今日の臨床サポート 今日の臨床サポート

著者: 三上容司 横浜労災病院

監修: 竹下克志 自治医科大学整形外科

著者校正/監修レビュー済:2025/01/15
参考ガイドライン:
  1. 慢性疼痛診療ガイドライン作成ワーキンググループ:慢性疼痛診療ガイドライン(2021年)
  1. 日本ペインクリニック学会神経障害性疼痛薬物療法ガイドライン 改訂第2版
  1. 日本ペインクリニック学会神経障害性疼痛薬物療法ガイドライン 改訂第2版追補版
  1. 日本ペインクリニック学会:ペインクリニック治療指針 改訂第7版
患者向け説明資料

改訂のポイント:
  1. 『神経障害性疼痛薬物療法ガイドライン 改訂第2版』『神経障害性疼痛薬物療法ガイドライン 改訂第2版 追補版』を参考に下記の改訂を行った。
  1. 「神経障害性疼痛薬物療法アルゴリズム」に、ミロガバリンがプレガバリンと同様に使用できる旨を追記した。
  1. 『慢性疼痛診療ガイドライン』(2021年)『ペインクリニック治療指針 改訂第7版』を参考に、下記の改訂を行った。
  1. 脊髄刺激療法を有効とする報告もあるが、適応を慎重に判断する必要があるため、推奨度3に変更した。

概要・推奨   

  1. CRPSは、外傷、手術、疾病など身体への侵害的事象を誘因として発症する慢性疼痛症候群である。
  1. 誘因となる侵害的事象に比し不釣合いに強い四肢の疼痛を訴えた場合、CRPSを疑う(推奨度1、J)
  1. CRPSを疑った場合、速やかに薬物療法、リハビリテーションを開始する(推奨度2、J)
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病態・疫学・診察 

疾患情報(疫学・病態)  
  1. CRPS(complex regional pain syndrome、複合性局所疼痛症候群)は、外傷、手術、疾病など身体への侵害的事象を誘因として発症する慢性疼痛症候群である。
  1. 症候として知覚過敏、アロディニア、浮腫、発汗異常、運動障害、萎縮性変化などが出現する。
  1. 疼痛や機能障害が誘因となる侵害的事象に比べ不釣合いな程度に強く、かつ、長期間にわたって続くのがその特徴である。
  1. CRPS typeIが反射性交感神経性ジストロフィー(RSD)、CRPS typeIIがカウザルギーとほぼ同義である。
  1. 先行する神経損傷がないのがCRPS typeI、神経損傷があるのがCRPS typeIIである。
  1. TypeI、typeIIと分類せずに、まとめてCRPSとして取り扱われることが多い。
  1. 発症には末梢性因子と中枢性因子が相互に関与していると考えられているが、病態はいまだ不明である。
  1. 診断基準も確立しておらず、疾患概念自体も確立されたとは言い難いのが現状である。
  1. 種々の骨折後のCRPS typeIの発症率は1~2%[1]
  1. 橈骨遠位端骨折後のCRPS typeIの発症率は20~40%[1]
問診・診察のポイント  
  1. 誘因となる外傷、手術、疾病を確認する。

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文献 

細川豊史:CRPSの疫学.眞下節、柴田政彦編.複合性局所疼痛症候群 CRPS(complex regional pain syndrome).真興交易医書出版部,2009;28-32.
小川節郎:診断と治療 Drug challenging testの立場から.関節外科 2006;25(8): 853-856.
堀内行雄,高山真一:整形外科における神経因性疼痛の治療.痛みと臨床 2003;3(1):33-41.
古瀬洋一:Ⅱ診断と治療 手術療法の立場から.関節外科 2006;25(8):842-846.
Yuji Inada, Shigeru Morimoto, Keisichirou Moroi, Katsuaki Endo, Tatsuo Nakamura
Surgical relief of causalgia with an artificial nerve guide tube: Successful surgical treatment of causalgia (Complex Regional Pain Syndrome Type II) by in situ tissue engineering with a polyglycolic acid-collagen tube.
Pain. 2005 Oct;117(3):251-8. doi: 10.1016/j.pain.2005.05.033.
Abstract/Text Two patients with causalgia associated with allodynia and finger contracture were treated surgically with a bioresorbable nerve guide tube made from polygycolic acid and collagen: the injured segment of the digital nerve was resected and the resulting gap (25 and 36mm) was bridged with the tube. In both cases, a neuroma was found on the injured nerve and many sprouting branches were. After reconstruction, the causalgia and allodynia disappeared and movement of the fingers recovered during the following 6 months. Functional recovery was objectively identified for 1 year and 9 months. Both patients regained full use of their finger and were free of discomfort for up to 24 and 18 months, respectively. Since the first description of causalgia in 1864, there has been no definitive treatment for this intractable burning pain. Our experience shows that at least some types of causalgia can be resolved successfully by surgery.

PMID 16153773
古瀬洋一:-私の治療方針- 早期ステロイド療法と手術療法の適応.整形・災害外科 2002;45(13):1345-1350.
水関隆也:-私の治療方針- 薬物療法と温冷交代浴.整形・災害外科 2002;45(13):1337-1344.
古瀬洋一:局所静脈内ステロイド療法。眞下節,柴田政彦編.複合性局所疼痛症候群 CRPS(complex regional pain syndrome).真興交易医書出版部、2009:174-178.
松原貴子:認知行動療法.眞下節、柴田政彦編.複合性局所疼痛症候群 CRPS(complex regional pain syndrome).真興交易医書出版部,2009;203-210.
慢性疼痛診療ガイドライン作成ワーキンググループ:慢性疼痛診療ガイドライン. 2021; 103.
薬剤監修について:
オーダー内の薬剤用量は日本医科大学付属病院 薬剤部 部長 伊勢雄也 以下、渡邉裕次、井ノ口岳洋、梅田将光および日本医科大学多摩永山病院 副薬剤部長 林太祐による疑義照会のプロセスを実施、疑義照会の対象については著者の方による再確認を実施しております。
※薬剤中分類、用法、同効薬、診療報酬は、エルゼビアが独自に作成した薬剤情報であり、 著者により作成された情報ではありません。
尚、用法は添付文書より、同効薬は、薬剤師監修のもとで作成しております。
※同効薬・小児・妊娠および授乳中の注意事項等は、海外の情報も掲載しており、日本の医療事情に適応しない場合があります。
※薬剤情報の(適外/適内/⽤量内/⽤量外/㊜)等の表記は、エルゼビアジャパン編集部によって記載日時にレセプトチェックソフトなどで確認し作成しております。ただし、これらの記載は、実際の保険適応の査定において保険適応及び保険適応外と判断されることを保証するものではありません。また、検査薬、輸液、血液製剤、全身麻酔薬、抗癌剤等の薬剤は保険適応の記載の一部を割愛させていただいています。
(詳細はこちらを参照)
著者のCOI(Conflicts of Interest)開示:
三上容司 : 特に申告事項無し[2024年]
監修:竹下克志 : 講演料(第一三共(株))[2024年]

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CRPS(複合性局所疼痛症候群)

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