左脚ブロック

著者: 真中哲之 浅草ハートクリニック

監修: 永井良三 自治医科大学

著者校正/監修レビュー済:2017/05/31

概要・推奨  

疾患のポイント:
  1. 脚ブロックとは、心室内伝導路のうち左脚に特異的な伝導障害を生じる状態である。
  1. Framingham studyでは8,396人の対象のうちQRS幅が0.10秒以上の心室内伝導障害を呈した症例は男性の6%、女性の2.4%でみられた。約半数がQRS幅0.12秒以上の完全脚ブロックであった。

診断: >詳細情報 アルゴリズム
  1. 脚ブロックは心電図で診断される。左脚ブロックの心電図ではV1で特有なQS波をV6でRR’を示す。I, V5~6でST低下とT波の逆転がみられる。(右脚ブロックとの比較で、米国ではWiLLiaMと覚える人もいる。L[左脚ブロック]は、一番目に[V1]に、Wの形[P+特有なQS波]、V6にM[RR’]の形がくる。)なお、右脚ブロックは、MaRRoWと覚えることができる。
  1. 脚ブロックの特徴的心電図:<図表>
  1. 心電図でQRS幅が0.12秒以上であれば完全脚ブロック、0.10~0.12秒であれば不完全脚ブロックと呼ばれる。
  1. 完全左脚ブロックの心電図:<図表>
  1. 不完全左脚ブロックから完全左脚ブロックへの進行:<図表>
  1. 電気生理学的には、左脚ブロック、加えて左脚前枝ブロック(左軸偏位)、左脚後枝ブロック(著明な右軸偏位)に分けられる。(詳細: >詳細情報 )
 
原因評価:
  1. 右脚ブロックに比し左脚ブロック症例は病的な背景を有する症例が多く、基礎心疾患の精査は重要である。
  1. 基礎疾患としては、虚血性心疾患、心筋症[特に拡張型心筋症]、弁膜症(大動脈弁弁膜症)、心サルコイドーシスなどの評価を行う。特に、胸痛発作を認め新規の左脚ブロックを認めるときは、急性冠症候群の可能性を考慮する。心疾患のない高齢者の心室内伝導障害は特発性両脚線維症の頻度が高い。
  1. なお、左脚ブロックを認める患者の心筋梗塞の評価については、通常の評価方法では行うことができず、Sgarbossaの基準という評価方法を用いる必要がある。
  1. 左脚ブロックを認め…
検査・処方例
※選定されている評価・治療は一例です。症状・病態に応じて適宜変更してください。

基礎心疾患の存在を除外するために必要な検査
  1. ポイント:
  1. 脚ブロックは心疾患に併発することも多く、基礎心疾患を除外することは重要である。適宜専門医へ紹介する。アルゴリズム
  1. 基礎疾患一覧:
  1. 高血圧
  1. 虚血性心疾患
  1. 心筋症(特に拡張型心筋症)
  1. 弁膜症(大動脈弁弁膜症)
  1. 心サルコイドーシス
  1. 先天性心疾患
  1. 心筋炎
  1. 開心術後
○ 基礎疾患を除外する目的で1)を考慮する。必要に応じて2)-6)を追加する。

薬剤監修について:
オーダー内の薬剤用量は日本医科大学付属病院 薬剤部 部長 片山志郎 以下、林太祐、渡邉裕次、井ノ口岳洋、梅田将光による疑義照会のプロセスを実施、疑義照会の対象については著者の方による再確認を実施しております。
※薬剤中分類、用法、同効薬、診療報酬は、エルゼビアが独自に作成した薬剤情報であり、
著者により作成された情報ではありません。
尚、用法は添付文書より、同効薬は、薬剤師監修のもとで作成しております。
※薬剤情報の(適外/適内/⽤量内/⽤量外/㊜)等の表記は、エルゼビアジャパン編集部によって記載日時にレセプトチェックソフトなどで確認し作成しております。ただし、これらの記載は、実際の保険適用の査定において保険適用及び保険適用外と判断されることを保証するものではありません。また、検査薬、輸液、血液製剤、全身麻酔薬、抗癌剤等の薬剤は保険適用の記載の一部を割愛させていただいています。
(詳細はこちらを参照)


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