今日の臨床サポート 今日の臨床サポート

著者: 鷹栖相崇 自治医科大学附属病院 災害医学寄附講座

監修: 山中克郎 諏訪中央病院 総合診療科

著者校正/監修レビュー済:2024/10/02
参考ガイドライン:
  1. 米国集中治療学会(SCCM):Surviving Sepsis Campaign 2021
患者向け説明資料

改訂のポイント:
  1. 定期レビューを行ったが、追記・加筆すべき新たな知見はなかった。
 

概要・推奨   

  1. 体液欠乏を評価するにあたり、多くの場合、病歴が最も有用である。水分や食事の摂取量、下痢や嘔吐などによる喪失量を把握するよう努めることが推奨される(推奨度1)
  1. 体液欠乏の評価に個々の身体所見の意義は小さいが、所見を組み合わせて体液欠乏の有無の判定に用いることが勧められる(推奨度1)
  1. 起立性めまい、起立性の脈拍増加は中等度以上の体液欠乏を示す所見として有用であり、これを認める場合には細胞外液の補充と原因検索が勧められる(推奨度2)
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病態・疫学・診察 

疫学情報・病態・注意事項  
  1. 脱水(体液欠乏)とは一般に体液量が減少した状態を指す。経口摂取の減少と、下痢や嘔吐、多量の発汗などによる体液喪失が原因になるが、生体にはもともと水分や塩分を保持する機構があるため、臨床的に問題になる脱水が生じるのは、それを上回る速度・程度で体液が失われたか、体液保持機構が障害されている場合である。わが国ではすべて脱水(hypovolemia)でひとくくりにされることが多いが、実際は塩分が喪失する細胞外液欠乏(volume depletion)と、主に自由水(free waterともいう)が喪失する高張性脱水(dehydration)に分けて考える。ただし実際にはこの両者は併存することが多い[1]。また高張性脱水は細胞内脱水と表現されることもある。
  1. 体内の水分は体重の60%を占めており、1/3が細胞外に、2/3が細胞内に存在する。さらに細胞外液のうち1/4が血管内に、3/4が間質に分布する。細胞外液量は主に塩分量により(容量調節系)、細胞内液は主に細胞外液の塩分濃度によって(浸透圧調節系)規定されている。細胞内外の浸透圧は半透膜である細胞膜を介し、均一になるよう調節されている。細胞外では電解質(主に陽イオンであるナトリウムと、同数の陰イオン)、ブドウ糖、尿素窒素が溶質として浸透圧を形成しているが、尿素窒素は細胞膜を自由に透過するため、それを除いた電解質とブドウ糖の濃度が変化すると細胞内外に浸透圧差が生じ、自由水が移動する。細胞内の体液量は、その自由水の移動を介して調節される。
  1. 例えば、発汗や尿崩症によって低張な体液を多量に失うと、細胞外の塩分濃度が上昇し、細胞内に比べて細胞外の浸透圧が高くなる。この浸透圧差を埋めるため、細胞膜を介して細胞内から細胞外へ自由水が移動する。結果、細胞内液の量は減り、濃くなる(浸透圧が上昇する)。その際、細胞外液の減少分は細胞内からの水の移動で補われるため、低張な体液の喪失では細胞外液の著明な減少は起こりにくい。これが高張性脱水である。重篤な場合でも、循環動態の破綻より、高浸透圧血症による中枢神経障害が問題になりやすい。
  1. 自由水の喪失に対する代償には、口喝による飲水行為と、抗利尿ホルモン(バソプレシン)を介した腎臓での自由水再吸収の亢進がある。血漿浸透圧が上昇すると、口喝中枢が刺激されて飲水行動が促されるため、口喝中枢の障害があるか飲水行動が妨げられない限り、自由水の喪失が臨床的な問題になることはまれである[2]
  1. 細胞外液の喪失に対する代償は、有効循環血液量の維持である。交感神経の活性化、レニン- アンギオテンシン-アルドステロン系(RAAS)の亢進から、血圧の上昇、腎臓でのNa再吸収の亢進が生じ、臓器潅流を維持する。
  1. 乳幼児や高齢者は体液喪失に脆弱で、体液欠乏による意識障害や臓器障害を起こしやすい。高齢者ではわずか3%の体液量減少でも臨床上問題になることがある[3]
 
高齢者の体液分布

脂肪には水分が少なく、筋肉には多く含まれる。そのため、筋量の少ない高齢者、女性は体内水分比率が小さく、体液欠乏に弱い。

出典

Wotton K, Crannitch K, Munt R.
Prevalence, risk factors and strategies to prevent dehydration in older adults.
Contemp Nurse. 2008 Dec;31(1):44-56. doi: 10.5172/conu.673.31.1.44.
Abstract/Text The treatment of dehydration in older adults admitted from residential care to an acute hospital setting may lead to haemodynamic stability. There is however an increased risk for short or long term alterations in physiological, cognitive and psychological status and ultimately, decreased quality of life. Such acute care admissions could be decreased where preventative strategies tailored to address individual risk factors are combined with more frequent assessment of the degree of hydration. The questionable reliability of assessment criteria in older adults increases the need to use multiple signs and symptoms in the identification and differentiation of early and late stages of dehydration. This article reviews various risk factors, explores the reliability of clinical signs and symptoms and reinforces the need to use multiple patient assessment cues if nurses are to differentiate between, and accurately respond to, the various causes of dehydration. Specific strategies to maintain hydration in older adults are also identified.

PMID 19117500
 
高齢者における体液欠乏の危険因子

体液欠乏が問題になるときは複数の病態が併存していることが多く、それらを丁寧に拾い上げる必要がある。体液喪失に利尿薬などの薬剤が関与するときには、体液欠乏が回復するまで当該薬剤を休薬することが求められる。

出典

Wotton K, Crannitch K, Munt R.
Prevalence, risk factors and strategies to prevent dehydration in older adults.
Contemp Nurse. 2008 Dec;31(1):44-56. doi: 10.5172/conu.673.31.1.44.
Abstract/Text The treatment of dehydration in older adults admitted from residential care to an acute hospital setting may lead to haemodynamic stability. There is however an increased risk for short or long term alterations in physiological, cognitive and psychological status and ultimately, decreased quality of life. Such acute care admissions could be decreased where preventative strategies tailored to address individual risk factors are combined with more frequent assessment of the degree of hydration. The questionable reliability of assessment criteria in older adults increases the need to use multiple signs and symptoms in the identification and differentiation of early and late stages of dehydration. This article reviews various risk factors, explores the reliability of clinical signs and symptoms and reinforces the need to use multiple patient assessment cues if nurses are to differentiate between, and accurately respond to, the various causes of dehydration. Specific strategies to maintain hydration in older adults are also identified.

PMID 19117500
 
  1. 体液欠乏を生じる病態には、主に経口摂取の低下、消化管由来のもの(下痢、嘔吐、消化管出血)、腎由来のもの [バソプレシン分泌低下症、副腎不全、塩類喪失症候群(多尿)]、皮膚や呼吸器由来のもの(大量発汗、熱傷、発熱、胸水のドレナージ)がある。
 
人体における水分のコントロール

細胞外液の欠乏、自由水の欠乏のいずれも口渇を引き起こし、腎でのナトリウム再吸収などを介してホメオスタシスの維持を行う。

出典

編集部にて作図
問診・診察のポイント  
  1. 脱水の原因は、病歴(下痢・嘔吐、多尿、経口摂取の減少など)、薬歴(利尿薬など)、既往歴(慢性心不全、慢性腎不全、糖尿病、悪性腫瘍など)から特定できる場合が多い[2][4]。これらが複合して体液欠乏に寄与することも多い。体液欠乏を示唆する症状や身体所見、関連する検査結果には非特異的なものが多く、個々の所見を単独で体液欠乏の評価に用いてはならない。例えば、口呼吸による口腔乾燥や、るい痩のある患者の腋窩乾燥に病的意義は乏しい。
  1. 脱水の症状には、体液(=細胞外液)欠乏の原因となっている病態の症状(例:下痢、嘔吐、多尿)、体液欠乏の症状(例:傾眠、易疲労感、筋けいれん、起立性めまい)、随伴する電解質異常や代謝異常による症状(例:高血糖による多飲・多尿、カリウム異常による筋力低下、低ナトリウム血症による意識障害やけいれん)がある[1]。有効循環血液量の欠乏による血圧低下、乏尿・無尿、意識障害を認める場合には緊急の対応が必要である。
  1. 体液欠乏の身体所見の意義は明確ではないが、起立性低血圧・脈拍増加、腋窩乾燥、眼球陥没、粘膜乾燥、意識障害(せん妄)、毛細血管再充満時間の延長などが知られており、これらの所見が複数ある場合には体液欠乏が強く疑われる[2][4][5][6][7][8][9]。小児と異なり、高齢者では皮膚ツルゴールによる脱水の評価は難しい[10]
  1. 従前の体重を確認し、体重変化を把握する。体重以外では細胞外液の欠乏の程度を定量的に推測することは難しく、体重変化が不明な場合や、体液分布の異常が予想される病態(例:腸閉塞、敗血症)では、細胞外液負荷への反応(血圧、尿量など)を見つつ適宜輸液を行うことが一般的である[1][11]
  1. 脱水が疑われる患者への輸液計画では、輸液の「必要性」と、輸液への「反応性」を評価することが重要である。

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オーダー内の薬剤用量は日本医科大学付属病院 薬剤部 部長 伊勢雄也 以下、渡邉裕次、井ノ口岳洋、梅田将光および日本医科大学多摩永山病院 副薬剤部長 林太祐による疑義照会のプロセスを実施、疑義照会の対象については著者の方による再確認を実施しております。
※薬剤中分類、用法、同効薬、診療報酬は、エルゼビアが独自に作成した薬剤情報であり、 著者により作成された情報ではありません。
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著者のCOI(Conflicts of Interest)開示:
鷹栖相崇 : 未申告[2024年]
監修:山中克郎 : 特に申告事項無し[2025年]

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脱水・輸液の方法

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