急性胆嚢炎 :トップ    
監修: 真弓俊彦 産業医科大学 救急医学
木村康利 札幌医科大学付属病院 消化器・総合・乳腺・内分泌外科

概要

疾患のポイント:
  1. 急性胆嚢炎の原因の90~95%は胆嚢結石であり、結石の嵌頓による胆嚢管閉塞と胆嚢内胆汁うっ滞に引き続き、胆嚢粘膜障害が起こり、炎症性メディエーターの活性化が引き起こされる。一方、急性無石胆嚢炎は急性胆嚢炎の3.7~14%を占め、その危険因子は、手術、外傷、長期のICU滞在、感染症、熱傷や経静脈栄養などである。
  1. 日本人の胆石保有率は約10%といわれている。無症候性胆石保有者の有症状化率は、年率1~3%、生涯で約20%、特に急性胆嚢炎の発症が3.8~12%、胆管炎が0.3~1.6%との報告がある。
  1. 急性胆嚢炎の合併病態としては、壊疽性胆嚢炎・穿孔、化膿性胆嚢炎、気腫性胆嚢炎が挙げられ、これらの頻度は2~26%である。このような症例に対しては緊急手術を適応することとなる。
  1. 急性胆嚢炎の死亡率に関して、2000年以降の報告では、おおむね1%未満である。時代や地域による差を顕著に認めず、米国の最近のレビューでも0.6%と記されている。
 
症状:
  1. 急性胆嚢炎の最も典型的な症状は右季肋部痛であり(38~93%)、右季肋部痛と心窩部痛を合わせると72~93%である。次いで悪心・嘔吐が多く(約70%)、発熱は62%にみられる。38℃を超える高熱は3割程度であり、高熱の頻度は高くはない
  1. 一方、Murphy徴候は、急性胆嚢炎の診断に対する感度は50~60%程度であり、特異度に関しては96%、79%と高い。なお、高齢者では感度が低い。
 
診断: >詳細情報 
  1. 急性胆炎を疑った患者では、腹部エコー、CTなどを用いて、診断基準にそって診断をする(診断基準 エビデンス )。
  1. 胆嚢周囲の臨床徴候(Murphy徴候、右上腹部腫瘤触知、右上腹部痛、圧痛)に加え、全身の炎症所見(発熱、CRP値の上昇、白血球数の異常)を伴っていれば、本疾患である可能性が高い。これらに加えて、急性胆嚢炎に特徴的な画像所見が備われば診断が確定的となる。
  1. なお、急性胆嚢炎に特徴的な画像所見とは以下のものを指す。

評価・治療の進め方

※選定されている評価・治療は一例です。症状・病態に応じて適宜変更してください。

診断のための検査例
  1. 急性胆嚢炎を疑った患者では、腹部エコー、CTなどを用いて、診断基準にそって診断をする(診断基準 エビデンス )。
  1. 胆嚢周囲の臨床徴候(Murphy徴候、右上腹部腫瘤触知、右上腹部痛、圧痛)に加え、全身の炎症所見(発熱、CRP値の上昇、白血球数の異常)を伴っていれば、本疾患である可能性が高い。これらに加えて、急性胆嚢炎に特徴的な画像所見が備われば診断が確定的となる。
  1. なお、急性胆嚢炎に特徴的な画像所見とは以下のものを指す。
  1. 超音波検査:sonographic Murphy徴候(超音波プローブによる胆嚢圧迫による疼痛) エビデンス  エビデンス 
  1. 胆嚢壁肥厚(>4 mm)
  1. 胆嚢腫大(長軸径>8 cm、短軸径>4 cm)、嵌頓胆嚢結石、デブリエコー
  1. 胆嚢周囲浸出液貯留
  1. 胆嚢壁sonolucent layer(hypoechoic layer)
  1. 不整な多層構造を呈する低エコー帯、ドプラーシグナル
  1. CT:胆嚢壁肥厚、胆嚢周囲浸出液貯留、胆嚢腫大、胆嚢周囲脂肪織内の線状高吸収域  エビデンス  エビデンス 
  1. MRI:胆嚢結石、pericholecystic high signal、胆嚢腫大、胆嚢壁肥厚
○ 急性胆嚢炎を疑った場合は1)~3)を評価する。必要に応じて4)5)を追加する。

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薬剤監修について:
オーダー内の薬剤用量は日本医科大学付属病院 薬剤部 部長 片山志郎 以下、林太祐、渡邉裕次、井ノ口岳洋、梅田将光による疑義照会のプロセスを実施、疑義照会の対象については著者の方による再確認を実施しております。
※薬剤中分類、用法、同効薬、診療報酬は、エルゼビアが独自に作成した薬剤情報であり、
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尚、用法は添付文書より、同効薬は、薬剤師監修のもとで作成しております。
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(詳細はこちらを参照)

急性胆嚢炎の治療フローチャート
胆嚢壁肥厚
高度の胆嚢壁肥厚
急性出血性胆嚢炎症例
急性出血性胆嚢炎症例
急性出血性胆嚢炎症例(開腹胆嚢摘出術)
著者校正/監修レビュー済
2017/03/31


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