農薬中毒 :トップ    
監修: 林寛之 福井大学医学部附属病院
山中俊祐 福井大学医学部附属病院 救急部

概要

疾患のポイント:
  1. 農薬中毒のなかで最も頻度が高い中毒は、有機リン中毒、カーバメード中毒、パラコート/ジクワット中毒などである。
  1. 有機リンは不可逆的なコリンエステラーゼ阻害薬で血液~脳関門を通過し重症化しやすいが、カーバメード中毒は可逆的なコリンエステラーゼ阻害薬で血液~脳関門を通過しないので軽症例が多い。
  1. 有機リン中毒、カーバメード中毒はアセチルコリンエステラーゼ活性が阻害されることによって、副交感神経症状(縮瞳、流涎、流涙、尿失禁、便失禁、気管分泌亢進、気管攣縮、昏睡、けいれん、筋力低下など)と交感神経症状の発汗(汗腺はコリン作動性神経で支配されているため、有機リンがコリンエステラーゼを阻害してアセチルコリンの作用を高めるため)が認められる。早期には、中枢神経障害、筋力低下、気管攣縮、気管分泌亢進による呼吸不全が問題となる。服毒から24~96時間後には筋力低下、呼吸不全、意識障害、錐体外路障害などが出現する中間症候群が生じることがあるが、数週間で軽快する。さらに数週間後に多発性神経炎が生じることがある[1]が、これも数カ月で軽快する。カーバメード中毒でもこれらの遅発性の中間症候群、多発神経炎などが生じうるので注意する。
  1. パラコート/ジクワット中毒は着色された青緑色の液体で、体内で還元された活性酸素が肺、肝、腎を中心とした組織障害を起こし、肺線維症が致命的となる。
 
診断: >詳細情報 
  1. 有機リン中毒、カーバメード中毒:
  1. 病歴と副交感神経症状にて疑い、血清コリンエステラーゼの低下や尿中の有機リン/カーバメードの証明で確定診断となる。診断が確定しない場合は、診断的治療としてアトロピン1mg(小児では0.01~0.02mg/㎏)を静注する。投与後、抗コリン作用による所見(頻脈、散瞳、腸蠕動音低下、皮膚乾燥)などが認められない場合は、アセチルコリンエステラーゼ活性の阻害が強く示唆される。
  1. パラコート/ジクワット中毒:

評価・治療の進め方

※選定されている評価・治療は一例です。症状・病態に応じて適宜変更してください。

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リファレンス

img  1:  Delayed-onset encephalopathy and coma in acute organophosphate poisoning in humans.
 
PMID 18304642  Neurotoxicology. 2008 Mar;29(2):335-42. doi: 10.1016/j.・・・
img  2:  Predicting outcome in acute organophosphorus poisoning with a poison severity score or the Glasgow coma scale.
 
PMID 18319295  QJM. 2008 May;101(5):371-9. doi: 10.1093/qjmed/hcn014. ・・・
img  3:  Severity index of paraquat poisoning.
 
PMID 2897577  Lancet. 1988 Jun 11;1(8598):1333.
薬剤監修について:
オーダー内の薬剤用量は日本医科大学付属病院 薬剤部 部長 片山志郎 以下、林太祐、渡邉裕次、井ノ口岳洋、梅田将光による疑義照会のプロセスを実施、疑義照会の対象については著者の方による再確認を実施しております。
※薬剤中分類、用法、同効薬、診療報酬は、エルゼビアが独自に作成した薬剤情報であり、
著者により作成された情報ではありません。
尚、用法は添付文書より、同効薬は、薬剤師監修のもとで作成しております。
※薬剤情報の(適外/適内/⽤量内/⽤量外/㊜)等の表記は、エルゼビアジャパン編集部によって記載日時にレセプトチェックソフトなどで確認し作成しております。ただし、これらの記載は、実際の保険適用の査定において保険適用及び保険適用外と判断されることを保証するものではありません。また、検査薬、輸液、血液製剤、全身麻酔薬、抗癌剤等の薬剤は保険適用の記載の一部を割愛させていただいています。
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著者校正/監修レビュー済
2016/11/30