今日の臨床サポート 今日の臨床サポート

著者: 谷崎真輔 福井県立病院 救命救急センター

監修: 林寛之 福井大学医学部附属病院

著者校正/監修レビュー済:2023/01/11
患者向け説明資料

改訂のポイント:
  1. 項目を「総論・診断・鑑別」「検査・CT・内視鏡・重症度判別」「治療」「手術」「合併症」「フッ化水素」に分け、順序を変えた。
  1. 食道狭窄予測に関して、CTがその予測に有用であるという論文から、CTの方が内視鏡よりも食道狭窄予測で優れているという論文へと変更した
  1. 上記に伴い、CT所見分類を論文に基づいて変更した。

概要・推奨   

  1. 腐食性物質中毒による臨床症状と食道損傷の重症度とは相関しない可能性がある。また咽喉頭症状がなくても食道損傷を否定できないかもしれない(推奨度2O)
  1. 内視鏡検査による食道損傷のGrade分類は、腐食性物質による食道損傷の転帰を予測し得る。Gradeが上がれば、狭窄率、呼吸不全などの全身合併症発症率は高くなるかもしれない(推奨度2O)
  1. CT検査による食道壊死の評価により、手術適応を判断できるかもしれない(推奨度2O)
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病態・疫学・診察 

疫学・病態  
  1. 腐食性物質には、酸やアルカリ性物質のほか、フッ化水素酸やクレゾールなどが挙げられる。
  1. 原因としては、自殺目的や誤飲による経口摂取、自殺目的や労働環境での吸引が多く、自殺目的の事例ではより多量の原因物質と接触していることが多い。
  1. 腐食性物質中毒の主な症状は、腐蝕作用による接触部位の障害である。組織障害の重症度は、その物質のpH、電解質解離指数、濃度、量、粘膜との接触時間などによって決まる。
  1. 食道扁平上皮は、酸に対する抵抗性を持っており、酸による食道の障害は軽度であることが多い。しかし、胃内ではその刺激によって幽門攣縮が起こるため、幽門狭窄が起こりやすい。反対にアルカリ中毒では、腐食性食道炎・穿孔による縦隔炎を来す傾向が強い。
  1. 酸による障害では、吸収性のacid-albuminが形成され、乾性凝固壊死を起こす。アルカリによる障害で形成されるalkaline-albuminateは可溶性であり、組織の融解壊死や脂肪の鹸化を起こしやすく、アルカリによる組織障害は酸より深部に拡大しやすい。
問診・診察のポイント  
  1. 腐食性物質の中毒症状は、接触部位の粘膜障害によるものである。経口摂取した場合には、口腔内の疼痛・びらん・発赤のほか、胸骨後面の激痛・嚥下痛・嘔吐・腹痛などの症状が出現する。吸入した場合には、咽頭痛・悪心などの症状が出現し、重症では喘鳴・呼吸困難が現れる。

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薬剤監修について:
オーダー内の薬剤用量は日本医科大学付属病院 薬剤部 部長 伊勢雄也 以下、渡邉裕次、井ノ口岳洋、梅田将光および日本医科大学多摩永山病院 副薬剤部長 林太祐による疑義照会のプロセスを実施、疑義照会の対象については著者の方による再確認を実施しております。
※薬剤中分類、用法、同効薬、診療報酬は、エルゼビアが独自に作成した薬剤情報であり、 著者により作成された情報ではありません。
尚、用法は添付文書より、同効薬は、薬剤師監修のもとで作成しております。
※同効薬・小児・妊娠および授乳中の注意事項等は、海外の情報も掲載しており、日本の医療事情に適応しない場合があります。
※薬剤情報の(適外/適内/⽤量内/⽤量外/㊜)等の表記は、エルゼビアジャパン編集部によって記載日時にレセプトチェックソフトなどで確認し作成しております。ただし、これらの記載は、実際の保険適応の査定において保険適応及び保険適応外と判断されることを保証するものではありません。また、検査薬、輸液、血液製剤、全身麻酔薬、抗癌剤等の薬剤は保険適応の記載の一部を割愛させていただいています。
(詳細はこちらを参照)
著者のCOI(Conflicts of Interest)開示:
谷崎真輔 : 特に申告事項無し[2024年]
監修:林寛之 : 講演料((株)メディカ出版),原稿料((株)羊土社)[2024年]

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腐食性物質中毒

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