静脈血栓症

著者: 山田典一 地方独立行政法人桑名市総合医療センター

監修: 今井靖 自治医科大学 薬理学講座臨床薬理学部門・内科学講座循環器内科学部門

著者校正/監修レビュー済:2019/06/28

概要・推奨  

疾患のポイント:
  1. 静脈血栓症とは、文字どおり静脈に血栓が生じた状態である。静脈血栓は全身のいずれの静脈にも生じ得るが、なかでも頻度が高いのが下肢の静脈に生じる静脈血栓であり、四肢の筋膜より深部を走行する深部静脈に発生するものを深部静脈血栓症(DVT)、浅い表在静脈に発生するものを表在静脈血栓症あるいは静脈炎を伴うことが多いことより表在性血栓性静脈炎と呼ぶ。
  1. 静脈血栓症の成因を考えるうえで、Virchowの3徴:①血流停滞、②血管内皮障害、③血液凝固能亢進――が重要である。
  1. 下肢深部静脈血栓症では血栓の存在範囲により、通常、膝窩静脈を含む中枢側にあるものを中枢型(近位型)、膝窩静脈より末梢にあるものを末梢型(遠位型)と分類する。
  1. 日本での年間発症数は2万4,538例で10万人当たり約20例と報告されている。
 
診断: >詳細情報 
  1. 静脈血栓症の危険因子や、身体所見として、片側性の肢腫脹、発赤、Calf tenderness、Homans徴候、Lowenberg徴候、Luke徴候などを認める際には静脈血栓症を疑う。(説明: >詳細情報 )
  1. 深部静脈血栓症の診断手順:アルゴリズム
  1. 静脈血栓症の危険因子:<図表>
  1. DVTの臨床確率評価法であるWellsスコアを用いて、検査前臨床的確率の評価を行う。Wells スコア2点以下の症例では、Dダイマーを測定する。
  1. Wellsスコア:<図表>
  1. 下肢静脈超音波検査、造影CT、MRI、上行性静脈造影などにより血栓を描出し確定診断を得る。
 
原因疾患・合併疾患の評価: >詳細情報 
  1. 左側中枢部に生じた血栓症では腸骨静脈圧迫症候群の有無を確認する。また、若年発症例、家族内発症例、再発例では血栓性素因の評価を行う。
  1. 合併症としては、肺血栓塞栓症、末梢動脈阻血、血栓後症候群などが知られている。重篤な肺血栓塞栓症を認める場合や、…
検査・処方例
※選定されている評価・治療は一例です。症状・病態に応じて適宜変更してください。

静脈血栓塞栓症血栓の描出
  1. 最も簡便、非侵襲的であり、診断能が高く、第1選択の検査法である。
○ 静脈血栓を疑った場合1)、2)を行う。1)では腹部、骨盤内静脈の評価が困難であるため、下大静脈上方伸展の有無の確認として2)、3)が用いられる。

薬剤監修について:
オーダー内の薬剤用量は日本医科大学付属病院 薬剤部 部長 片山志郎 以下、林太祐、渡邉裕次、井ノ口岳洋、梅田将光による疑義照会のプロセスを実施、疑義照会の対象については著者の方による再確認を実施しております。
※薬剤中分類、用法、同効薬、診療報酬は、エルゼビアが独自に作成した薬剤情報であり、
著者により作成された情報ではありません。
尚、用法は添付文書より、同効薬は、薬剤師監修のもとで作成しております。
※薬剤情報の(適外/適内/⽤量内/⽤量外/㊜)等の表記は、エルゼビアジャパン編集部によって記載日時にレセプトチェックソフトなどで確認し作成しております。ただし、これらの記載は、実際の保険適用の査定において保険適用及び保険適用外と判断されることを保証するものではありません。また、検査薬、輸液、血液製剤、全身麻酔薬、抗癌剤等の薬剤は保険適用の記載の一部を割愛させていただいています。
(詳細はこちらを参照)

改訂のポイント:
  1. 肺血栓塞栓症および深部静脈血栓症の診断、治療、予防に関するガイドライン(2017年改訂版)
に基づき確認を行った。


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