制吐薬(薬理) :トップ    

中原 保裕1) 『今日の臨床サポート』編集部2) 1)(有)ファーマシューティカルケア研究... 2)

概要

ポイント:
  1. 嘔気は胃の内容物を吐き出したいという不快感を指し、嘔吐とは、胃の内容物を吐き出す行為である。嘔気/嘔吐の原因は非常に多岐にわたる。薬理学的には、嘔吐の原因は、中枢性と末梢性に分けられる。
  1. 中枢性の嘔吐は、延髄網様態にある嘔吐中枢に刺激が加わったことにより生じる嘔吐、悪心である。嘔吐中枢に対する刺激は血中の化学物質の刺激により化学受容器引金帯(CTZ)を介して起こるものと、CTZを介さずに精神的・心理的刺激、半規管からの刺激等によって生じるものがある。血中の化学物質としてはドパミンやセロトニンが有名で、受容体としてはD2受容体、5HT3受容体の関与がある。
  1. 一方、末梢性の嘔吐は、反射性嘔吐とも呼ばれるもので胸部、腹部等の臓器に生じた刺激が原因で反射的に生じるものである。末梢においても末梢にあるD2受容体等が関与している。薬物などによる消化器粘膜への刺激による副作用もこれに属する。
  1. 原因疾患は多岐にわたり、消化器(刺激、炎症、粘膜病変、閉塞)、中枢神経系・前庭神経系、代謝性・内分泌性(妊娠)、薬剤など。心筋梗塞でも嘔気を来す。ある研究の救急外来に訪れた嘔気・嘔吐患者64人の原因は、胃腸炎19%、高血糖6%、アルコール中毒5%、胃炎5%、腸閉塞3%、胆嚢炎3%、膵炎2%、腎疝痛2%、不明55%であった。
 
制嘔吐薬の種類:
  1. 上記のように嘔吐は中枢性と、末梢性に分かれ、また、中枢性の嘔吐は、受容体としてはD2受容体、5HT3受容体の関与などが示唆されている。これらの作用機序を基に、制吐薬として用いられている薬剤は、末梢性ドパミン受容体拮抗薬、セロトニン受容体拮抗薬、中枢神経のニューロキニン1(NK1)受容体拮抗薬、抗ヒスタミン薬、中枢性D2受容体拮抗薬などに分類される。
  1. 例えば、頭を動かしたときに吐き気が起きる場合は、前庭の異常を示唆する。そのような嘔気には、抗ヒスタミン薬であるジフェンヒドラミン・ジプロフィリン配合(トラベルミン)、d-クロルフェニラミン(ポララミン)などを用いる。

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著者校正/監修レビュー済
2016/04/22