知覚過敏、胃酸分泌、心理社会的因子、食事や運動などのライフスタイル、遺伝的要因や感染性胃腸炎の既往などの多因子によるものと考えられている。
  1. 上腹部症状を主訴に医療機関を訪れる患者の多くは症状を説明できる器質的疾患を有しておらず、元来、上腹部症状を主訴として来院し、慢性胃炎と診断されていた多くの患者は、機能性ディスペプシアであると考えられる。
  1. 機能性ディスペプシア患者はQOLが低下し、また労働生産性も低下しており、治療が必要である。
 
  1. 機能性ディスペプシアの病態は複雑で、多因子によるものと考えられている。
  1. 胃・十二指腸運動機能異常、内臓知覚過敏、胃酸分泌、心理社会的因子、食事や運動などのライフスタイル、遺伝的要因や感染性胃腸炎の既往などさまざまな因子が機能性ディスペプシアと関連している[1]。(図<図表>
  1. 機能性ディスペプシアの症状を直接引き起こす異常は、中枢神経-自律神経-末梢神経を基軸にした消化管生理を司る機能の異常と考えられ、胃・十二指腸運動機能異常、内蔵知覚過敏など多くの因子が複雑に影響し合って、その病態が形成されているものと考えられている[2]
 
機能性ディスペプシアの病態生理:シェーマ

機能性ディスペプシアの症状を直接引き起こす異常は、中枢神経-自律神経-末梢神経を基軸にした消化管生理を司る機能異常と考えられ、胃運動機能異常、内蔵知覚過敏など多くの因子が複雑に影響し合って、その病態が形成されているものと考えられる。

出典

Tominaga K. and Kusunoki H.:Functional Dyspepsia. 2.Preface vi. editors, Springer, 2018.
 
  1. 機能性ディスペプシアの有病率は高く、日常診療で頻繁に遭遇する疾患である。
  1. 1999年に報告された質の高い疫学調査(DIGEST研究)では、日本人の25%が過去3カ月に1回以上の上腹部症状を有しており、9%が1週間に1回以上の中等度以上の上腹部症状を有していると示された[3]。以前に行われたインターネット調査においても、Rome III基準を満たす機能性ディスペプシア患者は全体の6.4%であったが[4]、Rome III基準に当てはまらない機能性ディスペプシア患者はその数倍と考えられ[5]、多くの患者が上腹部症状で医療機関を受診していることがわかる。
問診・診察のポイント  
  1. 症状が上部消化管由来の症状かどうか詳しく問診する。

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薬剤監修について:
オーダー内の薬剤用量は日本医科大学付属病院 薬剤部 部長 伊勢雄也 以下、渡邉裕次、井ノ口岳洋、梅田将光および日本医科大学多摩永山病院 副薬剤部長 林太祐による疑義照会のプロセスを実施、疑義照会の対象については著者の方による再確認を実施しております。
※薬剤中分類、用法、同効薬、診療報酬は、エルゼビアが独自に作成した薬剤情報であり、 著者により作成された情報ではありません。
尚、用法は添付文書より、同効薬は、薬剤師監修のもとで作成しております。
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(詳細はこちらを参照)
著者のCOI(Conflicts of Interest)開示:
富永和作 : 講演料((株)ツムラ)[2025年]
監修:上村直実 : 講演料(武田薬品工業(株),カイゲンファーマ(株))[2025年]

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