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著者: 下田和哉 宮崎大学 内科学講座血液・糖尿病・内分泌内科学分野

監修: 宮﨑泰司 長崎大学病院血液内科

著者校正/監修レビュー済:2024/03/06
参考ガイドライン:
  1. 日本血液学会:造血器腫瘍診療ガイドライン2023年版 第3版
患者向け説明資料

改訂のポイント:
  1. 「造血器腫瘍診療ガイドライン2023年版 第3版」の発行に伴いレビューを行い、主に以下の追記を行った。
  1. 中間II、高リスクの骨髄線維症患者に対するルキソリチニブ治療の推奨度が、カテゴリー2Bからカテゴリー1に変更された(推奨度1)
  1. 低リスク、中間Iリスクの骨髄線維症においても、脾腫や全身症候を有する場合にはルキソリチニブ治療が推奨される(推奨度2)
  1. pre-PMFに対し、PMFと同様に予後予測に基づく治療法が推奨される(推奨度3)
  1. 血栓既往がある場合や心血管リスクがある場合、血栓予防を考慮する(推奨度3)
  1. 骨髄線維症から進展した白血病に対し、通常のAML治療に準じて、アザシチジンとベネトクラックスの併用療法、もしくは、強力化学療法にて寛解導入を行い、移植適応例について、同種移植を検討する(推奨度2)
 

概要・推奨   

  1. JAK2変異、MPL変異、CALR変異の検索は、原発性骨髄線維症の診断に有用である(推奨度1)
  1. 造血幹細胞移植は原発性骨髄線維症の治癒的治療法である(推奨度2)
  1. 中間II、高リスクの若年者で合併症がなく適切なドナーが得られる場合は、同種造血幹細胞移植を推奨する(推奨度2)
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病態・疫学・診察 

疾患情報  
  1. 原発性骨髄線維症は、造血幹細胞レベルで生じた遺伝子異常により、巨核球や好中球系細胞が骨髄においてクローン性に異常増殖する骨髄増殖性腫瘍である[1]
  1. 病初期は、異形性を伴う巨核球の増加・集簇を呈し、骨髄の線維化はほとんど認めず、前線維化期/初期と呼ばれる。進行すると、骨髄の線維化が著明な線維化期となり、原発性骨髄線維症の特徴である全身の骨髄の線維化(<図表>)、骨硬化を生じる。
  1. 主な症状は、発熱・夜間盗汗・骨痛・食欲低下・体重減少・倦怠感などの持続する全身症状、造血不全による貧血様症状・出血傾向、肝脾腫とそれに伴う早期腹満感・腹痛などである。
  1. 肝・脾における髄外造血を伴い、末梢血では幼若な顆粒球と赤芽球が出現する白赤芽球症(leukoerythroblastosis)を認める。<図表>
  1. 骨髄の広範な線維化(<図表>)は、原発性骨髄線維症以外にも、種々の基礎疾患に続発して生じうる。
  1. 原発性骨髄線維症の臨床経過は均一ではなく、症例間によるばらつきが大きい。前線維化期/早期に診断された場合の生存期間中央値が17.6年と長いのに対し、線維化期に診断された場合は3~7年である。わが国の原発性骨髄線維症の3年生存率は59%、生存期間中央値は47カ月である[2][3]
問診・診察のポイント  
  1. 体重減少、発熱、盗汗など、全身症状の有無を確認する。

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薬剤監修について:
オーダー内の薬剤用量は日本医科大学付属病院 薬剤部 部長 伊勢雄也 以下、渡邉裕次、井ノ口岳洋、梅田将光および日本医科大学多摩永山病院 副薬剤部長 林太祐による疑義照会のプロセスを実施、疑義照会の対象については著者の方による再確認を実施しております。
※薬剤中分類、用法、同効薬、診療報酬は、エルゼビアが独自に作成した薬剤情報であり、 著者により作成された情報ではありません。
尚、用法は添付文書より、同効薬は、薬剤師監修のもとで作成しております。
※同効薬・小児・妊娠および授乳中の注意事項等は、海外の情報も掲載しており、日本の医療事情に適応しない場合があります。
※薬剤情報の(適外/適内/⽤量内/⽤量外/㊜)等の表記は、エルゼビアジャパン編集部によって記載日時にレセプトチェックソフトなどで確認し作成しております。ただし、これらの記載は、実際の保険適応の査定において保険適応及び保険適応外と判断されることを保証するものではありません。また、検査薬、輸液、血液製剤、全身麻酔薬、抗癌剤等の薬剤は保険適応の記載の一部を割愛させていただいています。
(詳細はこちらを参照)
著者のCOI(Conflicts of Interest)開示:
下田和哉 : 講演料(ファーマエッセンシア(株),住友ファーマ(株),ノバルティスファーマ(株)),研究費・助成金など(興和(株),ファーマエッセンシア(株),アッヴィ合同会社,Meiji Seika ファルマ(株),日本新薬(株),サイネオス・ヘルス・クリニカル(株)),奨学(奨励)寄付など(中外製薬(株),新日本先進医療研究財団,日本血液学会,ソルト・サイエンス研究財団)[2024年]
監修:宮﨑泰司 : 未申告[2024年]

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原発性骨髄線維症

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