今日の臨床サポート 今日の臨床サポート

著者: 渡邉仁人 おとなとこどものじん泌尿器科クリニック

監修: 松田公志 関西医科大学附属病院 病院長

著者校正/監修レビュー済:2023/05/24
患者向け説明資料

改訂のポイント:
  1. 急性陰嚢症診療ガイドライン(2014年)に基づき加筆修正を行った。

概要・推奨   

  1. 急性陰嚢症の患者に対して、画像診断はカラードプラー超音波検査が簡便かつ低侵襲で有効である。最も正確に精巣捻転症(精索捻転症)かどうか評価することができるのは手術治療だが、超音波検査(カラードプラーを含む)によって、かなり正確な鑑別診断が可能になった(推奨度1)
  1. 精巣捻転症の場合、発症からの時間が経過するに従って精巣の救済率が低下する症状や各種検査で本疾患が完全に否定できない場合は、速やかに手術を行う(推奨度1)

病態・疫学・診察 

疾患情報  
  1. 精巣捻転症(精索捻転症)とは、通常何の誘因もなく突然生じる、精巣または精索の回転によって起きる精巣の梗塞である。
  1. 好発年齢は、新生児期と思春期である。新生児期の捻転症は症状に乏しいこともあり、気づかれずに治療できないこともある。
  1. 症状は、突然生じる激しい陰嚢部の疼痛と、それに続く患側の腫脹・発赤で、悪心、嘔吐を伴うこともある。早朝未明に発症し、激痛で覚醒することもある。
  1. 鑑別疾患には、精巣上体炎、精巣垂捻転症、精巣上体垂捻転症、嵌頓ヘルニア、精巣腫瘍、精巣水瘤、シェーンライン・ヘノッホ紫斑病などがある。
  1. 検査は、検尿、超音波検査などを行うが、検査に固執して時間を費やすことは避ける。
  1. 腫脹が激しい場合は鑑別診断が難しく、診断と治療を兼ねた緊急手術の対象となり得る。
  1. 治療方針の決定に迷う場合は、本疾患に精通した泌尿器科や外科に速やかに意見を求める。
問診・診察のポイント  
問診:
  1. 発症からの経過:発生は急激であり、発症時刻がかなり正確に特定できることもある。一方、精巣上体炎は発症が比較的緩徐であることが多い。
  1. 外傷の有無:外陰部周囲の打撲の有無など
  1. 精巣痛の既往:過去に捻転と解除が自然に起こっていた可能性がある。
 
視診・触診:
  1. 精巣の位置:一般には左精巣の方が右よりも位置が低く存在する。発症数時間において、精巣の挙上と横位は精巣捻転となる可能性が高いとされる。

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著者のCOI(Conflicts of Interest)開示:
渡邉仁人 : 特に申告事項無し[2025年]
監修:松田公志 : 特に申告事項無し[2024年]

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精巣捻転症(精索捻転症)

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