薬物中毒 :トップ    
監修: 箕輪良行 みさと健和病院 救急総合診療研修顧問
宮道亮輔 医療法人あい ハンディクリニック

概要

疾患のポイント:
  1. 薬物中毒とは、非ステロイド抗炎症薬(NSAIDs)、アセトアミノフェン、抗精神病薬などの薬物を大量服薬および誤食したことにより生じる症状のことである。
  1. 薬物中毒は疑わないと診断できないため、意識障害患者などでは常に念頭に置いて鑑別する。抗コリン症候群やセロトニン症候群などのトキシドロームを意識すると、診断に有用である。
  1. 原因薬物は多岐にわたるため、バイタルサインを含む臨床症状や検査所見を組み合わせて病態を理解することが大切である。
 
診断:
  1. 原因不明の重症患者では、血液検査(電解質、腎機能、血糖など)や尿検査、心電図、X線撮影等を行う。
  1. アニオンギャップや浸透圧ギャップの測定も鑑別に役立つ。
  1. 原因不明の意識障害患者で、薬物中毒を強く疑ったら、尿中乱用薬物検出キット(トライエージなど)を行うのも有用かもしれない。なお、トライエージは、尿中の乱用薬物(フェンシクリジン類[PCP]、ベンゾジアゼピン類[BZO]、コカイン系麻薬[COC]、覚せい剤[アンフェタミンAMP]、大麻[THC]、モルヒネ系麻薬[OPI]、バルビツール酸類[BAR]および三環系抗うつ薬[TCA])の検出をすることができる。ベンゾジアゼピン類などは常用薬を検出しているだけで病的意義はない場合もあるため、注意が必要である。
 
各薬剤とその疑う所見:
  1. ベンゾジアゼピン:
  1. 処方例が多いため頻度も多く、常に鑑別に考慮する。精神科受診病歴、睡眠薬、抗不安薬の処方歴を確認する。尿中乱用薬物検出キットも役立つ。
  1. 三環系抗うつ薬:
  1. 意識障害を伴い、心電図でQRS幅の拡大やQT間隔の延長を認めたら想起する。うつ病などの精神科疾患の既往や、三環系抗うつ薬の処方歴を確認する。尿中乱用薬物検出キットも役立つ。
  1. フェノチアジン誘導体:
  1. 意識障害を伴い、縮瞳や低血圧を認めたら想起する。統合失調症などの精神科疾患の既往や、フェノチアジン誘導体の処方歴を確認する。
  1. アセトアミノフェン:
  1. 風邪薬服用歴のある患者に重篤な肝障害を認めたら想起する。血中濃度の測定を行う。
  1. 有機リン:
  1. 呼気や吐物の有…

評価・治療の進め方

※選定されている評価・治療は一例です。症状・病態に応じて適宜変更してください。

初診時の対応と特に大事な検査
  1. 低血糖を除外する
  1. 血液ガスで酸塩基平衡を評価する
  1. 心電図検査でリズム障害を評価する
○ 薬物中毒を疑った場合、他のルーチン検査に書きの検査を追加する。

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薬剤監修について:
オーダー内の薬剤用量は日本医科大学付属病院 薬剤部 部長 片山志郎 以下、林太祐、渡邉裕次、井ノ口岳洋、梅田将光による疑義照会のプロセスを実施、疑義照会の対象については著者の方による再確認を実施しております。
※薬剤中分類、用法、同効薬、診療報酬は、エルゼビアが独自に作成した薬剤情報であり、
著者により作成された情報ではありません。
尚、用法は添付文書より、同効薬は、薬剤師監修のもとで作成しております。
※薬剤情報の(適外/適内/⽤量内/⽤量外/㊜)等の表記は、エルゼビアジャパン編集部によって記載日時にレセプトチェックソフトなどで確認し作成しております。ただし、これらの記載は、実際の保険適用の査定において保険適用及び保険適用外と判断されることを保証するものではありません。また、検査薬、輸液、血液製剤、全身麻酔薬、抗癌剤等の薬剤は保険適用の記載の一部を割愛させていただいています。
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薬物中毒 初診のアルゴリズム
著者校正/監修レビュー済
2016/09/02